☆日本家屋について
・大工さんとお話しする機会がありました。
先日、近所で仕事をされている大工さんとお話しする機会がありました。
73歳でいらっしゃるそうです。
立ち話で5分くらいだったでしょうか。
「床の間が大切なんですよ。」なんておっしゃる姿が妙にかっこよくて。
その時はそれだけの話だったんですが、そういえば、、床の間ってなんだ?って、思いましてね。
もちろん、言葉としてはずいぶん前から知ってはいたんですが、実際に床の間が何なのか、分かってない自分に気づいたんです。
そして恥ずかしい話、床の間って、ずっと寝室だと思い込んでいたんですよ、私。
・床の間とは?
調べてみて、そうだったのか!!と思いました。
床の間、これ、畳の部屋の壁側にある一段高い場所の事です。
お客をもてなす部屋に設けるんだそうです。
例えば、掛け軸が下げてあったり、花が活けてあったり!
おお!!
そうです、花が活けてあるあの場所。
大工さんの言葉が、遅れて胸に刺さりました。
「床の間が大切なんですよ」
もちろん、大工さんとしては他の場所も全部大事なんです。
それは間違いない。
でもあの大工さん、もしかして家屋に向ける日本人の精神性をサラリと仰っていたのでしょう。
ちなみに床の間の、床。
これを私は寝室だと勘違いしてたんですが、なんと「永久(とこしえ)」の「トコ」らしいです。
お客様とのご縁や幸福が、永久に続きますようにとの願いを込めたのが、床の間だとか。
そうか今日から改めて、一段高い所に花を飾ろうと思わせてくれた大工さんとの会話になりました。
☆日本の伝統的家屋三種
・床の間視点
現代にも伝わっている、日本の伝統的建築様式が三つあるそうですね。
この前、床の間を調べていて知りました。
「ああ、そうそう昔習った」程度の記憶しかありませんでしたが、こうして見ると面白かったんでご紹介します。
ただ、ご紹介しても面白くもなんともない。
いや、私が、です。
そこで、床の間の時に「花を活ける空間」を日本人が大事にしていたと知りましたので、ここは「格建築様式と、自然観」という視点で書いてみます。
言うなれば、床の間視点で。
・寝殿造り
これは一番古く、日本建築が形を成し始めた平安時代の建築様式です。
この寝殿造は、貴族たちが住む家屋様式として人気をだったそうです。
この建築の特徴ですが、家の中心に「寝殿」という主人の部屋があり、その周りを廊下で囲む形で作られています。
そして家の内部は壁がなく柱だけ。
よく、観光地のお寺や時代劇で見かけるあれですね。
この寝殿造では、自然との調和が重視されています。
なので、敷地の中にはさまざまな樹木や池が配置されているのも特徴の一つ。
どこからでも四季折々の自然の美しさを感じることができるように設計されているのだそうです。
・書院造り
次に古いのが、この書院造。
こちらは室町時代の成立。
平安時代が、貴族中心の文化であったのに対して、室町時代は武士の時代です。
寝殿造を基に、この様式が生まれたそうです。
この様式の部屋の特徴は、畳の座敷や付け書院。
そして中仕切りの壁や襖に障子、雨戸に縁側に玄関に角柱など、現代につながっているものの発祥がこの書院造なんだそうです。
こちらの建築の中心が、書院。
これは、書斎を兼ねた居間なんですね。
文武両道と申します。
やはり武士は、書斎と言う学びの場も重要視していたという事ですね。
さて、この建築での各部屋は、庭や外の自然とのつながりを重視して配置されています。
縁側からは庭の美しい景色を楽しむことができ、日常の中で植物を中心とした自然を楽しむことができるようになっています。
ちなみのこの書院造の中心だった書斎。
これが段々と時代が下るにつれて簡略化していき、床の間になったという事です。
・数寄屋造り
時代は更に下って、安土桃山時代に成立したのが数寄屋造りです。
こちらは、書院造の中心だった書斎がさらに洗練されて完成された建築様式。
数寄屋造は、和歌や茶の湯や生け花などの風流を楽しむ文化から生まれました。
家の中には工夫された襖や障子があり、そこから庭や外の景色を楽しむことができます。
また、家の中の植物や庭も、日常を心地よく過ごすために工夫を加えて配置されています。
表現を変えると、数寄屋作りは、茶室とも言えます。
余暇の中に文化を見出した風流人たちを数寄者と呼んだそうで。
数寄は、「好き」の意味です。
虚飾を嫌い、質素に洗練して人の内面を磨くというのが、この数寄屋造り。
植物から最大限の癒しを引き出せるのも、この作りだと私も思います。
最後に余談ながら。
エッチが度を越した人を、スケベと言いますね。
え?「エロい」?いえそれは最近の言葉です!
スケベと言うんです、昭和生まれまでは、ね。
そのスケベ、漢字で書くと「助平」
さらなる大元は「数寄兵衛」
物好きで風流な人の事を指した言葉で、決してエロい人を表現した言葉では無かったんです。
人生、風流でありたいですね、私はそう思います。
さて長くなりました、本日ここまで。
どうぞ今日も、佳い一日でありますように!