☆ナガエツルノゲイトウ
・迷惑な植物
ガーデニングを含めた植物の栽培。
趣味としては、私たちの日常に緑と安らぎをもたらす素晴らしい方法ですよね。
しかし、時にはその美しい緑の中に、私たちの自然環境にとって厄介な植物が潜んでいることもあります。
今回は、そんな一つの例として「ナガエツルノゲイトウ」についてお話しです。
この植物は、「地球上最悪の侵略的植物」なんていわれてるんです。
実に厄介で迷惑な植物なので、どうかご注意ください。
・ナガエツルノゲイトウとは?
もともとは、南アメリカ大陸のパラナ川流域に生えていたようです。
このパラナ川は、ブラジルの高原地帯に始まり、パラグアイを経てアルゼンチンなどに接して大西洋に流れ込む大きく長い川のこと。
それが今では、アメリカ合衆国、オーストラリア、ニュージーランド、リビア、そして日本や台湾などに侵入。
性質は、丈夫。
陸地でも海浜でも育ちます。
高さ0.5 – 1.0メートル以上に生長し、茎は、太さ4ミリほどのワラみたいな中空構造。
この茎の構造があるので簡単に水に浮くんですよね。
これがまた厄介なことになるんです。
それについては後で書きます。
地球上最悪の侵略的植物と言われる4つの理由
- 繁殖力の強さ
ナガエツルノゲイトウは、他の植物よりも格段に繁殖力が強いんです。
一度増え始めると、抜いても抜いても生えてくるスピードが恐ろしいほど早い。
その生命力の強さは、他の植物が生育するチャンスを奪う事につながりますよね。
つまり、生態系のバランスを崩す原因になります。 - 根の深さと再生力
この植物の根は最大で5メートルも地中に伸びます。
そして根でも茎でも、2ミリ程度の断片が残るだけで再び生長を始めるんです。
こうなると、根の深さも加えて、お手上げですよね。 - 水域への影響
陸上でも水中でも海辺でも生きていくことができるナガエツルノゲイトウ。
そのため、池や湖などの水域では、茎の中空構造でちぎれやすい事もあって、水路をふさぐことになります。
その結果、水質の低下を引き起こし、水生生物や植物に甚大な悪影響を及ぼすことになるんです。
そして、船舶の航行にも大きな障害になるそうです。
そもそも、水面を覆うように広がって繁殖しますから、スクリューなどに絡まるんです。
本当に、迷惑な植物です。 - 農業への影響
特に水田農地に侵入すると、稲の生長を妨げます。
最悪の場合、収穫断念に至ったケースもあるとか。
また、繁殖力や再生力も旺盛ですので、除草作業の手間とコストが増大し、農家の経済的負担を増加させることにもなります。
・ナガエツルノゲイトウは、なぜ各地に広がったのか?
南米大陸に生えているナガエツルノゲイトウが、なぜ日本各地に広がったのでしょうか?
その理由はハッキリしています。
かつて、観賞用水草(アクアリウム用)として販売されていたから、です。
また、外来種のブラックバスがいる水域などにも多く見られるため、釣り人の関与も疑われるとの記事も目にしました。
ともあれ、こんな厄介な植物を水草として販売していただなんて、開いた口がふさがりません。
ですがこれは、色んな方面でも言えることです。
縁日で亀すくいのプールに居たミドリガメはもはや野生化して厄介者。
農業の方面で作物の受粉のために導入されていた西洋マルハナバチ、これも野生化して在来種と交配し完全駆除も難しい状態。
数え上げればキリがありません。
なので、趣味で植物を栽培するとき、その植物の繁殖力やその土地で他の生き物に悪影響を与えることがないのかなど、ちゃんと知っておくことは大切なんです。
やはり、売る側のモラルときちんとした勉強は絶対に必要。
売れれば良いという問題ではないでしょう。
ちなみに以下のリンク先も、ご興味ある方は是非ご覧ください。
< 国立環境研究所 侵入生物データベース ナガエツルノゲイトウ
まとめ
ナガエツルノゲイトウの問題は、私たちが自然とどのように向き合うべきか、そして環境をどう守るべきかを考えさせられる一例です。
ガーデニングを始めとした植物栽培を楽しむ一人ひとりが、このような問題に目を向け、理解を深めることが、より良い自然環境への貢献となるでしょう。
こうした問題に対する意識は、より豊かな環境を未来に残すための重要な一歩です。
こういう小さな心掛けの積み重ねが、次の世代へ胸を張ってのバトンタッチにつながると、私は信じています。
今日も最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳い日となりますように💐