☆世界文化遺産の山
好きな山なんです。
従兄弟家族も麓に住んでいまして、そういう意味でも親近感も持っている山です。
それで、今日が今年の閉山日。
色々ありましたね、今年もまたこの山で。
さきほど電話で色々話していて、今私たちがニュースで知る以上に富士山が大変なことになりつつあると聞きました。
胸が痛いです。
きょうはその富士山について、少しお話しします。
・登山者の増加
静岡県と山梨県にかかる山、富士山。
私が初めて富士山を見たのは、小学二年生が終わった春休み。
親戚の家へ向かう途中の寝台列車の窓からでした。
怖いほどにキレイな山で、怖いほどに大きい山。
あの時の衝撃は今も忘れていません。
その富士山。
観光開発が始まったのが、1960年あたりだと言います。
登山者も増え始めて、その頃からゴミの投げ捨てや不法投棄、登山者が出す汚物未処理などで汚染が進んで行ったそうです。
そういった中、世界文化遺産に登録されたのが、2013年6月。
環境省発表の富士山登山者数推移によりますと、2013年に310万人。
その後、新型コロナが流行するまでは、だいたい年平均で230万人が富士登山を行ったと書かれています。
ただどうもこのデータは、正確ではないというような話も聞いていますね。
実際はもう少し多いと。
☆登山者の増加とマナー問題
観光資源として、富士山登山を活用するのは良いんだけど、無節操に登りすぎてる。」
そう従兄弟は言いました。
登山が自由にできるから人が殺到し、混雑し、行政の指導も行き届いてないんだ。」と。
最近では、軽装での弾丸登山の問題も取り上げられています。
ヒドいのになると、Tシャツ、短パン、スリッパといういで立ちで、山頂まで日帰り往復を試みる人もいるのだとか。
それで結局体を壊して救助隊のお世話になるというんですから、迷惑行為以外の何物でもないんですね。
そして、体を壊しての山岳救助隊への救助要請なら、まだ分かりますが、、、。
最近では、疲労による救助要請も多くなったとか。
それで救助費用は自治体持ちだといいます。
従兄弟のグチを聞きながら、いっそ富士登山を有料化すればいいのにと思う私でした。
☆富士山植物の変化
・垂直分布
植物に関係して、おもしろい話がありましてね。
いや、おもしろいというか、怖い話なんですが。
富士山というのは、一つの山がポンとあるでしょう。
なので、それぞれの植物が好む高さ(生えている場所)が一目でわかるんです。
好む高さというのは、好む温度とも言えます。
高くなればなるほど、涼しいですから。
さてその、植物が好む高さ。
これを専門用語で「垂直分布」と言います。
この富士山の垂直分布が、変わってきているというんですね。
・富士山の垂直分布変化
物凄く高い山の上の方には、植物は生えていないでしょう。
もう高過ぎたら、植物は生きていけないんですね。
当然です、空気も薄いし、寒すぎる。
そんな植物が生きていけるギリギリの境界線を、専門用語で「森林限界」と言います。
新潟大学の崎尾均教授の調査によりますと、富士山の森林限界がこの40年間でおおよそ30m上がったとのことです。
つまり今年の猛暑も、なるほどと納得できそうな現象なのです。
植物は、気候に敏感に反応します。
わずか40年で30mの上昇。
分かりやすく言うと、「ウチの隣の中学一年のお兄ちゃん、先週だけで身長が80cm伸びた」
こんな衝撃を私は受けています。
もっと一人一人が植物や環境や気候に関心を持つ世の中になってほしいと、心から願う毎日です。