さて今日は12月29日。
二重苦につながるとして、お正月飾りをするのは避けた方が良い日だなんて言われてます。
ところがなかなか現実的には、そうは言っても、、、ねぇ。
やらなきゃ終わらないってこともありますよね。
我が家は、大掃除は終わったのです。
ところが、小掃除が残っているのでまだまだゆっくりできません。
さてそんな今日は、「まつる」について。
☆「まつる」ということ
・松と日本文化
松という植物はとても古い時代から、日本人の心と言いますか、精神性に大きい影響を与えてきたんですね。
その影響たるや、宗教・文学・芸術・庭園・哲学などに及んでいます。
また日々の生活の中では、飲食習慣、人の生き方にまで入り込んでるんですね。
なぜにここまで日本人の精神に深く根を下ろすことができたのか?
これもやはり、自然の中で生かされてきた縄文人の遺伝子なのだと思います。
夏場はもちろん、風雪にも耐えて葉に緑をたたえてる姿。
自然の悪鬼に挑むがごとく鋭く伸びた葉先。
そしてあの清々しい香り。
おそらくですが、ここにカミ(神)を見たのだと思います。
そこで自然と、崇拝の対象となって行ったと思われるんですね。
この松崇拝ですが、ザックリ言って以下の三種類に分けられます。
①松の木全体
②松葉
③松明
・松の木への崇拝
まず、松の木全体を崇拝の対象としているという事についてお話をします。
こちらは分かりやすい例で言うと、松のご神木となっている例がありますね。
あの住吉大社では、4月になると松苗神事というのが行われます。
これは植樹を神事にしたものです。
なんでも、江戸時代に大社の松が枯れ始めたので、当時の俳人たちが松苗奉納したのが始まりだとか。
それが現代まで続いているんですね。
住吉大社によると、この神事は緑化運動の先駆けだそうです。
また、以前に申しました「子の日の遊び」、これも松の生命力にあやかるという事で、松の木崇拝の形であります。
・松葉への崇拝
岩手の庭田植えと言うのがあります。
こちらは冬場、豊作を願って庭に積もった雪に松葉をさすという行事。
このように、松の霊力祈りを託すという行事は各地に見られます。
また、松の葉を添えた松飾りなどもこの部類です。
それを転用して、染物の図柄としても松の葉が使われています。
魔除けなどの意味を含みつつ。
・松明(たいまつ)への崇拝
松明は、長い棒や杖の先に松脂(燃えやすい)などを浸した布を巻きつけ火を灯した照明のこと。
神道の儀式や祭りでは、夜間の照明や神聖な火を運ぶために使用されています。
これは、松に霊力に火への信仰が合わさったもの。
松による火という意味合いはけっこう大きなものだと、私は思います。
☆まつる、と言う言葉
・まつる
「まつる」には、いくつか漢字があります。
チョットここではその説明を。
①祀る
神への祈りや、その儀式のこと。神楽もこれに含まれます。
②祭る
これは、祖先崇拝や命や霊などを慰霊するのが目的で行うのが「祭り」です。
③奉る
こちらは、献上することや目上に見ること。謙譲の精神が、この「奉る」なのです。
たてまつる、とも読みますね。
これらを引いて見てみると、どれもが同じなんですね。
古代日本人が、目に見えない偉大な存在と感じていた「カミ」に対する姿勢なんです。
これが後世に、カミという発音に文字を与えられ神となり。
意味を細分化して各漢字ができたという事だと思われます。
・まつりごと
そして、まつるを受けてまつりごと。
こちらにも二つの漢字があります。
①祭り事
これは「まつり」ですね。
②政
こちらは国を治める事。
つまり政治です。
なぜこういう事になるのかと申しますと、古代では神霊に対する祭祀が、国を治める政治の大事な要素だったからなんですね。
☆松をまつる、ということ
さて話は戻ります。
古代より、松は神聖な植物(樹木)として敬われていたようです。
おそらく、マツという言葉が大和言葉としてあって、そこに漢字の松が付けられたんです。
木編に公ですから。
これは公的に大切な木という意味だと思うんですね。
さらに松は、神霊の依代。
カミが降臨してくるのを待つ(マツ)樹木なんです。
そこで象徴として、松を祀ったのがマツリの言葉の始まりであり、政の始まりなのではなかったかと私は思っているのですが、皆様はどう思われますか?
さて今日は12月29日。
二重苦の日ですから、松飾りはせめて明日にしましょう。
ということで、今日も最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳い一日を💐