祝箸と柳の木②

陰陽 喫茶~言の葉
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< 祝箸と柳の木①より続く

☆祝箸の材料は、柳の木

・柳の生命力

柳は、強い生命力を持つ木なんです。
特に、その広範囲に広がる根と強い萌芽再生力が特徴。

2月から10月頃にかけて、20~30cmの長さに切り落とした枝を地面にさして、半日陰にして土が乾かないように水をあげていれば、だいたい2週間で根が生えてくるんですね。
この生命力に、古代の日本人はめでたさを感じたのかもしれません。

また、湿地や水辺に自然に生えることが多く、乾燥した環境を除いて、生長が簡単な木です。
柳

・祝箸は柳の木からとされる理由

祝箸の大部分は、この柳の木が用いられます。
これには幾つかの理由があります。

まず一つ目の理由が、柳は柔軟性。
柳は柔らかい木で折れにくいため、使用中に箸が折れるという縁起の悪さを避けるためです。
また、柳は水分を含み邪気を払うとされ、お祝いの席にふさわしい神聖さを持つと考えられているからです。
さらに「家内喜(やなぎ)」という言葉に重なり、縁起担ぎもあるんですね。

そして、私はこれが最大の理由なんじゃないかとも思うんですが。
柳が陰陽道で、陽の木とされているからです。
祝箸

・陽の木と言う考え方

陽の木と言うのは、鬼門を塞ぐんだそうですね。
だから江戸時代には、江戸城の鬼門の方角に柳がよく植えられたなんて話も残っています。

陰陽道における「鬼門」とは、特定の方位を指す言葉なんですね。
方角としては北東方向。
この方向は邪気が入り込むとされ、災いのもとと考えられていました。
この考えは現代でも残っていて、家や建物の配置において避けるべき方向なんて言われています。
柳

☆陰陽道

・陰陽道とは?

さてこの陰陽道とは何でしょうか?

これは、古代日本で発展した宗教的・哲学的思想体系です。
元々は中国の陰陽五行説から影響を受けています。

陰陽道では、すべての出来事は陰と陽(相反する二つの力)によって成り立っていると考えます。
これらの力は、自然界や人間の体、さらには日常生活においてもバランスを取る必要があるとされているものらしいんですね。

また陰陽道は、占星術、方位学、暦学など様々な分野に及びます。
日本では、宮中儀式や国家の重要な決定にもこの思想が取り入れられました。
平安時代には「陰陽師」と呼ばれる専門家が活躍。
この陰陽師は、災い回避のための方位選び、悪霊払い、吉凶占いなどを行なってました。
そして神道や仏教とも密接に関連し、日本の文化や伝統に大きな影響を与えたんです。

この陰陽道の元となった思想は、大陸から伝わってきた陰陽五行説だと申しました。
そこで次にこの、陰陽五行説をみてみましょう。

・陰陽五行説の基本的な考え方

「陰陽五行説」
これは、世界のすべてが陰陽という二つの相反する力と、木・火・土・金・水の五つの元素(五行)で成り立っているという考え方です。

以下に簡単にまとめます。

  1. 陰陽:陰陽は、相反し合いながらも互いに依存する二つの力。
    • 陰(いん):静けさ、冷たさ、暗さ、下降、受動性を象徴します。
    • 陽(よう):活動性、暖かさ、明るさ、上昇、積極性を象徴します。
      ※これらは相対的であり、一方が他方なしには存在し得ません。
      太極図
  2. 五行:木、火、土、金、水の五つの元素。これが、様々なものに影響を及ぼすとされます。
    例えば、自然界や人間の体、さらには季節や方位などに影響を与えます。
    • これらの五元素は互いに影響し合い、生成と制御の関係にあります。
      (例:水は木を生むが、木は土を制御する)
      陰陽
  3. 陰陽と五行の組み合わせ:陰陽の理論と、五行の理論が組み合わせる。
    そこで、より複雑で繊細な世界観が形成されます。
    例えば、季節は五行で示されます。
    そしてその各季節は、陰陽のバランスによって異なる特徴を持ちます。
    陰陽

陰陽道ではこれらの理論を用いて、自然現象や人間の運命、さらには健康状態などを分析し、調和の取れた生活や吉凶の判断を行います。
また、この理論は日本の文化や伝統、例えば建築や庭園設計、さらには料理や健康法にも影響を与えています。

☆箸と柳

大陸から日本に、箸が「神の器物」として渡ってきたのは飛鳥時代だと言われています。
この飛鳥時代、さらに仏教伝来とともに伝わってきたのが陰陽五行説でした。
箸と陰陽五行説が同じ時代に伝来してきたのですから、組み合わせも容易に行われたのではないでしょうか?

さて、その後、陰陽五行説が日本で独自に発展。
さらに、奈良時代から平安時代に書けて陰陽道が全盛期を迎えます。
安倍晴明
神の器物として渡ってきた箸。
そして、陰陽道で陽の木とされる柳。
陽は、活動性・暖かさ・明るさ・上昇・積極性を象徴しますからね。
ここから、祝箸が生まれてきたのでしょうね。
それも割合早い時期に。

こうして植物が、生活での神人共食の器物に取り入れられた。
こんな日本文化が、私は愛しいんです。
祝箸

ということで、本日も最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳い一日になりますように💐

Ψ~ 緑の命 ~Ψ
執筆者
毎日をワクワクに変える植物教育研究家
kazuhiko
略歴
園芸の生産・流通・販売・教育と多岐にわたり都合45年勤務。
植物がもつ癒し力や、ちょっとミステリアスな植物の物語を、色んな年代の方に届けています。

現代は、デジタル時代。毎秒おしよせつづける情報に、私たちの脳は、年中無休の疲れ気味。 そこで身近な植物を使った、効果絶大わずか5分の、カンタンな心身癒しをご提案中♪
喫茶~言の葉
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