二十四節気~小満(2025)

森林 旧暦(太陰太陽暦)
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☆梅雨の走りの雨が降る頃

さて今日からは、二十四節気の小満(しょうまん)に入ります。

この小満は、草木枝葉が育ち始めて天地が満ち足りて来始める、という時候です。
この小満の時期に降る雨が麦雨、梅雨の走りと言われる雨です。
詳しくは、昨年記しましたこの記事をご覧くださいませ。
< 麦雨と梅雨と五月雨と

札幌の今朝は気温もぐっと下がって7.5℃。
ライラックの花満開の時期を迎えるこの寒気。
「リラ冷え」と申します。
リラというのがフランス語でライラック。

我が家では、このリラ冷えが過ぎてからミニトマトの苗をプランターに植えることにしております。
と申しますのもそうすることで、収穫量がグンと増えるのですから。

では、小満の七十二候を見て行きましょうか。
ライラック

☆七十二候

初候:蚕起桑食(5月21日~5月25日)

「かいこおきてくわをはむ」と読みます。

養蚕業。
蚕(かいこ蛾の幼虫)を育てて、その繭から絹糸を採って生計とする農業。
衣食住の内の衣ですから、こちらも大変重要な産業であり、特に江戸時代になってからの高品質生産ができるようになってその重要度は増してきた産業であります。

私の実家隣が、養蚕業農家でした。
良質な絹を採るために新鮮な桑の葉を毎日与えるのですが、蚕たちがショリショリと桑の葉をかじる音が蚕小屋の中に鳴り響いていたのを思い出します。

その蚕小屋は、幅8m、高さ6m、奥行き25mほどだったと記憶しています。
その中で飼われていた蚕はいったい何頭いたのでしょう?
数万はいたような気がしています。
何段にも仕切られた棚の上で、桑を食む蚕たちは、当時まだ小さかった私にはまるで高層マンションの住人のようでした。
養蚕 かいこ

隣のおばさんが私を抱えて蚕に触らせてくれたことも思い出します。
フワフワとやさしい感じの蚕を、農家の方々は「お蚕様」と呼んで、それはそれは大事に育てておりました。
そういう風景を見ていた私の中に、自然への感謝と接し方も手渡されていったような気がしております。
あ、ここまで書いて気付きました。
そう言えば、蚕については昨年書いておりましたね。
では詳しい話はこちらで。
< おカイコさん

旧暦基準地の近畿地方では、この時期から約1ヶ月をかけて桑の葉を与え5齢幼虫まで育て上げます。
繭前のとても大事な時期が始まるという意味が、蚕起という文字に込められております。
かいこ

次候:紅花栄(5月26日~5月30日)

「べにばなさかう」と読みます。

元々は奈良時代あたりに渡来した植物である紅花。
当初は薬用として使われていたようです。
当然、染料としても貴重でした。
というのも、鮮やかな紅色を出せる植物が、紅花以外無かったからです。

唐紅(からくれない)という言葉も、紅花で染め上げた色の事です。
和歌にもたくさん歌いこまれていまして、また、江戸時代後期には紅花一荷米一石とも言われていました。
一荷とは、約18kg。
一石とは、成人が一年で食べる米の量、玄米で約150kg。
つまり紅花約18kgで玄米約150kgが交換相場だったようです。

そこでこの次候紅花栄ですが、紅花が盛んに咲くころとか、紅花咲き誇るころとか一般に良く言われておりますが、果たしてそうでしょうか?
私にはどうも疑問です。
紅花

と申しますのも、紅花の収穫は新暦の6月下旬から7月です。
紅花栄が、紅花の咲き誇る頃だとするには1ヶ月早い。
どうも妙なのです。

ということは、紅花栄は、花を指すのではないのでは?
では何かと申しますと、私は、紅花という植物そのものの生長の勢いを指すのではないかと考えます。

花の時期の一ヶ月前の紅花。
この頃は、紅花が植物として、葉や茎がグングン伸ばして生長著しい頃。
なのでこの貴重な紅花栽培の、最高の生長期(植物の場合は、生長。動物の場合は、成長と書きます。)を、紅花栄としたのではないかと私は考えております。
みなさまはどう思われますか?

花の咲く時期だけがその植物の大事な時期とはとらえていない、本来の日本人の自然観から申せば、それが自然な解釈なのではと思うのですが。
紅花

末候:麦秋至(5月31日~6月4日)

「むぎのときいたる」と読みます。
秋まきの麦の収穫時機到来ということですね。

この末候に関しては、昨年書いておりますのでこちらをお読みくださいませ。
< 今日は、小満の末候
麦秋

もう南の方は梅雨入りしました。
これから季節は大きく動いていきます。
旧暦では、今年は閏六月が入るので、六月が二ヶ月続くことになるのです。
つまり、夏の期間が長い。
つまり、例年より暑さが続く。

いくら暑いからと申しましても、麦酒ばかり飲んでいては腹が膨れ切って他の病気を引き起こしますのでどうぞご注意を。
ビールと枝豆
と言う事で本日はここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳き一日をお過ごしくださいませ💐😊

Ψ~ 緑の命 ~Ψ
執筆者
毎日をワクワクに変える植物教育研究家
kazuhiko
略歴
園芸の生産・流通・販売・教育と多岐にわたり都合45年勤務。
植物がもつ癒し力や、ちょっとミステリアスな植物の物語を、色んな年代の方に届けています。

現代は、デジタル時代。毎秒おしよせつづける情報に、私たちの脳は、年中無休の疲れ気味。 そこで身近な植物を使った、効果絶大わずか5分の、カンタンな心身癒しをご提案中♪
旧暦(太陰太陽暦)
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