☆寒の入り
さてお正月気分も抜けやらぬ今日は1月5日日曜日でありますが、二十四節気では本日から小寒に入ります。
いわゆる、寒の入りの日です。
これから節分までを寒の内と呼び、一年の内で最も寒さが強くなる時期。
つまりいよいよ寒さが本格的になりますよ、という日であります。
また正確には今日から寒中見舞いを出せる日になりますが、まだ松の内。
松の内期間中は、年賀状が優先となりますので、寒中見舞いはそれが終わってからという事になります。
松の内は関東で7日まで、関西で15日までとされていますのでご注意くださいね。
地域によっても微妙な差はありましょうね。
難しい所です。
さてさてちなみに、豆まきをする節分は、寒の明けとも呼ばれます。
ということは、豆をまいて追い祓う鬼とは、実は作物を育てにくい冬なのかもしれません。
そうすると、招き入れる福とは、植物が活動を始める生命力にあふれた春ということでしょうか。
このように見てみると、暦というのは実に面白い読み物という一面がありますね。
☆小寒の期間」
さて小寒の七十二候を見てみましょう。
いよいよ寒さ本番となるこの時期に、初候、次候、末候とそれぞれにわずかに宿る生命力の兆しに注目しているのが、暦と自然の結びつきの強さを表しておりますし、同時に日本人の自然に対する敬いと親しみを表していて、とても素敵だと私は思います。
初候:芹之栄(1月5日~1月9日)
芹之栄は「せりすなわちさかう」と読みます。
一番寒いこの時期に、セリが栄えるとはどういう事?と思いますが、もちろん私が暮らす札幌では何のことやらよく分かりません。
ところが旧暦の基準は京都ですから、その場所でこの時期、セリがどういうふうになっているかという事を考えれば見えてきます。
秋から十二月にかけての近畿地方のセリは、徐々に葉の勢いが衰えてきますが、土の中の根っこは元気です。
そしてなんと、寒さの中でもまだこの時期は、ゆっくり土の中で生長を続けているのです。
この生命力に邪気払いの力を見た私達のご先祖様は、更に競り(せり)勝つ力も重ねてそれにあやかり、体内に取り込む行事を生み出しました。
それが七草粥です。
自然に水辺で育ち栄養豊富な芹は、薬草としても古来より重宝されていました。
次候:水泉動(1月10日~1月14日)
水泉動は「しみずあたたかをふくむ」と読みます。
清浄な湧き水に動きが出てくるという意味です。
寒いこの時期であるに関わらず水の動きが出てくるだなんて、変です。
実際に近畿地方で土の表面の凍結がひんぱんに起こり始めるのはこのちょっと後の時期です。
但し、土の中は地温というものがあり、札幌程土中の凍結は起こりません。
しかも湧き水ですから、常にその水は動いている状態。
ということは、水泉動は単純に湧き水の動きが出てくるという意味ではないようです。
おそらくですが、こういう事なのではないでしょうか?
旧暦は農業暦と呼ばれるほど、農業や自然現象と一体化した暦です。
そして日本での農業の主軸は稲作。
これは以前にもお話しましたが、大陸から稲作文化が入ってきた時期に栽培技術として入ってきたのが初期の旧暦。
そこから日本の風土に合わせて改良を重ねられてきたのが現在の旧暦です。
そして稲作には水が欠かせません、太陽と並んで命脈ですから。
つまり、地下ではすでにこの頃から、夏の稲作に向けて暖気を含んだ水が一足先に湧き始める頃と定めたのがこの言葉ではないでしょうか?
見えないものに思いを馳せる、これぞ日本人に脈々と受け継がれてきた感性だと私は思うのです。
末候:雉始雊(1月15日~1月19日)
雉始雊「きじはじめてなく」と読みます。
さて雉の雄が鳴くというのは、主に求愛行動だそうですね。
でもその本格的な季節は2月下旬から3月上旬だとされています(近畿地方で)。
なので雉がこの時期に鳴くのは稀で、その鳴き声の意味も縄張りの主張だそうです。
これの見方を少し変えてみましょう。
そうするとこの言葉の本来の意味が見えてくるように思えますので。
それはこういう事です。
雉は日本人にとってどういう存在だったか、という事。
桃太郎の話にも出て参りますが、雉は縄張り意識が強く勇敢で夫婦の絆も強く、しかも美しく屏風絵や掛け軸の題材にも好まれ、田畑や山間部に住んでいて昔は鳴き声も良く耳にでき、身近でありながら特別な存在だったのでしょう。
そして求愛期間がまさに春の作物栽培開始時期と重なりますので、その鳴き始めは春の訪れが近い事を知らせてくれるものだったのだと思われます。
野山はまだ寒さ厳しき折、たまに聴こえてくる雉の鳴き声に、まだ見えぬ春の動きを感じ取ったのかなぁと、私はこの末候の言葉から思うのですが、皆様はいかがでしょうか。
という事で本日はここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳き一日をお過ごしくださいませ💐😊