< 「夜の世界からカラフルな未来へ:私たちの視覚の進化」より続く
☆色と私たちの世界
・赤、緑、青
「色」は私たちの日常生活に欠かせない要素ですよね。
数百万色を感じ取れるという私たちの目。
しかし、目の細胞には赤、緑、青の三色をそれぞれ感じ取るコーン細胞が3種類あるだけ。
この三色の絶妙な組み合わせで数百万色を脳内で組み合わせてるということでした。
ところで科学の世界では、元々夜行性だった遠い遠いご先祖様(約9000万年前ですって!)が見えていた風景は、紫外線と青色と赤色だけだったという事を突き止めています。(諸説あります)
つまり夜行性だから、緑は関係ない!
これは、生きていくうえで様々な色彩が必要なかったという事ですね。
ところが、紫外線視覚のコーン細胞を手放し、緑のコーン細胞を獲得して行ったんですね
こうして、徐々に(約3000万年かけて)夜行性ではなくなって行ったという事です。
ではなぜ、夜行性ではなくなっていったのか?ですが、これは恐竜が居なくなったためだと言われています。
この背景には、私たちの祖先が緑豊かな森林やジャングルで生活していました事があります。
こういった環境では、緑の中で熟した赤い果物や栄養価の高い葉を見分けることが生存に不可欠。
この必要性が、私たちが赤と緑を識別できるように進化した理由だということです。
・視覚のすばらしさ
カリフォルニア大学アーバイン校のアドリアナブリスコー教授の研究があります。
これによると、この視覚能力は単に生き残るためだけでないと言うんです。
単に食物を探すだけではない。
では、何か?
それは、環境を理解する事と結論付けています。
もう少し詳しく言うと、視覚の意味は色以外にもあると言います。
つまり「パターン、形、サイズ、動き、深さ、明るさ」も含む複雑さを見分けていると。
これにより、私たちは周囲の世界をより豊かに感じ取ることができるということなんですね。
そこからの情報をかなり重要として、私たちの脳は生存戦略を立てているのだと。
そう言えば、「目は心の窓」なんて言いますよね。
でもこうして進化の視座から見れば「目は脳の窓」と言えるんですね。
・緑色の重要性
私たちの祖先が夜間活動する生物から、カラフルな世界を認識できる生物へと進化した。
そこで並行して視覚も適応進化させてきた。
当然この進化は、人類の生き残るための戦略と環境の変化に密接に関連しています。
そして、こうして人の生活環境の変化についてきた様々な色彩。
この中で、特に緑色は、人類にとって重要でした。
当然、緑色は自然界に広く存在し、私たちの生活に深く根ざしています。
夜行性から抜け出して、太陽の光の下で生き抜いていく。
そのために緑豊かな森林や草原では、さまざまな緑色を識別する能力が大事でしたから。
そして緑豊かな環境では、多種多様な緑色を識別する能力が生存に役立ちましたから。
つまり、緑の中から青空がのぞけば、天気安定で心安らぐ。
緑の中に、異物が垣間見えれば、天敵接近の恐れ。
自分を取り巻く環境に緑が多ければ、雨風をしのげる。
微妙な緑の変化で、食べ頃や、毒物の見分けにつながる。
と言った具合に。
この視座での進化の物語は、私たちが自然界とどうつながっているかを教えてくれます。
まさに色を通じて自然をより深く理解し、その美しさをより豊かに感じることができるのです。
これは、人類の視覚進化の過程がもたらした、安心と安全の記憶。
それが緑系の色という事なんです。
☆赤外線と紫外線
さて今日の最後に、太陽光の大まかな話。
・可視光線
太陽光の内、52%が可視光線と書きました。
これが、人の目に見える光の事です。
この可視光線が、物に当たって反射する「波の長さ」によって「色」が決まります。
・赤外線
太陽光の内、42%が赤外線です。
この赤外線は、人間の目には見えない電磁波の一種。
これは可視光線の赤色の端よりもさらに長い波長が特徴。
そして赤外線は、物体から放射される熱エネルギーと関連しています。
暖かい物体ほど多くの赤外線を放射します。
これは、サーモグラフィーカメラや赤外線センサーなどの技術に応用されています。
また、赤外線は通信技術にも使用、リモコンなどで利用されています。
これは、可視光線よりも干渉が少なく、特定の方向への信号送信に適しているからです。
・赤外線視覚の生物
赤外線の視覚を持つ生き物。
こちらは、暗闇での獲物の検知や熱源の認識に有利です。
たとえば、一部のヘビ周囲の熱を感知できます。
これは0.1℃の温度変化を感じ取ることができるため、暗闇でも獲物を追跡可能。
さらに、一部の吸血昆虫は赤外線を見て獲物を探します。
二酸化炭素の熱サインを利用されますね。たとえば、メスの蚊。
・紫外線
太陽光の内、6%が紫外線です。
この紫外線(UV)も、人間の目には見えない電磁波の一種。
可視光線の紫色の端よりも短い波長が特徴。
紫外線は、そのエネルギーの高さから、いくつかの重要な生物学的影響を持ちます。
例えば、肌に当たる紫外線はビタミンDの生成を促進します。
しかし一方で、過剰な露出は日焼けや皮膚がんのリスクを高めます。
また、紫外線はDNAに損傷を与えることができ、これが遺伝子の突然変異や老化の原因となることもあります。
このDNA損傷があるために、人類は紫外線視覚を放棄し進化したとも言われています。
紫外線に依存しない生活パターンということですね。
さて、紫外線には主にUVA、UVB、UVCの3つの種類があります。
UVAは最も波長が長く、UVBはやや短く、UVCは最も短い波長です。
地球のオゾン層は特にUVCとUVBの大部分を吸収。
地表に到達する紫外線は主にUVAと一部のUVBです。
UVCには細菌やウイルスのDNAへの損傷能力があり、水や医療器具の消毒に利用されていますね。
・紫外線視覚の生物と、植物の知性
紫外線の視覚を持つ生き物。
一部の鳥も紫外線を使ってのコミュニケーションを取っているそうです。
しかしここでは、昆虫と植物の繁殖について書きます。
さて、多くの花には、人間には見えない紫外線を反射する特定のパターンが存在します。
これを「ネクター・ガイド」として言います。
ネクター・ガイドは、昆虫に対して「ここに蜜があるよ」と指示する役割があるんです。
紫外線が見える昆虫は、ネクターガイドで効率的に蜜を探し出します。
昆虫が蜜取りにくれば、植物は効率的に花の受粉ができます。
つまり、、、という事は、、、植物が紫外線を利用しているということなんですね。
植物が、昆虫は紫外線が見えるという事を知っていて、ネクターガイドを付けてる。
もっと言うと、昆虫と植物は紫外線を使ってコミュニケーションを取ってる。
そう言う事なんですね。
どうです?
ここに植物が持つ知性が見え隠れしていますね。
ということで、本日ここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳い一日を💐