清水寺での桜倒木に思う

弘前城の桜 古典園芸
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☆樹木へのいたわり

京都・清水寺にて

一昨日(2024.4.23)正午前。
京都府の清水寺産寧坂(三年坂)にて、高さ9m直径40cmほどの桜が突然倒れ、60代の男性が怪我をして病院へ移送されました。

この桜は、枝垂れ桜。
産寧坂に向かって垂れるように咲く名物スポットの木「先触れ桜」でした。
産寧坂の桜
それがおそらく、樹齢100年以上だったと言います。
80年という桜の寿命を超えていたんだとおっしゃる解説者もいらっしゃるようですが、きちんと手入れすれば関係ないんですね80年なんて。

おそらく私有地だったという事ですから、コンクリートで覆われた狭い土地で根が伸ばせず、しかも厚意から、より多く産寧坂に垂れるようにと地上部を派手に茂らせたのでしょう。

そしてこの花と葉が茂る時期ですから、地上部の重さが100~200kgは増えるんです。
たかが葉と、侮ってはいけません。
集まればそれぐらいの重量増となるんです。
大木であればなおさら。

普通の木でも、ここに風が吹き付けたら、もっと大きな負荷が幹にかかって折れやすくなるんです。
ましてや、古木で根の張りが充分でなかったとしたら、倒木の危険度は増しますよね。
産寧坂の桜
ところで、男性は三重県からの修学旅行引率で産寧坂を訪れての被害。
骨盤骨折などの重傷ですが、命に別状はないという事でした。
※写真は関西テレビより引用。
桜倒木 清水寺

桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿

桜の枝等を不用意に切ったら、その切り口から菌が入って桜自体が腐りやすくなるんですね。
だから、桜の枝は適当に切っちゃダメ。
それを知らずに切る奴はバカだ、とこういう訳です。
桜

一方、梅は、枝を切って育てるものです。
良い梅の実を育てるためには、余分な枝を切り落として栄養を集中させることが必要です。
余計な枝がない分、梅は良い花をたくさん咲かせ、良い実をたくさん育てることができるのです。
なのでそれを知らずに梅の枝を切らずに育てる奴はバカだ、とこうなる訳です。
梅

今回の産寧坂の件も、この諺がどこかにあったのかもしれませんね。
桜は切らずに育て茂らせるのが良いと。
しかも観光スポットの名物の桜ですから。
産寧坂の桜

弘前城桜古木の話

それで。
青森県弘前城の話なんですが。

こちらには、100年以上の桜の古木がたくさんあります。
しかも元気。
弘前城の桜
ここでは、リンゴ栽培の技術を応用して、桜を積極的に剪定(せんていと読みます、枝などを切り落として姿などを整える事です。)しているんですね。
そして、根を育てる土の入れ替えや栄養補給にも気を使ってる。

つまり桜の枝は、決まりさえ守れば切って整えた方が良いし、そうすることによって元気で安全なんです。
どうです、この弘前城の夜桜の見事な事。
弘前城の桜

ちなみに桜の枝を切るときは、清潔なハサミなどでスパッと切ります。
そして切り口をすぐ傷口を保護するように、こういうもので覆います。
癒合材 キヨナール

☆身近な大木は安全か?

巨木の安全性チェックポイント

とにかく、今回産寧坂での倒木で、あちこちの巨木が怖く思える方もいらっしゃるかとは思います。
そこで、基本的なポイントを押さえてご自分の周辺の巨木を観察してみましょう。

①、まずは巨木を支える土地の広さ。
今回の倒木のように、周囲をコンクリートやアスファルトで狭められていないか?という事です。
根っこが健康に伸び伸び育っていない巨木は、弱いです。
巨木

②、幹などに裂けめが入って、中が空洞化してないか?
目で確認できる範囲で構いません。
大きな裂けめから雨や害虫や菌が入り、内側が枯れて空洞化が進んだ木は、葉の茂る時期に風を受け、そこから折れる可能性が高いです。
巨木

③生え際の空洞化。
根本の空洞化は、そこに水が溜まりやすく、進行も早いです。
またヨットの帆と同じで、葉を茂らせた木が風を受けると、根元に一番力がかかります。
その理由は、地上部が風を受けて揺らいで、力を逃せるのに比べて、地下部は全く動けないからです。
その二つの境目の根元には一番力がかかることになり、そこが弱っていたなら一番折れやすい場所となります。
巨木

④巨木の割に、葉の茂り方が弱い。
または花の付きが悪い。
これらは内側の栄養状態が悪いことを意味しています。
結果的に、倒木の危険性が高いという事を意味します。
巨木

札幌大通公園の巨木

札幌市大通公園。
ここは札幌市緑化協会が管理する公園で、多くの観光客で賑わっています。

この大通公園つどいゾーンにある野外ステージ前には、ケヤキの巨木が日陰を作ってくれて、夏場などとても心地よい場所となっています。
倒木の危険

ここのケヤキの歴史は古く、120年前には植えられていたというんです。
歴史ですね。

そのケヤキの根本ですが、野外ステージに近い1本がこうなっていました。
倒木の危険

治療した痕もありましたので、さすがと感心。
でもちょっと気になったので近づいてみますと、、。

写真では分かりづらいですが、空洞化が進んでいました。
現在も治療中なのかもしれませんが、ちょいと注意した方が良いかもです。
本当はコンクリートで覆わずに、ここも芝生で覆ってあげれば、ケヤキももっとノビノビ生きられるはず。
でも、そうか、イベントで売店設置する場所なので、ケヤキよりも露店設置の都合上なのでしょうね。
ガンバレけやき、ガンバレ札幌市緑化協会。
倒木の危険

ということで本日はここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳き一日をお過ごしくださいませ💐

Ψ~ 緑の命 ~Ψ
執筆者
毎日をワクワクに変える植物教育研究家
kazuhiko
略歴
園芸の生産・流通・販売・教育と多岐にわたり都合45年勤務。
植物がもつ癒し力や、ちょっとミステリアスな植物の物語を、色んな年代の方に届けています。

現代は、デジタル時代。毎秒おしよせつづける情報に、私たちの脳は、年中無休の疲れ気味。 そこで身近な植物を使った、効果絶大わずか5分の、カンタンな心身癒しをご提案中♪
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