☆川辺の植物忘備録
様々な利用
薬として
山たづ。
山は、自生地を指すのは分かります。
では「たづ」はどういう意味でしょうか?
まずは、漢字で多豆と書かれています。
つまり花の後、たくさんの赤い豆のような実が成る事から来てるのでしょう。
でもそれではあんまり、見たまんま。
どうも色々役立つこの木にはもう少し言葉の意味が込められていそうです。
そこで古語で調べてみたんですが、これがなかなか味わい深いものがありました。
まず、たづ、これは「たでる」の文語形です。
つまり話言葉では「たでる」。
それを昔の書き言葉にすると「たづ」となるという事です。
では「たでる」とは何かと申しますと、これは腫物などを薬湯で蒸したり湿布したりすることです。
つまり山たづは、山にある貼り薬の木という意味になりますね。
では実際にニワトコは貼り薬として使われていたのでしょうか?
気になりますよね。
調べてみました。
すると、ニワトコの若葉を乾燥せて生薬にしていたという記述がありました。
そして、その煎じた液を打撲などの治療で湿布していたとも。
また、ニワトコの別名が、接骨木。
この名は、この木の枝や幹を煮詰めて水あめ状にして、骨折治療の時の湿布薬(もしくはギプスの意味もあると思われます)にしたためと言われてます。
今でも、漢方薬として使われているんですって。
どうでしょう?
こういう点からも私は、山たづには、山にある貼り薬の木という意味が込められているように思うのです。
食用として
若葉は山菜扱いで、天ぷらにして食べるのだそうです。
但し、食べ過ぎは良くないみたいですね。
また、実の方は果実酒にすると良いそうですよ。
入浴剤として
あと、乾燥した枝を100gほどを、お風呂に入れると入浴剤にもなるらしいです。
効能は、関節痛・関節炎・うちみ・捻挫の症状軽減または治療。
なんでも、ニワトコに含まれる成分のトリテルペンが効くのだそうです。
庭木として
こうして色んな使い方ができるので、便利という事もあり、かつては庭木に植える人も多かったらしいですね。
なので、ニワトコ。
まず、暑さ寒さに強い。
そして剪定にも強いので、仮に途中で折れたにしても再生力があるという事です。
また、庭や家のバランスを取って刈込みも気兼ねなく行えるという事ですから重宝。
そして、花や実にメリハリがあり、また花から実に変わる時の様子もなかなか面白いんです。
白い花が終わって、緑の実が成り、それが少しずつ赤へ。
これで季節感も感じられるというので好まれたようですね。
魔除けとして
それと、この木は正月飾りにも使われるほど魔除けの力が強いとされていました。
ニワトコで作った正月飾りを十六花と言います。
これは枝を薄く16ヶ所そいだもので、削り皮を花に見立てたものです。
何でも16は、おかいこさんの足の数(正確には足ではないですが)。
ニワトコの生長の速さに縁起を担いで作るものらしいですね。
そうそう、西欧でも同じみたいですよ。
セイヨウニワトコという木がありますが、それも精霊の住む神秘的な木であったり、キリストが磔になった十字架に使われていたという事です。
それで、こちらは本や映画ですが、あのハリー・ポッターシリーズ最強の魔法の杖は、セイヨウニワトコから作られていました。
なるほどこういった背景からニワトコが最強の魔法の杖だったというわけですね。
こんな感じのニワトコですから、そんな木を庭に植えていると心強いですよね。
なにか凄い力で守られているような気がして。
という事で本日はここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳き一日をお過ごしくださいませ💐😊
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