七草がゆ

松の内 喫茶~言の葉
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☆人日の節句

・七草がゆの由来

おせち料理の回で書きましたが、1月7日は人日の節句です。
この人日(じんじつ)の節句。
どういう意味かと申しますと「人を大切にし、無病息災と長寿を願う日」の事なんです。
人を大切にするというのは、このままではなんだか良く分りませんね。
詳しく見てみると、その昔は、この日に限っては罪人を死罪にしないという事だったようです。

時代は平安。
日本古来の風習「若菜摘み」。
それと、大陸から渡ってきた人日の風習「七種菜羹」。
これが合わさって、今の「七草がゆ」が確立されたのだそうですよ。
松の内

・若菜摘み

古来日本では、正月に野に行き、そこに芽を出したばかりの野草を摘む「若菜摘み」が行われていました。

古今集のこの一首が、私の好きな句の一つです。
君がため 春の野に出でて 若菜摘む わが衣手に 雪は降りつつ

良い歌ですよね。
君がため 春の野に出(い)でて 若菜摘む わが衣手(ころもで)に 雪は降りつつ
昔は、若菜摘み自体が一つの大切な風習行事だったようです。

さて、この若菜摘みですが、どういう意味合いがあったのかという事を申しますと、植物の生命力を体内に取り込み、自分の生命力を活性化させるという事らしいんですね。
前にも申しました通り、これも魂遷しなんです。
そして若菜には、邪気を払ってくれるという働きがあると、日本人は考えていたようです
人と自然が一体化して生きていた頃の、素敵な名残りであります。

ちなみに七種菜羹ですが。
しちしゅさいかん、と読みます。
なんでもこちらは、大陸から伝わった、七種の菜を入れた汁物の事だそうです。

・七草のいただき方

後日また申しますが、これらの行事は旧暦での話です。
そこで言うと1月7日は現代の暦で11月26日あたりになるそうなんですね。
つまりまだ旧暦では若菜も採れたんですが、今朝の札幌なんかはもうすっかり雪が積もっていていけません。

さて、若菜として摘んだ七草を本来はどうしていたかと言うと、そのまま食べたんでは意味が無いんですね。
まずはお供えです、そう、歳神様に。
つまり、鏡餅の横に一晩お供えするんです。

そうしてさらに霊力を高めた七草を、翌日、粥にして体内に取り込むんですね。
五節句

☆春の七草

春の七草ですが、覚えられないという方も中にはいらっしゃいますね。
私もそうでした。
そこで、これは詠み人知らずと言われている古歌がありまして、これがテンポが良く覚えやすいです。
セリ・ナズナ ゴギョウ・ハコベラ ホトケノザ スズナ・スズシロ これぞ七草 

五・七・五・七・七の短歌です。
このリズムで是非覚えてみてください。
案外すんなり頭に入ってきます。

では以下に、簡単に七草それぞれの効果と意味を記しておくことにします。
春の七草

・セリ

競り(セリ)勝つ、の縁起担ぎ。
水辺や湿地に生える日本原産の野草。
ビタミン・ミネラル・食物繊維などが豊富に含まれ、貧血の予防や整腸作用に効果的。
しかもデトックス効果があるとされ、血液をきれいにする働きがあると言われています。
また、利尿作用や消化を助ける効果もあるそうです。
セリ

・ナズナ

撫でて穢れを祓う、の縁起担ぎ。
別名、ぺんぺん草。
麦栽培と共に日本に伝わったとされ、古くから薬草として使われておりました。
この草は、まず、解熱作用や血圧を下げ、そして高血圧や便秘などに効果があるとされています。
また、ビタミンKが豊富で、骨粗しょう症の改善効果も期待されているそうです。
ナズナ

・ゴギョウ

仏体や仏像を表していて、縁起が良いとされています。
どういうことかと意味が良く分りませんよね、なぜ仏体を示すのかが。
つまりこういう事らしいです、ゴギョウは御形であり、仏が形を成したもの、と言う捉え方。
ああなるほど膝を打ちました

キク科の植物でハハコグサとも呼ばれて、咳止めや痰きり、喉の炎症に効果があるとされています。
ゴギョウ

・ハコベラ

繁栄がはびこる、という縁起担ぎ。
はびこる、だなんて良いイメージのもてない言葉ですね。
しかし、はびこる(蔓延る)には元々、広範囲に向けて広がって行くという意味があるんですね。
つまり、古い時代には当たり前だった、こちらの意味です。
これが今では、悪習や病気が広がっていくことに使われる場合が多いので、勘違いしますよね。
さてこちらは、ナデシコ科の植物で、利尿作用や止血作用、鎮痛作用があるとされています。
春の七草

・ホトケノザ

仏の安座と言う縁起担ぎです。
これは、どういう意味なのかと申しますと、落ち着いて座る事です。
安心、安定という意味合いなんでしょうね。

健胃・整腸作用や高血圧予防に効果があるとされています。
ちなみに七草のホトケノザはキク科の植物で、コオニタビラコ(小鬼田平子)指します。
ホトケノザ
同じホトケノザの名前で、シソ科のサンガイクサ(三階草)がありますが、こちらは食用ではありませんので要注意であります。
ホトケノザ

・スズナ

カミを呼ぶ鈴の縁起担ぎ。
つまりこちらは、カブのことです。
春の七草
現代でも普通に食べられてますので、簡単に手に入りますよね。
胸やけ胃もたれ、それに便秘や胃潰瘍、風邪などに効果があり、特に葉にはビタミンAやビタミンB群が豊富です。
春の七草

・スズシロ

穢れの無い純白さの縁起担ぎ。
今で言う大根ですね。
春の七草
胃もたれ胸焼けはもちろんの事、風邪の予防や二日酔いにも効果ありです
また、成分のジアスターゼが消化を促進する効果があります。
春の七草

☆新暦では、、、七草困難

以上のように見てまいりました春の七草ですが、新暦ですと、特に北国では手に入りにくい。
現に外は一面銀世界であります。
新年の雪
そこで便利なのが、スーパーで売られている七草セット。
昨日見てまいりましたら、なんとフリーズドライにされてるものが売られていました。
大分県産のものだそうです。
春の七草
果たしてこのフリーズドライで、若菜の生命力が私にどれほど取り込めるか。
それを今日は試してみようと思っております。

では今日ここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳い一日でありますように💐
そして、ご成人となる皆様、心よりおめでとうございます。

Ψ~ 緑の命 ~Ψ
執筆者
毎日をワクワクに変える植物教育研究家
kazuhiko
略歴
園芸の生産・流通・販売・教育と多岐にわたり都合45年勤務。
植物がもつ癒し力や、ちょっとミステリアスな植物の物語を、色んな年代の方に届けています。

現代は、デジタル時代。毎秒おしよせつづける情報に、私たちの脳は、年中無休の疲れ気味。 そこで身近な植物を使った、効果絶大わずか5分の、カンタンな心身癒しをご提案中♪
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