☆イネ科の種をまく時候
今日は2025年6月5日、旧暦では5月10日。芒種です。
この芒種に関しましては昨年詳しく書きましたのでそちらをご覧くださいませ。
< 二十四節気~芒種
さて、今年の芒種の七十二候を見て参りましょうか。
☆芒種の七十二候
初候:蟷螂生(6月5日~6月10日)
カマキリが生まれる頃は、大間違い?
「かまきりしょうず」と読みます。
これが一般的には、秋に産み付けられた卵からカマキリが生まれる頃と説明されています。
ところが、これは違うんですね。
旧暦の基準地である近畿地方でもそうですが、カマキリの孵化は新暦の4月~5月。
一ヶ月以上前の事です。
つまりこの時期がカマキリが生まれる頃であるはずがありません。
それで調べたのですが。
なぜ今が蟷螂生なのか?
視点を変えてみました。
旧暦は農業暦です。
農業において、カマキリが卵から孵る時期はそう関係ないんですね。
関係あるのは、カマキリが益虫として農作物につく害虫を食べてくれる事なのだと思いましたから。
本当の蟷螂生
そこでカマキリの卵から孵って本格的活動を始める時期を調べてみましたら、ほぼ今頃からなのですよね。
つまりこういう事です。
卵から孵ったばかりのカマキリは1齢。
(脱皮ごとに、齢が増えます。)
体長この時5mm前後。
目立たない保護色をしています。
そこから脱皮を重ねて現在はおおよそ4~5齢。
体長は30mmくらい。
肉食性が強くなり、縄張りも作り始め、活動が活発になり始める頃。
これが今です。
ということは、です。
まだ幼いカマキリの4齢虫が見つけられやすくなる頃なので、これを古人たちはカマキリが農業での益虫として活動を始めたという事を、カマキリ生ずと称したと私は思うのです。
自然界でも目立ち始め、人の目にも触れやすい形と大きさになり、攻撃性も増して益虫として活躍し始める頃が今なのですから。
その後カマキリたちは終齢と呼ばれる最後の脱皮をして、新暦7月の頃は羽を獲得するという事でした。
余談ですが、交尾時に雄が雌に食べられるというのは100%起こることではないようです。
その時雌が満腹だったらまず無理ですよね。
起こる確率は20%以下なのだとか。
そして仮に雄が食べられてしまったとき、雌の産む卵の量は倍になり、結果雄はその分自分の遺伝子を後世に残す事につながるとナショナルジオグラフィック誌に書いてありました。
次候:腐草為螢(6月11日~6月15日)
「くされたるくさほたるとなる」と読みます。
ちょっと意味が明からない言葉ではありますが、まず蛍からみてみましょう。
蛍という文字は昔は螢、虫と火です。
あの蛍の火が神聖で霊的なものとして捉えられていたのです。
そして蛍の生息地の主な場所が水田でした。
当時は農薬などありませんので、この時期夜ごと舞う蛍は見事だったでしょうね。
稲を守る田の神様やご先祖様の神秘的な光の舞いは、ほたる祭りという形で現代にも残されています。
また蛍は清流にしか住みませんので、ほたるが沢山舞うという事は良い米が穫れる田んぼという事にもなります。
なので蛍が、その田んぼの水質を教えてくれることもご先祖様たちは経験則として知っていたのでしょうね。
そして腐草というのは腐った草ではなく、湿地の地際の湿った枯葉、枯れ草、ススキなどの生え際といった意味合いでしょうね。
そんな神聖な蛍が、湿地の草の地際の湿った枯れ葉の辺りから舞い上がる。
どこか蓮の花に通じる俗から生まれる聖に通じますよね。
これも日本人の宗教観から見いだされた景色なのだと思われます。
末候:梅子黄(6月16日~6月20日)
「うめのみきばむ」と読みます。
梅の実がまだ緑色をしている状態を、青梅(おうめ)と申します。
日本での緑と青の表現については、以前に記事を書きましたのでこちらをご覧くださいませ。
< 緑色の秘密:古代から現代への歴史
この青梅の時期を過ぎて、実が熟してくると緑色から黄色に変わりますが、この黄色に変わった梅が完熟梅。
そして梅干しはこの完熟梅から作られます。
昔は薬用でもありましたから貴重な実だったのです。
そして梅干しは米と相性がよく、梅を入れることで米の保存性が高まります。
そんな貴重な完熟梅がそろそろ収穫を迎え始める頃。
それがこの梅子黄なのです。
そしてこの時期に本格的になるのが、梅に降る雨、梅雨であります。
と言う事で本日はここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳き一日をお過ごしくださいませ💐😊