☆歳神様はいつまでいらっしゃるのか?
これまで述べて来たお正月と松に関するお話も、いよいよ大詰め。
まぁ大詰めと言うほど大仰な事ではないんですが、今日は30日、晦日です。
早い所では明日31日大晦日の日没に。
もしくは、年が明けて元旦の日の出と同時に。
家々に来訪すると言われている歳神様。
この歳神様をお迎え・おもてなし・お見送りする一連の期間がお正月だと書いてきました。
さてでは、歳神様はいつまでいらっしゃるのかについてです。
☆松の内
「松の内」と言う言葉がありますね。
また、松です。
これまではぼんやり、おめでたい言葉だなぁなんて思ってはいましたが、こうしてみてくると分かりますよね。
松の内。
松は、歳神様の依代(休憩所、もしくは仮の宿のイメージ)。
つまり、噛み砕いて言いますと、松の内は仮の宿の営業期間となりますでしょうか?
まぁ身も蓋もない表現ですがご容赦を。
ということは、松の内が歳神様の滞在期間となるわけです。
なので、松の内が過ぎたら、出す葉書も「賀正」から「寒中見舞い」と変わるのですね。
☆松の内はいつまで?
一般には、関東では1月7日まで、関西では1月15日までとされています。
また地方によっては少しばらつきがあるようですね。
これが江戸時代以前となりますと、全国統一で1月15日までであったようです。
さらに、松の内が始まる日は、松迎えを行う12月13日という考え方もあるそうですね。
ただこうなると、松の内の期間中でも、「歳神様をお迎えする準備の期間」と、「歳神様の滞在期間」とに分けて考えなければなりません。
それで、松の内は歳神様が滞在される期間と言う考え方が定着したそうです。
まとめますと松の内は、12月31日日没、もしくは1月1日日の出~1月15日まで。
1月14日まで松飾りをして正月を祝い、15日に外して「どんど焼き」で煙に帰して、歳神様を空へお見送りする、と言うのが正しいようです。
☆魂写し(たまうつし)
神道の考え方なんですが、魂というのは移るんです。
移動ではなく、増殖していく。
イメージしやすいのは、ロウソクの炎ですね。
最初のロウソクにAさんが火を点けて、その火を次のロウソクに移しても元のロウソクの火はそのまま。
それから例えば99本のロウソクに火を移して、100の火となっても、火としてはAさんが点けた火なんですね。
これが魂写しのイメージ。
もう一つ例えると、形見なんかもそうですね。
どこでもある腕時計でも、亡くなった大好きなおじいちゃんの愛用の品とかだったら、世界に一つだけの尊い宝物になるわけです。
でも全く他人から見たら、普通にどこにでもある腕時計だとしても。
これは私たちが無意識に、そこに魂写しを感じているからなんですね。
我が家には、私が大好きだった祖母の使い込まれて少しボロボロになった菜切り庖丁がありますが、これなんかは私にとって、もう会えない祖母そのもので本当に大事な品物なんです。
魂写しは、御魂遷しとも書きます。
この御魂遷しが、歳神様にも起こるんです。
☆鏡開き
大掃除と正月飾りで清浄にした家に、歳神様をお迎えし、松飾りに歳神様の御魂遷しが起こります。
そうすると結構あちこち家の中で、歳神様がお増えになる。
それで、松の内の終わりに、こうして増えた歳神様をどんど焼きでお見送りしますよね。
ところが一つ、どんど焼きに持ち込まずに残るものがあります。
鏡餅です。
ここが一番、歳神様本体の滞在期間が長い所。
その分、その霊力も高いんですね。
という事で、鏡開きで餅を割り、(割っても御魂遷しの力は損なわれず、大小あってもどれでも等しいと考えます)お汁粉にして私たちの体内に歳神様の力を取り入れるというのが、鏡開きの意味なんです。
本来の鏡開きは、1月20日だったそうですから、その頃はずいぶんと餅も硬かったでしょうね。
さて、早い所では明日の日没にいらっしゃるという歳神様。
我が家ではすっかりお迎えの準備もできました。
これからのんびりと大晦日を迎えます。
そして今日も最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳い晦日をお過ごしください💐