☆環境変化:スズメの数が減っています
ある日みたスズメのニュース
スズメが全国的に減っているというニュース。
これを近年よく目にしてました。
私がこの話を最初に目にしたのは4年前ぐらいでしたか。
何でも、調査の結果、50年前と比べたら10分の1程度になっているとか。
スズメと言えばとても身近な鳥ですから、しかも私の実家の周りには沢山いましたから。
激減と言われてもピンときませんでしたが、、、よく考えると確かに、東京で暮らしていた時には少なかったですね。
そこで今日は、雀の減少について私なりに調べてみました。
環境省の調査
環境省の「自然環境保全基礎調査全国鳥類繁殖分布調査(2016-2021年)」
これによっても、総個体数の減少が確認されています。
※ 出典:環境省自然環境保全基礎調査全国鳥類繁殖分布調査(2016-2021年)について
この調査は、2021年10月25日に発表された、全国の2,344地点での調査、379種の鳥類の情報を記録です。
さて、この調査でスズメの項目をみますと、、、。
減り幅が大きいですね。
環境の調査でこう出ているわけですから、減って行ってるのは間違いないですね。
☆スズメの数が減ってる原因
スズメは、世界的に減っている
コーネル大学鳥類学研究所(Cornell Lab of Ornithology)。
ここでのプロジェクト・フィーダーウォッチ(Project FeederWatch)の21年間の市民科学データでも、ヨーロッパや北米でのスズメの減少が報告されているんですね。
どうやら世界的に、みたいです。
その原因とは、なんでしょうか?
そんな疑問が生まれましたので、調べてみました。
スズメ減少の原因
スズメが減った主な原因。
これは大きく3つです。
以下、その原因を述べます。
1、ヒトの、住宅事情の変化
2、農家の穀物生産の減少
3、農薬の高性能化
これらを以下にもう少し詳しく書いてみます。
住宅とスズメの関係
スズメと言う鳥は面白い鳥で、人里に居付くんです。
私は昔、野外生活の指導などもやっていました。
そこで山歩きをして道に迷う事があるかもしれない。
ここで言われていた一つにこういうのがありました。
スズメを見かけたら人の家が500m以内にある場合が多いと。
スズメは家屋に巣をかけやすいんですね。
それが近年、急速にコンクリート化してますよね。
こうなると、スズメが人家に巣を作る隙が無い、とこうなるわけです。
まさか、そんな!と思われる方もいらっしゃるでしょうが、これぐらい人とスズメは近い距離で暮らしてきたんですね。
穀物とスズメの関係
日本には、弥生時代に稲作が渡って来ましたよね。
そこで、スズメは米も食べますが、米につく害虫を多く食べてくれます。
また人の近くには天敵も近寄りづらいので、スズメにとっては好都合。
こう言う事で、人が作る穀物とスズメとは切っても切れないものがあるんです。
ここ60年の、日本のコメ生産量の推移グラフです。
赤は人口の増加で、青がコメの生産量。
左端が60年前、右端が現在となります。
出典:日本の穀物生産量(推移と比較グラフ) GraphToChart
米生産量のみに絞るとこうなります。
出典:日本の穀物生産量(推移と比較グラフ) GraphToChart
はい。
スズメの減少と同じようなグラフですよね。
ちなみに穀物生産量が減った理由としては、稲作農家の離農。
また、離農しないまでも、稲作が野菜や花農家に移ったという事もあります。
農薬とスズメの関係
農薬が直接スズメに害をなすことは少ないとは思われます。
ところが、エサとなる虫には効きますよね。
日本で化学合成農薬がドンドン使われるようになったのは、第二次世界大戦後です。
そこから時代が進むにつれて、顕著な効果が出る農薬が次々開発され続けています。
農薬の高性能化ということですね。
そこでスズメの食料となる種類の昆虫が少ない場所も出てくるんですね、かつての時代に比較すると。
つまりこれは、スズメと違って直接私たちの目に触れづらい昆虫の世界が変わってきているという事を意味すると、私は考えています。
こういった見えづらい世界の変化は、やがて見える世界の変化へと伝わっていきます。
スズメの減少も、やがてはもっとハッキリと私たちの目に触れる大きな形で返ってくるのが怖いなぁと思います。
虫も鳥も人も、つながって生きていますから。
☆スズメ駆除のしっぺ返し~中国での話
四害駆除運動
1949年に建国した中華人民共和国、通称:中国。
ここで行われたものに、四害駆除運動と言うのがあります。
これはけっこう有名な駆除活動です。
動物もひどい目にあったけれど、人もひどい目にあったというものでした。
1958年から1962年にかけて行われたこの運動は、ハエ・蚊・ネズミ・そしてスズメを撲滅させるという国家的な運動。
ハエや蚊、そしてネズミは何となくわかるんですが、ここにスズメが加えられてる。
この理由は、スズメが稲を食べるからという事なんです。
それで国家が奨励して、金属を叩き続けてスズメが木で休めないようにして飛び疲れさせて命を奪ったり、飛んでいるところを射ったり。
また巣や卵を壊し、ひな鳥の命を奪ったり。
これらに褒賞が出るというので熱心にやった。
それでわずか2年で中国のスズメが絶滅寸前まで追い込まれたというんですから、その凄まじさが分かります。
ところが2年経った1960年、学者さんが指摘するんですね。
スズメは昆虫も食べてくれているので、これはバランスが崩れて大変なことになりますと。
それで検討されて、スズメは一転、益鳥扱いされるようになった。
それで、スズメの代わりに四害の一つに加えられたのが、あの悪名高きトコジラミでありました。
自然の大反撃
さあ、そうは言っても、一度絶滅寸前にまで追い込まれたスズメは頑張れません。
スズメの居なくなった中国は、ワタリバッタをはじめとする害虫天国となり、そこに大規模な森林伐採も加わり、大飢饉を引き起こしました。
一説にはこの大飢饉で、4500万人の人々が命を落としたと言われています。
そこで対応策として、ソ連から約25万羽のスズメが輸入されたというのですから、何とも皮肉な話です。
そしてもう一方で、こう言う事も言えます。
この四害駆除運動の方法を見ていると、間接的被害にあったのはスズメだけではなかったはずです。
しかしその点にはスポットは当たっておりませんので、詳しい事は闇の中。
ともあれ、自然を舐めてかかると、その反撃に人類は無力という事だけは、いつの時代も明らかです。
☆鳥獣保護法
まぁ今は何とも切ない事に、小学校の運動会の練習の声にも、また除夜の鐘などにも、うるさいとクレームが入る時代です。
しかもなんと、スズメの声がうるさいので駆除してほしいという依頼がたまにあると、業者さんが言ってました。
いやいや、どこまで自分中心に生きてらっしゃるの?と驚きますが。
さてこういう場合、鳥獣保護法と言うのがあります。
スズメが、まぁ他の野鳥でも良いんですが、鳴き声がうるさいと勝手に駆除した場合、罰せられますので御注意。
仮にスズメを勝手に捕まえたり、駆除したりすると、罰金100万円以下か、懲役1年以下となったりします。
☆ほんの少しの恩返し
こんなたくさんの背景があり、数を減らしているスズメたち。
もちろん、変化した今の時代に合った数なのでしょうけれど。
その数の減少に見合う別勢力の数の変化も、当然起こってきます。
それが良い方向に行けばよいけれど、悪い方向に言った場合には大変なことになったりする可能性がありますよね。
そこで、せめてもと、巣箱を作ってみようと思いました。
バードテーブルは、先日も申しました通り現在作成中。
こちらは晩秋から初春までの期間限定開業予定。
しかし巣箱なら、スズメも気が向けばせめて使ってはくれまいかと思った次第。
弥生時代から共に暮らしてきたヒトとスズメのご縁ですから、ほんの少しの恩返しの気持ちも込めて、近日中に作ろうと思います。
札幌は雪解けが急速に進んでいます。
今年つむがれるかもしれない巣箱の物語にワクワクしている月曜日です。
ということで、本日はここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳き一日をお過ごしくださいませ💐