みどり色の謎

緑の街灯 命の不思議
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< 日本の伝統色についてより続く

☆命名の謎

・質問を頂きました

今回、視覚と色彩についてあれこれ書き綴ってきています。
それで、お読みになって下すったMさんからご質問を頂きました。
以下、そのメッセージの要約です。

「楽しく読ませていただいてます。
緑色と言う名前が、比較的新しいものだというのには驚きました。
ところで、その緑色の語源って、何でしょうか?
気になります。」
占い

語源、、、そういえば、基本四色もなんでその色をそう呼ぶか、考えたこともありませんでしたので、今回のテーマにしてみます。
まず、漢字の成り立ちから切り込んでみますね。
レッサーパンダ

・「みどり」と言う命名

文化勲章を受けられた漢字学の第一人者である白川静先生。
先生は、漢字の体系的な成り立ちの謎を解明されて、白川文字学と呼ばれる漢字学を作り上げられた方です。
その白川先生の字統・字訓・字通の三冊が手元にありまして、それで調べてみました。
白川静さん三字書

白川静先生の字訓によりますと、「若葉のみずみずしいさまより、緑の名になった。」とあります。
つまり、元々は色とは関係のない言葉であった、とも。
そしてさらに「みづ」と同根の語であろう、とも書かれています。

さてこの「みづ」ですが、ここからは古語辞典で調べると、「水」と「瑞」の二つの言葉が出てきます。
「水」はもちろん字の通り。
そして「瑞」には、①若く生き生きしている事。②めでたい印の二つの意味が出てきます。

という事は、緑は元々、水の性質や様子から出た言葉と言えるのでしょうか?
そして生命力にあふれた様子を表す言葉といえるとも言えます。
瑞々しいが、水々しいから来ているという話もありますから、そういうものが合わさって、若葉の生命力の色を緑と言うようになった、、のではないかと私は考えます。
植物

・命名について

さて、そのような意味で、さらに植物と重なった言葉としては、「みづ穂」とか「みづ枝」などがあります。
生命力あふれる活き活きした稲の若穂とか、春に伸び始めた若い枝のことですが。
これらは、人名としても使われてますよね。
植物
ちなみに、名付けることを「命名」と言います。
まだ何も名前の付いてない人や物に初めて名付けをする時に、そう言いますが。
これは、その命に対しての名付けであると同時に、場合によっては、他の命の力を名前として新しい命に取り入れるという側面もあるようです。

なので例えば「みづ(ず)穂」さん「みづ(ず)枝」さん。
こちらは植物若々しい生命力を、言霊として取り入れることで、人生を豊かに送ってほしいという親の願いが込められた名付けですね。
そしてつまり、ここにも植物の「緑」の意味が含まれているという事になります。
カモ

・緑という漢字

そして漢字ですが、緑の旧字体は「綠」
糸偏に彔ですね。

さてこの「彔」ですが、ろく、と読みます。
この意味は、木を刻む、です。
木を刻んで、糸で編むという意味にも取れますが、この意味で調べてみますとこういう記述が白川先生の本に出てきます。
白川静先生

オウキャクサ(古すぎて漢字変換できません、、)という草で染めて、黄金色をなす。
巾(これも古い字体で出てきません、布を表すキレの事です。)の青黄色なるものなり。
という文献の記述から白川先生は、青と黄色の間の色相は緑なので、おそらく語義と一致すると書いてらっしゃいました。

それで、ここまでが私の限界です。
白川先生も、「みどり」は語源未詳の語であると書いてらっしゃいますので、こんなところで今回はお茶を濁しておきます。
色ついでに、灰色決着という事でm(__)m
チンパンジー
という訳で今回は逃げるようにここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞみなさま、佳い一日を💐💐

< 植物と、日本の染めものへと続く

Ψ~ 緑の命 ~Ψ
執筆者
毎日をワクワクに変える植物教育研究家
kazuhiko
略歴
園芸の生産・流通・販売・教育と多岐にわたり都合45年勤務。
植物がもつ癒し力や、ちょっとミステリアスな植物の物語を、色んな年代の方に届けています。

現代は、デジタル時代。毎秒おしよせつづける情報に、私たちの脳は、年中無休の疲れ気味。 そこで身近な植物を使った、効果絶大わずか5分の、カンタンな心身癒しをご提案中♪
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