お正月の松の話③

鏡餅 古典園芸
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< お正月の松の話②より続く

さて今日は12月28日。
昨日のブログで申しました通り、歳神様をお迎えするにあたって、今日までに大掃除を終えて正月飾りを付けなければいけません。
大忙しですが、意味が分かるとなるほどこれはヒトの都合でやるものではないようです。
ま、そうは言っても時間に追われる現代ですからなかなか難しいんですよね。

という事で今日は松の話の三回目。
鏡餅について。

☆鏡餅の意味

・歳神様の依代

門松に一旦立ち寄ったその年の歳神様は、次に室内の鏡餅へと移られます。
そして鏡餅を依代として、1月7日までそこで過ごされるその間、私たちがお迎え・感謝・おもてなしを行い、最後にはきちんと送り出す、この一連の作法と言うか行事が、お正月なのですね。

なので歳神様は鏡餅にいらっしゃるわけで。
近年どうもいけないですね。
鏡餅の果物、「橙(だいだい)」と言うんですが、これがプラスチックだったりする。
代々繫栄しますようにという願いを込めてお飾りする橙がプラスチックですからね。
代々どころかずっと残ってマイクロプラスチックとかに変化して海洋汚染をしたんじゃいけません。

それどころか、二段の餅。
これも外枠がプラスチックで、下をめくると個別包装の長細い角餅がバラバラっと出てくる。
これじゃ歳神様もずいぶんと居心地が悪いと思うんですが。

やはり私は、昔ながらの丸餅二つに橙一つが落ち着きます。
鏡餅

・鏡餅に込められた願い

鏡餅、上下に二つありますね。
これの意味は、何でも陰と陽、太陽と月、昼と夜、そして夫婦和合の意味があるそうです。
森羅万象と言いますが、自然界の色んなものが対立するものがうまくまとまって一つの世界を築き上げているわけです。

その意味では、夫婦もそう。
互いに生まれ育ちの違う異性が寄り添って調和して家庭を作り、そこが基本となって家族ができ、国が安定する。
ここで大事なのは、夫婦が調和するという事です。

鏡餅の上下二つの餅は、家族の基点となる、その調和した夫婦への願いが込められています。
う~~ん、余計なことを言いますと、数年後には鏡餅が横並びに二つってぇのが出来てたりして。
、、、やめてくださいよ、そんな無粋な事。

また、餅は円いでしょ。
そのまんま、円鏡を表します。
もっというと、古代の銅鏡ですね。
この鏡については、あとで記しますね。
鏡餅

・橙

それから、先に申しました橙を乗っけて。
あ、そうそう。
橙とミカンは似ていますが、いまではミカンを乗っける場合もありますね。
余談ながら、橙はすっぱくておおぶり。
一方ミカンは、甘い柑橘類ということで、蜜柑。
甘くて美味しいんですね。

そこに串柿、昆布、裏白などを加えるのが正式らしいですね。
では次に、それらの説明を。
鏡餅

☆鏡餅の、その他の飾り

・串柿

干し柿を串で刺したものです。
意味合いは、渋くて食べられたものじゃない渋柿。
この渋柿であっても、日々精進すれば人に役立つ干し柿になれるという生きる姿勢の暗喩を含んでいるそうです。
その干し柿を串に刺すことで、剣を表します。
そして頂上の橙が、玉。
更に餅が、鏡。
そうです、これで三種の神器。
鏡餅

・昆布

上下二つの餅の間に挟んで昆布を置くことがあります。
これはご存じの通り、昆布を「こぶ」と読みますが、これが喜ぶに通じるという言霊ですね。
また。子生(こぶ)ということで子孫繁栄への願いも意味しています。
写真の昆布は、串柿と餅の間に挟んでいますね。
鏡餅

・裏白

表が緑で裏が白い、シダの仲間裏白。
こういうふうに売られていました。
松飾り
こちらは心の裏側に黒いものを持たない、つまり清廉潔白を表します。
また、共に白髪の生えるまでといった、末永い夫婦円満への願いも込められています。
こちらは、餅の下に敷きます。
鏡餅

☆鏡餅と鏡

先に申しましたが、二段の餅は円いですね。
これは、古代の銅鏡を表しています。

銅鏡と言うのは、銅合金の片面をツルツルに磨いて鏡としたものです。
弥生時代には大陸から伝わっていたと言いますから、古いですよね。

今では普通ですけれど、古代で自分の姿が映せるという事に驚き、そこに自分の内面を映すという精神性もみたわけです。
そして信仰の対象となっていくんですね。

なので、神社に行くと、神殿の奥に円鏡が鎮座してますでしょ。
あれが、光り輝く神霊の依代なんですね。

その円鏡を餅で作ったのが鏡餅です。
弥生時代に渡ってきた銅鏡ですから、稲作文化の弥生時代に餅で鏡を形どったというのも、原型としてあるのかもしれませんね。
神社の神霊の依代が鏡。
だから、それをかたどった鏡餅も、依代なんです。
鏡餅

さてさて、年神さまの宿となる鏡餅。
松と同じ依代としての面からお話させていただきました。
さあ、今日28日にお飾りするのが正しいようですから、大掃除を終わらせて飾りましょうか。
本来なら床の間が良いそうですが、我が家の場合、住宅事情で💦居間にお飾りすることにします。

では本日も最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳い一日でありますように💐

< お正月の松の話④へと続く

Ψ~ 緑の命 ~Ψ
執筆者
毎日をワクワクに変える植物教育研究家
kazuhiko
略歴
園芸の生産・流通・販売・教育と多岐にわたり都合45年勤務。
植物がもつ癒し力や、ちょっとミステリアスな植物の物語を、色んな年代の方に届けています。

現代は、デジタル時代。毎秒おしよせつづける情報に、私たちの脳は、年中無休の疲れ気味。 そこで身近な植物を使った、効果絶大わずか5分の、カンタンな心身癒しをご提案中♪
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