二十四節気~大寒(たいかん)

川氷 喫茶~言の葉
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☆寒さの絶頂期

さて、これまで見て参りました一年を二十四に区切って季節感を表す二十四節気も、この大寒をもって最後となります。
旧暦でみる一年の終わりが、この大寒という訳ですね。

余談ながら今年は早眺桃花ですから、札幌はプラス気温で軒先からの雫が滴る朝ですが、、、。

大寒の次に控えているのが、立春。
つまりこれが、初春であり、新春という訳です。
これが新暦に残っていて、今でも年賀状に「初春のお慶びを申し上げます」と書いたりしますよね。

ただ悲しい事に、SNSの普及や文字文化の衰退(国語教育の崩壊)や人間関係の希薄化に加え、昨年(2024)秋の郵便料金大幅値上げが駄目押しして、ほぼ100年続いた年賀状という風習に終わりが見えてしまいました。
こういう意味でも、寒さは絶頂期であるのかもしれません。
年賀状

太陽熱の時差

さて今日からは、大寒です。
これは、年を通して寒さが最大の時期となったことを意味します。
日中が一番短い冬至から数えて30日目。
これは夏至と同じ理屈で、太陽熱が一番減少して、そこから30日かけて大地や海が一番冷めきってきたのが今日あたりから、という訳です。

旧暦の軸である稲作では、今は休みの時期。
そして年を送る時期でもありますから、区切りや清めの時期となるわけです。
日の出

大寒の期間

初候:款冬華(1月20日~24日)

読みは「ふきのはなさく」です。
「款冬」も「欵冬」も、フキの古名です。
ですので欵冬華と表記される場合もあるようです。
現在では、フキは蕗と書きますので、馴染みのない言葉ですよね。
蕗

さてこの蕗ですが、日本人にとって大事な植物です。
まず早春にいち早く花を開かせ、春の訪れを私たちに伝えてくれる植物だという事です。
旧暦の基準地である近畿地方では、平均して今頃から蕗の花が咲きだしますので、きっと古代では稲作に先駆けて花を見せる蕗に寿ぎを感じたのでしょうね。

それ以外にもあります。
蕗は群れて生えてきますよね。
ですので、蕗の林みたいになるので、以下の好影響を生み出します。
蕗

例えば、大きな葉が土地の乾燥を防いで、良い土を作ってくれます。
また、根が斜面の崩れを防いでくれます。

例えば、大きな葉の下や、張り巡らされて根っこが、野生動物や昆虫の隠れ場(生息地)や食糧になります。
また、蕗が枯れて、豊かな土地の栄養に変わります。
そして水辺近くに育つ蕗では、岸の土の安定や水の浄化も行ってくれるのです。
更に、仮に土砂崩れが起こった場合、先駆け植物としてそういう場所に最初に根付いてくれる植物でもあります。

つまり、こういった性質の蕗は、春から秋にかけての稲作の脇役として、古くからとても重要な植物だったのです。
ちなみに蕗の若い芽が、フキノトウ(蕗の薹)です。
蕗の薹

そして蕗の佇まいが派手でなく日陰や湿地に育つ様子が、控えめさを好む日本人に好まれたのでしょうね。

次候:水沢腹堅(1月25日~1月29日)

読みは「さわみずこおりつめる」
沢の水が極寒にさらされ、こおりの厚みも増す時期という事です。
この時期が、やはり気温がグッと冷え込む場合が多いようです。
川氷

末候:鶏始乳(1月30日~2月2日)

読みは「にわとりはじめてとやにつく」
朝を告げる鳥として尊ばれてきた鶏。
この鶏は本来、冬は産卵を休むのだそうです。
それがいよいよ鳥屋(とや)に入って産卵を始める時期となります。

朝を告げるめでたい鳥が、次に向けて新しい命を生み出す。
こういう風景を、一年二十四節気の締めくくりに持って来る日本人の感性が、私は好きであります。
ニワトリと卵

節分(2月2日)

そして大寒、鶏始乳の最終日が、節分であります。
旧暦、一年の終わりに、邪を払い福を招く追儺の鬼を行う日であります。
二十四節気の最後の日が節分という、文字通り、節の分かれ目の日なのです。
節分

☆寒の水

長くなりましたので手短に。

小寒から大寒にかけて、寒さが厳しく、この期間の水は清浄で腐りにくいとされています。
その水と米から、酒や味噌や醤油を仕込むのが良いとされ、寒造りという言葉が生まれました。
寒仕込み

特に大寒の水は、特に清浄とされます。
これを旧暦に重ねますと、大寒は年末に当たりますから、一年の穢れを落とし正常な環境で歳神様をお迎えするのに寒の水は欠かせないわけです。
寒仕込み

それで、寒稽古、寒海苔、寒餅、寒卵というものがあるわけです。

稲作に大切な水ですが、この寒い時期にきちんと役割を担って、新しい年を迎えるのです。
やはり日本人、日本文化、旧暦というのは、凄いものだなぁと私は改めて思うのです。
寒仕込み
という事で本日はここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳き一日をお過ごしくださいませ💐😊

Ψ~ 緑の命 ~Ψ
執筆者
毎日をワクワクに変える植物教育研究家
kazuhiko
略歴
園芸の生産・流通・販売・教育と多岐にわたり都合45年勤務。
植物がもつ癒し力や、ちょっとミステリアスな植物の物語を、色んな年代の方に届けています。

現代は、デジタル時代。毎秒おしよせつづける情報に、私たちの脳は、年中無休の疲れ気味。 そこで身近な植物を使った、効果絶大わずか5分の、カンタンな心身癒しをご提案中♪
喫茶~言の葉
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