昨日、「落ち葉が、茶褐色になる意味」について書きましたが、今日はその続きです。
☆タンニンと鉄~その2
タンニン鉄
さて昨日お話ししましたように、それだけ重要な鉄ですが、鉄そのままだと自然界ではすぐに酸化鉄になって生命活動に利用できなくなります。
しかも水に溶けない。
そのため、自然界で循環しづらいミネラルとして知られています。
水に溶けないという事は、植物も利用できないですよね。
ところがです、その鉄分が、落ち葉に多く含まれるタンニンと結びつくと、植物に吸収されやすくなるのです。
この鉄と結びついたタンニンを、「タンニン鉄」と申します。
なので植物が吸収してくれたタンニン鉄こそが、自然界での大事な「鉄分の循環」をやってくれているという事。
山の鉄分が広葉樹のタンニンと結びつき、タンニン鉄になる。
それが雨に溶け、川から海へ流れ込む。こうしてミネラルが循環し、森も海も豊かになっていく。
と、こういう仕組みです。
土の団粒化
先に、森が豊かになると書きましたのは、こういう理由です。
タンニン鉄がある事で、土の中の微生物が元気になり、土質が改善されます。
これにより、植物の根の張りが良くなります。
根がしっかり張れば、植物達も様々な実りを森にもたらしていきますよね。
とまぁこういう事なのです。
植物の生育促進
これは余談ですが、家庭菜園でもタンニン鉄は大いに活躍します。
タンニン鉄を正しく使う事で、植物が元気に育ち、葉の色も濃くなり、大きく育つ効果があるとされています。
また、葉物野菜のアミノ酸含有量が増加し、旨味や甘味が向上するとの報告もあります。
ただこの場合、つまり農業でタンニン鉄を用いる場合は、「鉄タンニン」と呼ばれることが多いですね。
まったく、ややこしや、ややこしや、であります。
☆まとめ~落ち葉が茶褐色である偉大さ
まとめ~循環
長々と申してまいりましたが、落ち葉が茶褐色なのはタンニンを含んでいるためで。
それが地面に落ちて鉄分とくっついてタンニン鉄に変わります。
タンニン鉄は、植物や植物プランクトンに鉄分として吸収され活かされ、その結果、森も海も豊かになります。
そしてタンニン鉄を含んだ植物を動物が食べ、消化されて動物性のヘム鉄というものに合成。
こうして植物から植物だけではなく、動物へも循環して行きます。
いかがでしょう?
生命維持に必要な鉄分を、それぞれの命がうまく取り入れているのがイメージできましたでしょうか。
鉄分摂取~動物の場合
そして人ですが、動物からでも植物からでも、食べ物として鉄分を摂り入れています。
それで、
鉄分に関して申しますと、先述の動物性のヘム鉄。
それに対して、植物性の非ヘム鉄と呼ばれるものがあります。
人は元々、落ち葉が生み出したタンニン鉄を、ヘム鉄と非ヘム鉄の形で取り入れているという訳です。
どうです?
こうしてみると、秋の茶褐色の落ち葉って、偉大でしょ。
☆もう一つの色素:ベタレイン
最後に、一昨日色素について書きました。
緑の色素クロロフィル
黄色の色素カロテノイド
赤い色素アントシアン
この三つに加えて、もう一つ、植物に色素があるのです。
これは現在まだ解明中で、分からないことも多いのですが、その名前をベタレインと申します。
この色素は主に、ナデシコの仲間に見られる色素です。
どうも、昆虫を誘うのに使われているのではないかとも言われておりますが、現在も研究が進められている色素です。
せっかく植物の色素を綴ってきたので、末尾に忘備録として添えて。
長くなりましたので、最初の記事へのリンクを貼っておきますね。
< 紅葉に絡めて~植物の色素
しかしこうしてみていくと、秋の紅葉、落葉は奥深いものだと、しみじみ思うのです。
という事で本日はここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳き休日をお過ごしくださいませ💐😊