父系遺伝と、母系遺伝と

遺伝 命の不思議
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☆弥生人の顔復元と言うニュース

復顔された、青谷上寺朗(あおや かみじろう)

青谷上寺朗。
この方は、鳥取県の青谷上寺地遺跡で見つかった弥生人の人骨から2021年10月に復顔された成人男性につけられた名前。

復顔とは、頭蓋骨に法医学の立場から肉付けを行い、生前の顔を再生させることです。
これが現在では、結構な精度で再生できるんです。

さて、こちらが青谷上寺朗さんです。
青谷上寺朗

二体目の復顔

2024年3月20日。
青谷上寺地遺跡で発見された人骨の二体目が復顔された方がこちら。
青谷弥生人
※鳥取県のHPより

こちらは、鳥取県が二体目の復顔は女性にしようと考えて、女性と思われる頭骨を選んで復顔したんです。

しかし、DNAを分析したら、男性だったと判明したんですね、復顔した後に。
驚いたでしょうね。
男性の特徴がこの頭骨に見られなかったから生じた間違いだったんですが、そういう男性的特徴が出る前の10代前半の少年の頭骨だったんです。
伊豆大島

☆一体目と、二体目の遺伝子情報

このお二人。
遺伝子情報が分かっております。

一体目の青谷上寺朗さんは、父方が縄文人で、母方が弥生人。
前にも申しましたが、縄文人は古来からの日本在住の人種です。
そして弥生人は、渡来人、つまり大陸から海を渡って日本に住み着いた人種ですね。

そして二体目、まだお名前の無い少年。
こちらは、父方も母方も、弥生人という事が分かっております。

こうして縄文と弥生が、ここでも静かに混ざり合っていったという事なんですね。
ここで触れておきたいのが、父系遺伝と母系遺伝です。
平たく言うと、男だけに起こる遺伝と、女だけに起こる遺伝です。
遺伝

☆Y染色体は、父系遺伝

これは、男の系列だけに起こる遺伝のこと。

お祖父さんから、お父さんへ、そして男の子へと。
男から男だけに伝えられる遺伝なんです。

これはけして女の子には伝わらない遺伝情報。
遺伝子

さてこれは何かと申しますと、ヒトの性染色体ですね。
これは必ず、男が「XとY」
そして女が「XとX」

それで、子供がお母さんの胎内で形作られるとき、お父さんとお母さんの性染色体を一つずつもらって、その子の性が決まるんですね。
お父さんの性染色体の内、Xをお母さんが受け取ると、お母さんの性染色体はどちらもXですから、XとXでその子は、女の子になる。

一方、お父さんの性染色体の内、Yをお母さんが受け取ると、お母さんの性染色体はどちらもXですから、YとXでその子は、男の子になる。

その男の子が大人になって、結婚して男の子が生まれたら、自分のY染色体を受け継いでいるという事なんです。
そこで女の子が生まれたら、お父さんが先祖代々受け継いできたY染色体はそこでおしまい。

つまり、男は自分の中に受け継がれてきたY染色体を調べると、父方のみの先祖が分かるんですね。

これがY染色体の父系遺伝です。
遺伝

☆ミトコンドリアは、母系遺伝

こちらは、女の系列だけに起こる遺伝のこと。

お祖母さんから、お母さんへ、そして女の子へと。
女から女だけに伝えられる遺伝なんです。

これはけして男の子には伝わらない遺伝情報と言われていますが、最近の研究では例外もあるかもと言う報告もされています。
遺伝子

さてこれは何かと申しますと、ヒトの細胞の中のミトコンドリアですね。
ミトコンドリア

ミトコンドリアとは、ヒトの遺伝子情報とは別の遺伝子情報を持つ、ヒトの細胞の中の小器官。
これはどういうことかと申しますと、元々人の中心として進化する生命体が、まだアメーバみたいな頃の時代。
ミトコンドリアをガバッと包み込んで食べようとしたとき、消化せずに共生し始めたのだと言われています。
※下の図は、動物細胞
動物細胞

ヒトの細胞は、取り込んだミトコンドリアを消化せずに生かしておくことにした。
その代わり、ミトコンドリアから、呼吸するという機能を手に入れることができたんです。

一方ミトコンドリアは、消化されずに生かされたことで、まるでヒトの細胞に服従を示すように、独自の進化と増殖の能力を放棄したんです。

これは不思議ですよね。
元々別の生物。
それが何かのきっかけで共生関係を結び、ミトコンドリアの力で呼吸を獲得したヒトの古い祖先が、爆発的な活動力を手に入れた。
そしてミトコンドリアは、自分の中のDNAはそのままで増殖に関しては、ヒトの細胞任せ。

ちなみに植物にもミトコンドリアはあります。
動物も植物も、ずっと古い時代は同じ生物ですから当然なんですが、なんだか不思議ですよね。
※下の図は、植物細胞
植物細胞

それで、このミトコンドリアの遺伝が面白い。

女の子はお母さんのミトコンドリアを受け継いで大人になって、結婚して男の子が生まれたら、お母さんのミトコンドリアはそこまで。
一方、女の子が生まれた場合、お母さんのミトコンドリアを受け継いでいます。
その子が大人になって、そこに女の子が生まれたら、お祖母さん、お母さんと先祖代々女系で受け継がれてきたミトコンドリアが続いていくんですね。

つまり、女は自分の中に受け継がれてきたミトコンドリアを調べると、母方のみの先祖が分かるんです。

これがミトコンドリアの母系遺伝です。
遺伝

☆まとめ

今日は、なぜ父系とか母系とかで祖先が分かるのか、という話でした。

この世で生きている、ありとあらゆる生き物は、こうした遺伝の果てに存在してるんです。

祖母のミトコンドリアは、私の子供には受け継がれてないんだなぁ、、などと。
まぁ、科学的な話ではありますが、こう言う事も頭の片隅にちょいと置いて、大好きだった祖母の31回目の命日に手を添える朝です。
遺伝
という事で本日ここまで。

最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳き一日をお過ごしくださいませ💐

Ψ~ 緑の命 ~Ψ
執筆者
毎日をワクワクに変える植物教育研究家
kazuhiko
略歴
園芸の生産・流通・販売・教育と多岐にわたり都合45年勤務。
植物がもつ癒し力や、ちょっとミステリアスな植物の物語を、色んな年代の方に届けています。

現代は、デジタル時代。毎秒おしよせつづける情報に、私たちの脳は、年中無休の疲れ気味。 そこで身近な植物を使った、効果絶大わずか5分の、カンタンな心身癒しをご提案中♪
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