☆世界的な地下水減少傾向
今年1月24日、かの科学雑誌Natureにカリフォルニア大学の科学者スコットさんらによる気になる論文が掲載されました。
それによると、ここ40年世界各地の帯水層で、地下水減少が続いているというのです。
調査個所は1700ヶ所。
そのうちの71%で地下水の減少が続いているというのです。
その原因は、農業。
地下水をくみ上げて穀物を大規模に作っているから、だそうです。
そして工業への利用。
文字通り、湯水のように、です。
ただしこの、湯水のように使うというお馴染みの表現。
これは、水資源が豊かな日本だからこそ生まれたものです。
そこにも私は、有り難味を感じています。
☆地下水と帯水層
さてここで少し言葉の説明です。
地下水と帯水層について。
まず、地下水とは文字通り地下の水。
もう少し詳しく申しますと、地下の空隙や割れ目に自然に存在する水の事です。
これは、雨水や雪解け水が地表から浸み込みし、地下の空間を満たした結果生じます。
この地下の水は、井戸等から汲み上げられ、飲料水、農業、工業に利用されています。
次に帯水層。
これは、水を蓄え、流すことができる地下の岩石層または地層のことです。
ここでは地下水が移動しやすい砂・砂利・砂岩などの透水性の高い材料で構成。
この帯水層は、地下水の供給源として重要な役割を果たします。
簡単に申しますと、地下水は水そのもの。
そして帯水層は、その水が存在し移動する場所(岩石層や地層)を指します。
☆日本の地下水の場合
日本は四季がハッキリしている国で、雨量も世界から見れば豊富です。
そして南北へ細長い狭い国土ながら、山間部もそこにきちんとあります。
つまり、雨が降ったら大地に浸み込みます。
そして、山の高い所から海岸部へと、川や地下水として移動します。
ただし、国民の数などに対して国土の幅が狭いです。
そのため、帯水層も、その折々の降水量に影響を受けやすいんです。
なので、春の雪解けの時期や量にも大きな影響を受けるという訳です。
☆地下水の大切さ
この帯水層。
これは地表の高温の影響を受けませんから、蒸発がない。
ここが、地表の川や湖とは大きな違いです。
つまり帯水層は、水の銀行と言うイメージ。
普段預けておいて、いざと言う時に引き出して使わせていただくという感じですね。
そしてもう一つ。
帯水層の水は、厚い地層によって濾過されていますから、基本的に綺麗なんですね。
☆地盤沈下の問題
これで世界的な話に戻します。
各地で帯水層の地下水がどんどん減っている。
これは、つまりこう言う事です。
雨が降って浸み込む量と、汲み上げて使う量のバランスがとれていない。
しかも、場所によっては気候変動で降水量が減っているんですね。
また一方で、降水量が増えているんですが、これは豪雨ではダメなんです。
豪雨では、浸み込む前に流れ去ってしましますから。
これで地下水位の下がり続ける地域が多くなってるんですね。
それで起こってくるのが、地盤沈下です。
データが出ている地域で、私が読んだ範囲では、アメリカやインドネシアです。
アメリカの東海岸線では、年2mmほどの沈下が進んでいるようですね。
さらに、大都市の高層ビル群の重さも加わり、高い速度での沈下があるようです。
☆雨は何割、地面に浸み込むのか?
公益社団法人で、雨水貯留浸透技術協会という組織があります。
そこの機関紙2023年の130号。
ここで名古屋市環境局地域環境対策課主査の木綿さんが書いてらっしゃる資料。
これによりますと、1965年で以下です。
流出(地表を流れ去る)率が27%
蒸発率が32%
そして浸透貯蔵率が41%
そしてこの数値が2020年になりますと、以下のように変わります。
流出率62.4%
蒸発率22.5%
浸透貯蔵率15.1%
これはあくまで参考程度の数値としてみていただきたいのですが。
都会面積が拡大して行って、地面に浸み込むより流れ去る率の方が増えている。
植物も減っていますので、蒸発量も減ってきているという訳です。
さらに気候変動も起こっていますので、これからがどうにも怖いと感じるのです。
皆さんはどう思われますか?
という訳で本日ここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳い一日をお過ごしください💐