☆菊屋奈良義さんの優しい視座
菊屋奈良義さんという方
昨日読了しました、菊屋奈良義著:キムラグモ
< 古本屋にて
面白かったし、興味深い内容でした。
ただ一種の蜘蛛で、本が一冊書けてしまう熱量。
昔、私に「蜘蛛をいじめる人は、私、嫌いなんです。」と穏やかに仰った菊屋さん。
もう感激なのは、そのお人柄そのままの文章が綴られた本でした。
とにかく優しい。
蜘蛛に対するまなざしが優しい。
キムラグモが巣くう場所に行って、ずっと観察を続けて、蜘蛛といわゆる顔なじみになって行く。
この自然に対する姿勢や敬意が、じんわりと、読み手のこちらの心に届いてくるんです。
進化をやめた蜘蛛
そしてこのキムラグモ。
簡単に申しますと、進化をやめた蜘蛛でして。
お腹に海老のような節があるんです。
海老で申しますと、後ろ半分の曲がったところにある幾つもの節のことです。
環節といいます。
キムラグモにも、環節があるので、蜘蛛はエビカニの仲間だと分かるのだそうです。
私、この本で初めて知りました。
こちらは海洋堂で出していた沖縄キムラグモのフィギュアとのことですが、ご覧ください。
腹部(お尻に見える部分)に、環節が分かるでしょう。
蜘蛛は足が8本ですが、キムラグモは10本に見えますよね。
これは、カニもそうです。
カニの足は8本。
しかし、、、
ハサミを入れると、10本に見えますよね。
キムラグモの一番前の足に見えるのも、このハサミに当たる触肢というものなのです。
そしてカニのお腹。
やや三角形に見えるフンドシと言われる部分があります。
カニの場合は、ここに環節が見られます。
このフンドシを背中側にグイと開いて膨らませれば、進化をやめた原始的な蜘蛛のキムラグモと言う訳です。
つまりキムラグモは、エビカニから蜘蛛が分かれた時の名残りを残した生き物という事になるのです。
菊屋さんが手渡された言葉
この本の中で、菊屋さんが大先輩から伝えられた言葉が、とても印象的だったので、最後に添えておきます。
そこ言葉は、これでした。
「声なきを聞き、姿無きを見よ。」
なんとこれ、まさに今の私が心に常に留めていることでした。
私の場合は、「聴こえない音を感じ、見えないものを察する」ですが。
菊屋さんが伝えられた言葉の方が洗練されています。
凄い。
やはり菊屋さんは素敵な方だなぁと今頃思い返しています。
ああ、40年前に戻りたい。
折角同じ場に居て、言葉も掛けてくださったのに。
後悔先に立たずであります。
そんな本に今出会えたことに、感謝を感じつつ。
という事で本日はここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳き一日をお過ごしくださいませ💐😊