「今生」という人生観

叔母から贈られた野菜 喫茶~言の葉
この記事は約4分で読めます。

☆分岐点の手紙

還暦という分岐点

私が小さい頃に、大変お世話になった叔母がおります。

私の学年が上がるにつれ、段々と接する時間が無くなり、社会人になり九州を離れ仕事に追われ、私の都合だけで疎遠になっておりました。

それで還暦を迎え、もういいやと正業を辞め、時間に余裕が出来ました。
そうすると体に悪い所がけっこう出てきましてね。
今まで自分で気付かないようにして、仕事に集中していたんですね。

そこで還暦を迎えて、まずこの緑の命をスタートさせました。
< 還暦スタート
そこから並行して体のメンテナンスを続け、現在おおよそ9割終了。
まぁあちこち傷んでました。
なので現在は、私の50歳の時よりは元気で健康。
各数値もほぼ40代。
ここですよ、有意義な老後を送れるかどうかの分岐点。

会社勤めしている時は、自分の健康を犠牲にしつつお給金を稼いでますしね。
ともあれ、なるべく健康に定年を迎え、なるべく早めに体のメンテナンスをされてくださいね。
これが大事です。
叔母から贈られた野菜

還暦から一年後の葉書

体への心配が無くなったら、時間にも心にも余裕が出てきます。
自分の過去をゆっくり振り返り、生きてきたこれまでへの恩義もきちんと感じられ、あの人は今も元気だろうか?と気になるようになりました。
まったく身勝手なものですね、私も。

それで還暦から一年経った昨年8月。
昔の住所録を引っ張り出して50枚程、残暑見舞いを投函しました。
遠い遠い昔の住所録です。
宛先不明で戻ってきたものはありませんでしたが、6割は返信が無かったですね。
でも届いたことには間違いないので、そこは嬉しかったです。

返信くださった4割の半分は、型通りの葉書。
もちろんそれでも嬉しかったです。

あとは、涙が出るほど嬉しい、これまでの人生や近況や私との思い出を綴った封書でした。
その中の一通が、今回お話しする私の叔母からの手紙です。
叔母から贈られた野菜

☆私の叔母

切ない手紙

叔母は、86歳になっておりました。
あんなにお世話になった叔母の年齢も、私は把握していなかったのです。

なんとも申し訳ないやら嬉しいやらで、文通みたいなものが始まりました。
生きて再びこうして言葉が交わせるありがたさ、それを噛み締めつつ。

そして晩秋「あなたが好きだったものだから。」と、梨を送っていただきました。
まだ小さかった私の食べ物の好みを、87歳になったばかりの叔母が覚えて下さっている。
この事で一層、私の長年の不義理が恥ずかしかったです。

その直後、叔母さんお誕生日おめでとうと手紙を送ったのですが、その返信が来たのは1ヶ月後。
手紙が書かれたのは、自宅からではなく病室からでした。
交通事故で一時意識不明となっていたのだそうです。
長い入院で筋力の落ちた腕。
震える文字で綴られた便箋の最後の文字は「大丈夫、心配しないでね。」でした。
叔母から贈られた野菜

心痛と心配

叔母は心配しないでと書きましたが、心配はします。
心配は、心配りです。
これが現在では、心痛と混同されがちですよね。
心痛は、基本的に良くありません、心を痛めるわけですから。
精神衛生上、良くない。

心配り。
今私にできる、最上の行動と言葉を考えました。

つまらぬことかもしれませんが、私はこう結論を出したのです。
「叔母さんに早い時期に会いに行って、ただ語り合う。」
単純ですよね、31年振りの再会でしょうか。
父の一周忌が最後だったと思います。
でも、じっくり語り合うのは45年振りになります。

「叔母さん、来年三月に嫁さんと一緒に会いに行くよ。」と昨年12月に手紙を出しました。
それからしばらくして公衆電話から着信。
「久しぶり!うちに泊まって。いっぱい話そう。」
叔母の声は、弾んでいました。

叔母の心配と私の心配が重なった瞬間です。
私は即、予約していたホテルをキャンセルしたのでした。
叔母から贈られた野菜

☆今生という視座

仏教で、生まれる前の人生を前世と申します。
そして一度亡くなってからの次の人生が来世。
それで今の人生が、現世です。

この現世の事を、今生とも申します。
読みは「こんじょう」
今生の別れという言葉がありますが、これは今の私の人生で、これっきりになる最後のお別れという意味ですね。

平たく申しますと、「今」を生きている事。

叔父とは再会できぬままとなってしまいましたが、今回お墓参りに初めて行きます。
無沙汰を詫びながら、手を合わせてきます。
しかし幸いにも、叔母と私は今生に居るのです。
そして嫁さんを紹介して、そこで今生で言葉を交わせたというご縁を静かに結んできます。
少し早めの、米寿のお祝いも兼ねて。

「互いが今生に有るうちに、きちんと『ありがとう』を伝えていますか?」
これは、今は亡き師匠が、私に向けて手渡して下すった言葉の一つです。
この歳になって沁みてくるのを実感しております。

皆様はいかがですか?
互いが今生に有るうちに、伝えるべき方に、きちんと「ありがとう」を伝えていますか?
叔母から贈られた野菜

という事で本日はここまで。
今日の写真は叔母から昨日送られてきた野菜の数々です。
ありがたい事です。
では、最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳き一日をお過ごしくださいませ💐😊

Ψ~ 緑の命 ~Ψ
執筆者
毎日をワクワクに変える植物教育研究家
kazuhiko
略歴
園芸の生産・流通・販売・教育と多岐にわたり都合45年勤務。
植物がもつ癒し力や、ちょっとミステリアスな植物の物語を、色んな年代の方に届けています。

現代は、デジタル時代。毎秒おしよせつづける情報に、私たちの脳は、年中無休の疲れ気味。 そこで身近な植物を使った、効果絶大わずか5分の、カンタンな心身癒しをご提案中♪
喫茶~言の葉
シェアする
KAZUHIKOをフォローする
タイトルとURLをコピーしました