☆気温が徐々に上昇し始め、雪が溶けて雨が増える時期
今日から二十四節気は、雨水に入ります。
さて、この雨水。
どういう時期かと申しますと、こんな感じです。
冬の寒さが和らぎ、春への移っていく時期。
そして、自然界では雪解け水が流れ、植物の芽が動き出すなど、生命の息吹が感じられるようになっていくという時期なんですね。
農業においても、作物の準備や種まきの目安として重要な意味を持つのです。
☆七十二候
さていつものように、ここからは雨水の七十二候を見てみましょう。
冬の気配から徐々に春が立ち昇る様子が見事に表現されているんですよ。
ではまず、初候から。
初候:土脉潤起(2月18日~2月22日)
「つちのしょう うるおいおこる」と読みます。
脉という漢字は見慣れませんよね。
これは「みゃく」とか「ばく」または「すじ」と読まれますが、現代ではほとんど見かけません。
漢文学の権威、白川静先生の本によりますと、脉は元々血管や血流を意味する言葉となっています。
そこから発展して、生気の流れや、生命の躍動も意味します。
この時期の近畿地方の自然に目を向けてみますと、雪解けが進み、いよいよ春のあたたかな雨が降り出す頃です。
春の雨が地面に浸み込み、永い眠りについていた植物達やその種も、春の訪れを感じ活動の準備に入ります。
寒さも徐々に緩み、植物の活動再開に合わせて、少しずつ動物達も活発になっていく頃です。
まさに、生命の躍動が始まる頃でありますね。
次候:霞始靆(2月23日~2月27日)
「かすみはじめてたなびく」と読みます。
こちらも靆には馴染みがありません。
「たい」や「だい」と読みます。
靉靆(あいたい)という言葉があります。
これは、雲やカスミなどがたなびいている様子、そしてそれが転じて、気持ちがなんとなく晴れ晴れとしないことも指す言葉です。
そして、お香の煙が風を受けずにまっすぐ立ち昇る様子も表す言葉だとか。
靆という一文字だけでは、これも白川静先生の本によれば、雲が層を成してたなびくが元々の意味。
更にそこから発展して、神秘的な雲の動きが、天土地を結ぶものや、時間の流れについての象徴的な意味合いも含められていったという事です。
旧暦の基準地である近畿地方ではこの時期、冬から春への移行期を迎えます。
一日の寒暖差が大きくなり、朝晩は冷え込みますが日中はわりあい温かくなりやすく、そうなると空気の中の水蒸気が増えて視界がぼんやりしてきます。
これが霞(かすみ)。
冬を耐えた植物達の表面を優しく覆い、日中には乾燥しますよね。
その刺激もあって、多くの植物達は、いよいよ芽吹きの最終準備に入るものも多いようです。
昔の日本人も、霞に時間の流れを感じていたのでしょう、そんな時候です。
末候:草木萌動(2月28日~3月4日)
「そうもくめばえいずる」と読みます。
霞始靆で最終の芽吹き準備に入った植物達が、いよいよほんのりと若い芽を出し始める頃です。
こうして雨水の最後には、いよいよ芽吹きの季節を迎えるという事なのですね。
草木萌動、この文字からも黄緑色がイメージされます。
いよいよ本格的な春の到来であります。
九州の方ではとっくにこの時期を過ぎ、北国ではまだまだ雪の便りも多い頃。
旧暦の基準地、近畿地方では、このような時期なのだなぁと嬉しく暦を眺めております。
という事で本日はここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳き一日をお過ごしくださいませ💐😊