☆真冬の停電
電柱と電線の話
先日の暴風雪で、北海道内では一時おおよそ36,000件で停電が発生したそうです。
これは、湿った重たい雪が電線を切ったり、または電柱ごと倒されたりしたことが原因だそうで。
ここからも分かるように、湿った雪と強い風の力というものは相当なものがあるのです
ところでずっと以前、職場に電柱工事が入った時がありまして。
その際、工事の方から色々話を伺った事があります。
こういう時の雑談というものは、本当に宝の山ですね、知識の宝。
職人さん方の休憩の折に、缶コーヒーの差し入れで専門的なお話を聞けるというのですからお得です。
もっとも、聞き方、質問の仕方が大事なのですが。
あれですね、電柱というものは、電線の張り具合で割合簡単に倒れてしまうものらしいです。
地面に埋まっているのも、全体の長さの六分の一なんだそうで。
そう聞くと、なんとなくイメージできますよね、意外と浅い。
だから、ゆるめ過ぎてもいけないし、張り過ぎてもいけない。
素人から見たら、まさか電柱が電線に引っ張られて倒れるなんて思えません。
電線が切れても電柱はそこに立ったままというイメージしかありませんでしたが、それは間違いだそうで。
何であっても、やはり専門の方に聞いてみるもんですね。
目から鱗が落ちるという話も多いですし。
ですので、電柱間の距離は決まっているそうで、その決められた距離より離して次の電柱を立てた場合(そんなことは起こりえませんが)、電柱の傾きや自然倒壊が起こる可能性が高まるのだそうです。
このように、我々が思っているよりは、電柱は強くないものなのでしょうね。
電柱と電信柱
余談ながら。
電柱と電信柱の違いについて。
私の周囲に、こういうことを言う人が居りました。
木で出来たものが電柱で、コンクリート製のものが電信柱だ、どうだ物知りだろうわっはっは。
どうしましょう。
この頃まだ若かった私はこの方の話を1週間信じていました。
はい、間違いなのです。
まず電柱について。
これはまず、電気が普及し始めた頃は、木製が一般的だったわけです。
それが技術が発達してきて、耐久性のあるコンクリート製や金属製の電柱が増えてきたという流れです。
今ではプラスチック製の電柱もあるのだとか。
次に電信柱について。
まず、電気を伝える柱を全て電柱というのでして、その中で特に通信関連の電線を架けている物を、電信柱というのだそうです。
現代では、光ケーブルなども走らせる役割を担っているそうで、これは電気なのか光なのか、私には専門外過ぎて分からない話ですが、それでもこちらも電信柱と呼ぶのだそうです。
そう言えば。
宮沢賢治さんの作品に、月夜の電信柱というものがあります。
少年が、誰も居ない月夜の晩に道を歩いていると、道脇の電信柱が歌いながら歩きだすという話。
その際に、電信柱たちが歌っているのは、こんな歌詞でした。
「ドッテテ、ドッテテ、ドッテテド
電信柱の兵隊は
規律、世界に並びなし
ドッテテ、ドッテテ、ドッテテド、、、、」
まぁ、この歌詞は私の弱い記憶の中のものなので、実際はちょっと違うかもしれません。
それでも賢治さんが、電信柱の兵隊としたのが実に凄いと思います。
それは元々電信柱が、軍のモールス信号の送受信にも活躍していたからです。
人の気配のない月夜の道に、電線を緩める事も張り過ぎる事も無く、同じリズムで突然歩き出す電信柱。
そしてその歌。
やっぱり宮沢賢治さんという方は、澄んだ感性を持つ方だったのでしょうね。
☆停電と現代の生活
さて今回、暴風雪による北海道での大規模停電ですが、その後復旧が進んでおりまして。
今現在で、まだ停電しているのは、オホーツク地方・根室市・釧路市のおおよそ2500戸との事。
それも今日の夕方までには全て復旧の見通しであるとの発表がされております。
復旧はすると申しましても、この時期の北国での停電は本当に危険で。
高齢の方やご病気をお持ちの方などには、すぐに命に関わる問題にもなりかねません。
この時期の最初の問題は、やはり暖房でしょう。
いくらかは重ね着をしてしのげますが、停電で暖房が止まった場合、家屋の壁が外の冷気によって冷やされて、その寒さが家の中に居ても徐々に骨身に沁みてくるようになります。
その時間差がだいたい6時間ほどと言われております。
これは逆に夏場でも言えることで。
外の気温がかなり高い場合、約6時間後にその熱が室内に伝わり寝苦しい夜に直結するとの事です。
話は戻って、冬の停電。
なので北国の暖房は、電気に頼ってばかりいては怖いのです。
仮に電気が止まった場合に備えて、電力依存以外の暖房設備もしっかり備えておくことが重要。
それは昔ながらの薪や石炭ストーブであったり、練炭を少し備蓄しておくというのも良いかもしれません。
(この場合部屋の広さにもよりますが、部屋の密閉度の高い現代では、一定間隔の換気が必要)
ちなみに我が家の通常暖房は、昔ながらの灯油ストーブ一台です。
そして玄関には18ℓの灯油タンクを常時最低でも6缶備蓄しております。
暖房しながらお湯も沸かせるのでガス代も浮きますし、加湿も行えます。
こういう昭和な生活も、良いものですよ。
☆キャンプのススメ
まぁ、どこで暮らしていても、災害は起こり得ます。
その点を考えてみましても、便利だからと電力ばかりに頼って生活していくのは少し危ないのではないかと私は考えております。
先述の石炭や薪ストーブ、それに練炭であっても、停電してもしなくてもガス台も使えなくなるかもしれません。
そこでマッチなどからきちんと火をおこすという、昔の人たちが普通に持っていた技術を身に着けておくというのはとても重要な事です。
そこで、そういうことを頭に置いて練習も兼ねて楽しみながら行うと良いのが、夏場のキャンプであります。
最近流行りのオートキャンプですか?
あの自動車を利用してのキャンプ。
あれなんかは手軽で良いかもしれませんね。
それと是非挑戦していただきたいのが、マッチ1本で薪などに火を点ける技術です。
是非、ゲーム感覚で挑戦してみてください。
そういう事が、いつの日にか、大事な人たちの命を救う事につながるかもしれませんので。
私はたまたま16歳の頃から、こういうキャンプに関わることになりましたので、本当にいろんな面で助かってますし役立ってますし、お役にたてる時がたまに今でもやって来る事が有ります。
30代の時などは、冬の4ヶ月ほどをキャンプ(屋外テント生活)で過ごしたこともありましたが、これも貴重な経験となって今に活きております。
是非皆様も、緊急時に困らないためにも、夏場のキャンプで目いっぱい遊びながら色々見つけてください。
大事な事は、平時に、遊びながら、です。

