☆ヒトはなぜ、植物に癒しを感じるのか?
・記憶の遺伝(エピジェネティクス)
「記憶は遺伝する」という研究があるんです。
例えば、テキサス大学オースティン校の研究チームが発表しているこの研究。
脳や神経系を持たない細菌が、その体験から記憶のようなものを数世代にわたって受け継いでいるというんですね。
記憶が遺伝するだなんて、面白いし驚きです。
エピジェネティクスという学問があります。
これは、DNAの配列を変えないまま、遺伝子の働きを調整する仕組みの事です。
このエピジェネティクスで有名なのが、アメリカのエモリー大学のマウス実験。
これは、特定の香りを嗅がせた時に電気ショックを与えられたマウスの子孫。
この子孫も、その特定の香りを恐れるようになったという実験なんです。
それでこの実験は、「動物は祖先の心的外傷(トラウマ)の記憶を子孫が受け継ぎ、まるで自分がその出来事を体験したかのような反応を示すという説」を裏付けるものと言われています。
・樹上から草原へ
元々人類の祖先は、樹上生活をしていました。
それが、地上に降りて二足歩行ができるようになりました。
(※人類が地上に降りた理由 京都大学 竹元研究員)
二足歩行のその結果、大きく重い脳を首が支えることができるようになり、人類の脳が巨大化へと進化していったわけです。
つまり、二足歩行で人類は他の動物よりも賢さを手に入れて行ったのです。
・直立歩行と安心の記憶
さらに、直立歩行すると目の位置が高くなります。
目の位置が高くなると、天敵や外敵そして獲物も見えやすくなります。
その背景に見えていたのは、草原の緑。
それと元々暮らしていた森の緑。
つまり、目の位置が高くなったことにより得られた安心感と、その背景に見える自然環境の色(植物の緑、空や海の青)に安心の記憶が重なって行ったのです。
・食糧確保のサイン
しかも、植物の緑は、二足歩行を始めた草原(当時のアフリカ大陸の環境)の色です。
樹上生活よりも視界の拡がった緑の高原には、敵も多いですが食料も多い。
緑が多いほど、食料も多い事を示しているんですね。
なので私たちの遠い祖先は、緑が多い場所ほど安心でき、またそこを目指して移動していたのだと思われるんですね。
さらに、緑だけではないのです。
草類だけでも食糧確保には大変助かるでしょうが、もっと嬉しいものがありました。
それが、花です。
花が咲いていれば、そこに実ができます。
これも食料になりますよね。
特に樹木の実は、より効率の良い食料になる場合が多い。
だから
つまりこれらの遠い祖先たちの記憶と感情の積み重ねが受け継がれて、現代の私たちも、ここに癒しを感じていると言われています。
青い空と海。
そして植物の緑。
さらに、花の色と香りに。
☆植物からの癒しの仕組み
「ここに癒しを感じる」なんて今書きましたが、それを現代の脳科学でいうと、幸福ホルモンで説明できます。
これは、精神科医の樺沢紫苑先生がきっちり書いておられて、私もずいぶん前から先生の著作を読ませていただいてますが、現場での経験からもすべて納得。
そこで、樺沢先生の幸福ホルモンの話を植物に重ねて記しておくことにします。
遠いご先祖たちから連綿と受け継いできた「植物と安心の記憶」
これを脳内物質で明らかにしようとしている現代科学も凄いですね。
それもこれも、二足歩行の結果ですから、本当に進化と言うのは深いものです。
☆植物と、ヒトの幸福ホルモン
とりあえず挙げられる幸福ホルモンは4つ。
(機会があれば、またいつか詳しくやりますね)
セロトニン: 幸福感や安定感に関与する。
ドーパミン: 報酬や快楽、モチベーションに関与する。
オキシトシン: 絆や信頼、愛情の感情に関与する。
エンドルフィン: 快感や、痛みの緩和に関与する。
これらをもう少し詳しく見てみます。
・セロトニン
セロトニンは別名「幸せホルモン」とも呼ばれています。
気分や感情、そして睡眠にと気分の安定や幸福感に関与しています。
また不安やうつの感情を軽減し、リラックス感を高める効果があります。
二足歩行のころからの記憶では、気に入った植物を、じっと見つめ続けるだけで分泌されるホルモンなんです。
という事で、植物を見つめることは、現代でも大切なんです。
・ドーパミン
ドーパミンは報酬や快楽に関連するホルモンです。
モチベーションの向上、幸福感、満足感に影響を与えます。
達成感や喜びを感じるときに放出されることが多いです。
セロトニンを分泌させつつ、植物を育てることで分泌させることができるのが、このドーパミン。
つまり、水やりがきちんとできたり、日々のお世話の結果、その植物が上手に育っていれば報酬系の幸福感や満足感が得られて最高なんです。
・オキシトシン
このホルモンが、植物との関わりあいの上で、キーポイントとなります。
ずっと現場で見ていて、ここが上手く使えてない方が多いように感じますね。
ただ、やり方としては簡単なんです。
それを、なるべく分かりやすく書いてみますね。
オキシトシンは、「愛情ホルモン」や「絆ホルモン」とも呼ばれています。
これは、人とのつながりや信頼感を強化し、ストレス軽減やリラックスに寄与します。
親子の絆や恋愛、友情などの社会的な結びつきを強化する役割があります。
セロトニンを分泌させつつ、うまく育てて報酬系のドーパミン分泌させる上に、オキシトシンまで分泌させるのに最高の植物のお世話の仕方があります。
それは、その植物に本気で(真剣に考えて)名前をつけてあげる事。
名前をつけて、子供やペットに向ける愛情を植物にも向けるんです。
そうしておいてから、その植物の命に敬意をもって、さらに親しみを持って接すること。
こうすると、オキシトシンも分泌されるんです。
・オキシトシンと古代自然観
もう少し、お話ししましょう。大事な事ですから。
まず何よりオキシトシンをきちんと分泌させるためには、植物にもきちんとした命があるというふうに思えるようになれば、これは強い。
これは簡単な事ですが、簡単であるがゆえにちと難しいかもしれません。
ただこれは、日本の古い時代の自然観やネイティブアメリカン(インディアン)やアボリジナル・オーストラリアン(アボリジニ)の自然観に通じる視座なんです。
自然の中に神性を感じ取り敬う。
これが現代では置き去りにされていて、つまりは心の元気がなくなっている方が多いのではないかと私は思っているんです。
なにより人類は、集団生活をする生物です。
社会的結びつきを植物にも感じられるようになれば、格段に心も安定してきます。
ですので是非、オキシトシン分泌を意識してみましょう。
きっと何かが変わるはずです。
・エンドルフィン
エンドルフィンは自然な鎮痛剤として働き、ストレスや痛みを和らげる効果があります。
運動、笑い、楽しい活動などによって放出され、幸福感や安らぎをもたらします。
このように、セロトニン・エンドルフィン・オキシトシンを分泌させる植物との付き合い方ができれば、もう自動的にエンドルフィンも分泌されるようになります。
それは、その植物をウキウキ毎日お世話できるようになるからです。
☆まとめ
人類が、植物から癒し効果を得られる理由。
それは、遠いご先祖様からの記憶の遺伝、またそれに加え脳内物質が関係しています。
つまり現代において、植物に親しむことは、自分の心身を守る事にもつながるんですね。
是非あなたも、楽しくイキイキとご自分の心身を守って、充実の毎日を送ってほしいというのが私の願いです。
そのための一助に、このブログがお役に立てるなら幸いです。
さて次回は、デジタル疲れを植物が救うというテーマでお送りする予定です。
この植物セラピーシリーズも、いよいよ大詰めになりました。
是非いらしてくださいね。
では、最後までお読み下すってありがとうございました。
今日が佳い日でありますように💐