百の話

喫茶~言の葉
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< 桃の話から続く

☆モモという読み方

前の記事「桃の話」を書いていて、ふと「百」もモモと呼ぶなぁ、なんて思いまして。
ついでですので今日は、百に関するお話。

百は、ヒャクですよね。
それでも苗字にすると、例えば百田と書いて、ヒャクタさんと、モモタさんとに分かれます。

では、桃と百とは何か関係があるのかと、白川静先生の字訓を開いてみました。
白川静先生

そうしましたら、桃にも百にもそれぞれに「毛々(もも)」と書いてある箇所があったんです。
この「毛」と言うのは、①体毛②広く土地に生ずるもの、という意味があるんですって。
それで②の場合は、作物が取れない場所を指して「不毛の大地」だなんて言いますよね。

そしてこの毛(け)の語源は、髪や黴(カビ)の(か)と同じなんですって。
まぁ「表面に生える細長い物」ということで、毛も髪も同じ語源を言うのは分かるけれど、まさか黴まで同じだとは思いませんでした。こちらは菌類ですものね。
桃

☆毛々

桃の場合

さて、では桃が毛々であったのはなぜか、これを調べてみたんですが明確な答えが見つかりません。
ただ、実に簡単に考えてみますと、「表面に生える細長い物」は、桃の実の表面の毛ですよね。
これが由来なんじゃないかと思われます。
この桃の実の産毛。
このまま食べると、口に刺さって痛痒い。
自己主張が強い産毛なんです。
桃

前代では、「毛(もう)じ」と言ったり「果皮棘毛」とか「針状小突起」なんて立派な名前が付いてます。
これが生えてる目的は、実を守るためです。
果実に雨が直接当たらないようにしたり、虫が実をかじったりしないように守ってるんですね。
さらに、この毛には、長短二種類あるんです。

短いのは表面にびっしり生えてて、長さが50~100μ(ミクロン)
つまり0.05mm~0.1mm。
これで雨粒と実の間に空気の層を作るんですね。

そして長い方の毛が500μ。
ミリに直すと0.5mm。
こちらけっこうまばらに散らばっていて、これが私たちの口に刺さって困らせる方です。
桃

ただしこれは私の推察です。
一般に言われているのは、非常にたくさんの実が成るから、毛々。
ちなみにスモモは須毛々となります。
こちらはツルンとしてますね。

百の場合

こちらの毛々は、字訓によると「非常にたくさん」の意味です。
その毛々(けけ)が(もも)になっていったそうで。

そして、その非常にたくさんの意味だったものが、段々と数の百に固定されていったそうです。

ちなみに鳥にモズと言うのが居ますが、こちらの漢字は百舌鳥。
いろんな囀り(さえずり)をするから、この名前が付いたようです。

余談ながら、九十九と書いてツクモと読みます。
これは、あと一つで百になれる事から、「次ぐ百」。
妖怪に付喪神(ツクモガミ)と言うのがおりますが、これは99年経った古道具とかに命が宿って妖怪になる事です。
鬼太郎

というわけで本日はここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳き日でありますように💐

Ψ~ 緑の命 ~Ψ
執筆者
毎日をワクワクに変える植物教育研究家
kazuhiko
略歴
園芸の生産・流通・販売・教育と多岐にわたり都合45年勤務。
植物がもつ癒し力や、ちょっとミステリアスな植物の物語を、色んな年代の方に届けています。

現代は、デジタル時代。毎秒おしよせつづける情報に、私たちの脳は、年中無休の疲れ気味。 そこで身近な植物を使った、効果絶大わずか5分の、カンタンな心身癒しをご提案中♪
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