☆川辺の植物忘備録
植物界の歌舞伎役者
クマザサ、というのがあります。
なんだか熊が食べそうな笹ですが、この場合の熊はパンダ(大熊猫)でしょうね。
ところがクマザサのクマは、熊ではない。
正しくは、「隈」です、隈取(くまどり)のクマ。
葉っぱの周囲が白いので、これはまるで歌舞伎役者の隈取だ!ってんで、隈笹です。
お里は、京
元々は京都の生まれ。
鞍馬や大原に、野生のクマザサがあるそうですが、私はまだ見たことがありませんので、一度は訪れてみたい場所の一つです。
ここで育っていたクマザサが、庭園の巨木の下植等に良いと評判になり、また冬場に大変綺麗だとも重宝され、日本各地の庭園中心に広まっていったという話。
ただこのクマザサ。
最初から葉のふちに白い隈はないんです。
新葉の頃は全部、爽やかな緑。
その葉が冬を越すときに、寒さで葉のふちの細胞が死んで白くなる。
なので隈がある葉は、一度冬を越した葉なのです。
隈笹十八番
歌舞伎に、市川家のお家芸「歌舞伎十八番」という十八の演目があります。
これと同じように、隈笹にもお家芸ともいえるものがありまして。
細かく言うと簡単に十八を超えるのですが、ここは大きく分けてその特徴などを見てみましょう。
園芸の面
① 観賞用:庭に植えて、その風情を楽しむ。
② 根締め:庭園の大木の根元に植えて、下草として大木を引き立てる。
この①と②はすでにお話ししました。
これに加えて、こういう面もあるのです。
対細菌の面
③ 抗菌効果:2015年の研究では、院内感染におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌への抗菌性も認められた。
④ 防腐効果:バンフォリンという成分を含んでおり、これが防腐効果抜群で、チマキや笹寿司などに使われている理由がこれ。
飲食の面
⑤ 食料:10年に1度咲くクマザサの花。そこからみのる実は、野麦と呼ばれ、飢饉の時の非常食として食べられていました。
⑥ 飲み物:言わずと知れた、効果抜群の隈笹茶とはおいらのことだ!!
日常面
⑦ 入浴剤:乾燥させたクマザサの葉を軽く刻んでお風呂へ。疲労回復・肩こり腰痛の改善・冷え性予防・体臭予防に美肌効果もあると旅先で知りました。
⑧ 歯磨き粉:口臭・虫歯・歯周病予防に、クマザサエキス配合の歯磨き粉も売られています。メーカーと大学の共同開発なんて謳ってあります。一般にはクマザサの葉を乾燥させ擦って粉にして使います。
⑨ 化粧水 :クマザサエキス入りの化粧水も、肌に良いと売られています。
⑩ 消臭剤 :同じく消臭剤も。
⑪ クマザサエキス
⑫ クマザサ石鹸
常備薬として
⑬ うがい薬:きれいに洗って天日干しした葉を、ウガイ水に小一時間程浸し、葉を取り出してウガイします。殺菌抗菌効果があるので、風邪予防にもなります。
⑭ 傷薬:古くから、クマザサのエキスには傷やヤケドを治す効果があると知られていました。近年ではクマザサを使った軟膏も販売されています。
神事
⑮ まつり:クマザサには神が宿るとされ、熱湯に浸したクマザサを左右に振り無病息災を願う神事が伊勢に有ります。ササやタケなどの中空の植物には、古来より神が宿ると信仰の対象でした。
う~~ん、疲れました。
とにかくいろいろありすぎ。
これが、万能薬と言われて親しまれてきたクマザサという植物なのでしょう。
これからも研究が進んで、思いもしない製品が出てくることになるかもしれない植物ですね。
という事で今回はここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳き時間をお過ごしくださいませ💐😊