☆故郷は伊豆大島
ソメイヨシノ
一般に桜といえば、ソメイヨシノがイメージされますよね。
漢字で書くと、染井吉野。
これは、今で言うと、東京都豊島区あたりにあった村、染井村。
この村がほぼ植木職人が集まった村だったんですが、幕末にこの染井村の職人さんが一つの桜の新品種を生み出したんですね。
それがあまりに綺麗だったので、桜で有名な奈良の吉野山にちなんで、染井村の吉野桜ということで、染井吉野と命名されたわけです。
そしてその株からクローン(挿し木や接ぎ木)によって増やされて花見用に日本各地に植樹されました。
クローンなので、咲く条件はほぼ同じ(個体差が無い)ので、桜前線として私たちの目に見える形で季節の変わり目の一つを知ることができるようになりました。
ちなみに染井吉野が普及する前、江戸時代以前は、桜と言えば山桜を指しました。
オオシマザクラ
染井吉野は、二種の桜を交配させてできているのですが、その母方の桜が江戸彼岸桜。
そして父方が、オオシマザクラ(大島桜)です。
この大島桜の花は白く、生長が早くて香りが良いというのが特徴。
生長が早いので、燃料としても使われたので別名が薪桜。
そして、桜餅などを包む葉に使われたので、餅桜とも呼ばれています。
葉に含まれる香り成分のクマリンに、殺菌成分も含まれており、食材の鮮度を保つためにも重宝されたようですね。
フィリピン海プレートとオオシマザクラ
日本自生の桜ですが、元々は伊豆諸島あたりに生えていました。
なので今でも伊豆大島には、特別天然記念物のオオシマザクラの株があります。
つまり海沿いの桜ですから、潮風に耐える強さも持っていますね。
これも大きな特徴です。
そしてもう一つ。
伊豆諸島はフィリピン海プレートに乗って本州に向かっています。
こういう長い目で見ると、オオシマザクラは本州へ近づいて地球規模の力で日本文化に根付いたともいえるわけです。
そうそう、伊豆半島もこの力で本州にぶつかったという事です。
その力で箱根の山ができ、富士山構成の力の一部になっているわけです。
☆桜餅と、オオシマザクラと、こめられた祈りと
さて、話は戻って桜餅。
桜餅には大きく2種類あると書きました。
まずは、長命寺桜餅。
この長明寺、正式には、宝寿山遍照院 長命寺。
本山は比叡山延暦寺です。
ここは日本仏教の母体、台密と呼ばれる天台宗の大元ですね。
開祖は、伝教大師・最澄。
そして、道明寺桜餅。
さてこの道明寺、正式には、蓮土山 道明寺。
本山は、仁和寺です。
ここは仏教界の東密と呼ばれる真言宗御室派の総本山です。
開祖は、弘法大師・空海。
お茶のところでもお話ししましたけれど、ここでも最澄と空海です。
左近の桜・右近の橘と言うように、桜には古来より、魔除けと邪気払いの意味が込められていました。
そこで、桜のそんな力を体内に取り込めるようにと言う意味も込めて、桜餅が広まっていったという側面がここで見られます。
桜餅の長明寺桜餅には伝教大師最澄の面影が、そして道明寺桜餅には弘法大師空海の面影が、それぞれに見られるというのは実に面白いと私は思うのです。
という事で本日はここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳き一日をお過ごしくださいませ💐