☆苗の根ほどき
根を傷めない、セルトレイ
今では、セルトレイというのが売られていて、植物の種まきもずいぶん楽になりました。
これを使うと、種をまいて根っこが出てきた時に、土の中でキュッと育ってしっかりした株になるんです。
しかも、2つ以上種をまく時でも、植物同士の根が絡まなくて大変扱いやすい。
ただこのセルトレイ。
便利ですが、1マスが小さいものですから、うっかりしていると根の行き場がなくなって根の老化現象を引き起こす「根詰まり」を起こします。
なので植え替えのタイミングを間違えないようにしないといけません。
こちらがセルトレイ。
これに種まき用の土を入れて。
そのマスごとに種をまいていきます。
やがて芽が出て、根っこも張ってきますので良いタイミングでスポンと引き抜いて、大きめの容器に植え替えするといった具合。
※こちらの写真は、タキイ種苗HPセルトレイ栽培より引用。
これによって苗同士の根が絡まなくて、植え替え作業もスムーズに行えるのでずいぶん楽になったものです。
ところが、昭和の頃はこういうものが無かった。
それで私たち世代は、「根ほどき」というのを教えられたものです。
昭和までの技術:播種法(はしゅほう)
今から、、、そうですね、40年ほど前ですかね。
確か1985年あたりだったと思いますが、その頃にこのプラスチック製のセルトレイが園芸界に登場したと記憶しています。
そしてプロの世界でどんどん使われるように案ったのは、つまり広く普及したのは1990年あたりじゃなかったかな。
もう今ではすっかり世の中に馴染んで、ホームセンターでも普通に売られていますよね。
さてこのセルトレイが登場する前は、ちょうど私の世代が境目じゃないでしょうか。
若手の頃は、江戸時代から行われてきた箱撒きで鍛えられましたから。
箱撒き(はこまき)というのは、種まき用の土を小箱に入れて、そこに種をまく方法です。
おおよそ3種類ありまして、まぁこれは後日詳しく書くことにしますが。
その中で特に鍛えられたのが、散播。
これは、「さんぱ」と読むんですが。
※「さんぱん」と言う方も今ではいらっしゃいます、けれども、それは間違いです。
いわゆるバラ蒔きです。
この方法を使う種というのは、細かいものが多いんです。
そしてやや量も多い。
その細かい種を、土一面に、まんべんなく種を散らすんです。
撒き方としては、慣れれば一番楽ですね、慣れれば、ね。
でも芽が出てきたら、ハッキリと上手い下手が分かる恐怖の種まき法。
良い気分でササっと撒いて、芽が出てきたらアラアラとなったりする。
種がどれほど細かいかと申しますと、そうですね、イメージ的には、粉。
山椒の粉の一粒一粒ほどの大きさでした。
最初は本当に驚いたものです。
第一、均等になんか撒けやしませんでした。
でも良くしたもので、段々とまんべんなくできるようになるんです。
やはり人間の感覚というのは凄いものがあるものだなぁと、自分自身に感動したことを覚えています。
昭和までの技術:根ほどき
さてこの散播ですが、芽がしっかりして、通常は葉が数枚広がったら植え替えです。
この植え替えの時に、土から掘り上げ、互いに絡んだ根っこを傷めないように上手にほどいてあげることを「根ほどき」と言います。
これも、今やセルトレイに慣れて、最近プロになった方はやれないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょう?
思ったよりも複雑に絡んで、どうにかすると途中からごっそり切れてしまうんです、根が。
そこで上手く土を落としてあげて、最愛の人~~~みたいな絡み方をしている苗同士を、傷つけないように別れさせてあげるのが、根ほどき。
苗ほどきと仰っていた師匠もいらっしゃいました。
根ほどきの難しさのイメージ写真
植物によって、根の性質も違いますから、それを指先で読むんですね。
そして指先で植物の根と会話しながら上手に別れさせてあげる感じ。
う~む、言葉では難しい、、、。
それで、今日の記事のテーマは、藍苗の根ほどきです。
どうです、この根っこの絡み具合。
しかも三本三角関係。
これが入り組んだ根っこです。
これを両手に取り、指先だけを使って切らないように、しかもなるべく短時間で絡みを取っていきます。
肉眼で見える部分には、ほんの切れ端も落としていません。
まずは一本が外れ。
残る二本も無事に別れ。
、、、こうして書くと、根ほぐしの大変さが、全然伝わらないことに今気づきました。
まぁいいや、昭和の技術には言葉では伝えられない微妙な手先の加減があるのですという雰囲気だけでも伝われば幸い。
十三分!
これが私の藍の根ほぐしに要した時間です。
まぁ、絡み過ぎた藍は厄介ですぞ思春期をお過ごしの皆さん。
どうぞご注意あれ!などとお茶を濁しながら本日はここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳き一日をお過ごしくださいませ💐