二十四節気~処暑(しょしょ)

処暑 喫茶~言の葉
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☆暑さの弱まる兆し

今日は8月22日。
二十四節気のうちの一つ、処暑です。

この処暑と申しますのは、夏の間続いた暑さが立秋を過ぎて残暑となり、その残暑もここを境に徐々に弱まり始めますよという節目の事です。
それでも各地でまだまだ暑さは際立っていますけれど。

処という漢字には、止まるという意味があります。
なので処暑とは、暑さがそろそろ止まり始めますよということを意味しているんです。
この、そろそろというのが大事ですね、急には止まらない。
処暑

太陽は夏至(今年は6/21)を頂点に、年の内で一番強く日本列島に光や熱を注ぎ込みます。
そこで徐々に温まった空気や海や地面が熱を溜めて、暑さの絶頂期である大暑(今年は7/22)となり、、、。
立秋(8/7)で秋を迎え、そして今日からの処暑で空気や海、そして地面などにこもった熱も、人が感じられるぐらいに少しずつ減って来るのです。

まぁ近年は、あんまり人が森を切り開いてアスファルトやコンクリート、そして鉄筋やクーラー室外機から人工的な放出熱を出すものですから、自然の放出熱どころじゃない場所も増えてきていますが。
処暑

☆処暑の期間

今年は次の二十四節気である白露が9/7です。
なので処暑は、8/22~9/6までの期間となります。

つまり今日から処暑に入るわけですけれど、今日急に秋の涼しさを感じたりはしないという事です。
なのでこの期間中に、おや?秋っぽい空気になったなと気付いたら、あなたの勝ち!
何が勝ちか分かりませんけれど、そう言う事です。

そしてこの処暑の期間も、三つに分かれます。
処暑

初候:綿柎開(8/22~8/26)

初候が、綿柎開(わたのはなしべひらく)
「柎」なんて漢字は使ったことも見たこともありませんよね。
この意味は、「台」とか「花の咢」の意味です。
また木材同士を縄で結び付けて水面に浮かせる「筏(いかだ)」のこともこう言うようです。

ただ、この場合は、咢の事でしょうね。
咢というのは、花の真ん中から外側に向かって、メシベ→オシベ→花びらと来て、その次にあるものです。
つまり、メシベ→オシベ→花びら→咢、ついでに言うとその外側に、、→苞(ほう)と続きます。

話を戻しまして。
綿柎開とは、綿の花の咢(がく)が開いて中の白い綿が見えてくるという事を意味します。
こうして開いた綿の花から綿を取り出し、冬の衣類を作り始める目安の時期だったのでしょうね。
綿花

次候:天地始粛(8/27~8/31)

ようやく残暑の中にもハッキリと秋の気配を感じられるようになる頃。
天地始粛(てんちはじめてさむし)です。
昼中はまだ暑いですが、秋雨前線がクッキリと出てきますし、そこから北の冷たい風が運ばれ始める時期です。
殊に、8/31は二百十日といい、台風が上陸しやすい日とされています。
稲では、(早咲きでも遅咲きでもない、普通の品種の)花が開く時期となり、農家にとって大事でありながら天候に特に気を遣う時期です。
処暑

末候:禾之登(9/1~9/6)

禾之登(かすなわちみのる)(こくものすなわちみのる)

禾(か)は、穀物の実の先端に着く長い毛のこと。
「のぎ」とも言います。
そう、あの禾辺のノギです。
雑草の風景

そして「登」は普通、ノボルという意味で使いますよね。
でも古い使い方で「登」と書いてミノボルと読まれ使われたことがありました。
このミノボルとは、穀物が実る事です。
実が根からの栄養や水分と共に上へ上へと昇って来るという意味でしょうか・
そう言えば、文字の中に豆がありますよね。
ミノボルから、ミノルとなって行った可能性もありますが、今日は時間がないのでこの調査は後日とします。

この時期の稲は、日に日に穂先が重くなり、色づき始めます。
秋の実り

☆秋の七草を読んだ和歌

「秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびおり)
かき数うれば 七種(ななくさ)の花」

これは万葉集にある山上憶良の歌です。

秋の七草は、以下の通り。
萩(はぎ)
薄(ススキ)
葛(くず)
撫子(ナデシコ)
女郎花(おみなえし)
藤袴(ふじばかま)
桔梗(キキョウ)
桔梗

これらを、憶良が野に出て数えるわけです。
ああ、すっかり秋だ。どれどれ秋らしい植物がいくつあるだろう、と。
そして指折り数えるわけです。
かき数える、の「かき」は強調ですから数えたんだよということを強調しているわけですね。
しかも指折り、、、
これを今でも屈指と言いますよね。
つまり憶良は、秋の植物と言ったらもうこの七種が代表でしょうと詠んだ。
いやいや、その七種類の草の名前は、先ほどの歌のどこにも出てきていないじゃないかと叱られますね、このままでは。

実はあの歌の次に、こういう歌も詠まれているのです。

「萩の花 尾花葛花 ナデシコの花
女郎花 また藤袴 朝貌の花」

ここで言う尾花とは、ススキの別名です。
すすき
そして朝貌(あさがお)とあるのは、憶良が生きた時代には、桔梗が朝貌と呼ばれていたのです。
私達が今、朝顔と言っている植物は、遣唐使が薬として日本に持ち込んだもので、こちらが朝顔と呼ばれるようになったのは平安時代から。
それまでは漢方薬として、牽午子(けんごし)と呼ばれていました

そしてこの山上憶良の二つ句を基に、秋の七草が定まったと言われています。

そう言えば今朝寝起きの朝散歩中、葛の花が咲いておりました。
やはり、処暑です。
葛の花
という事で本日はここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳き一日をお過ごしくださいませ💐😊

Ψ~ 緑の命 ~Ψ
執筆者
毎日をワクワクに変える植物教育研究家
kazuhiko
略歴
園芸の生産・流通・販売・教育と多岐にわたり都合45年勤務。
植物がもつ癒し力や、ちょっとミステリアスな植物の物語を、色んな年代の方に届けています。

現代は、デジタル時代。毎秒おしよせつづける情報に、私たちの脳は、年中無休の疲れ気味。 そこで身近な植物を使った、効果絶大わずか5分の、カンタンな心身癒しをご提案中♪
喫茶~言の葉
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