送り盆と、反魂草

ハンゴンソウ 喫茶~言の葉
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☆祖霊送り

お盆と盂蘭盆会

盂蘭盆会(うらぼんえ)は純粋な仏教行事です。
お墓参りをして、自宅に盆棚を作ってご先祖様をそこへお迎えして供養。その後あちらの世に送り出す。この一連の流れが盂蘭盆会です。

一方、お盆というと盂蘭盆会を基に、日本古来の祖霊信仰や自然信仰が加わってより庶民的な行事となるのが違いだそうです。

それで今日は、八月盆の最終日、いわゆる送り盆です。
風鈴

盆踊り

多くの地域では、昨夜行われた盆踊り。
この意味は、あちらの世で暮らしておられるご先祖様たちに、こちらの世から活力を送ってより穏やかに過ごしていただくという祈りが込められているんです。
これは神道で言う魂振りですね。
平たく申しますと、魂に振動を与えるとその魂は活性化するという考えなんですね。
盆踊り

なので盆踊りでは手をパンパンと叩いたり、足運びで躍動感を出すのです。
盆踊りとしてはここが重要な部分です。
それと櫓の和太鼓。
これはもう思いっきり空気を振動させる楽器です。
つまりあの盆踊り会場が巨大な魂振りの場なのです。

そしてもう一つ。
もうこの世に居られなくなったご先祖の魂たちと過ごせたお盆も明日で終わり。
一緒に過ごせた夜も今年は今宵限りです。
そこで別れの切なさを、せめて明るい踊りで送り出してあげましょうという哀しさが同居しているのが、盆踊りなのです。
盆踊り

送り火

そして今日の夕暮れから夜の初めにかけて行われるのが、送り火です。
お盆の期間を我が家でおもてなしさせて頂いた、ご先祖さまや仏様があちらの世界に戻られる時間。
それはやはりお天道様が沈んだこの時間帯でなければなりません。

道が暗いのでどうぞお気をつけてお戻りください。
そしてまた来年もどうぞいらしてください。
そんな気持ちで点けるのが送り火です。

迎え火と比較すると、送り火の方が盛大になります。
これにももちろん理由があります。
やって見えた霊がこの世に染まって汚れないよう、火で浄化するためだったり。
盛大な火の力で、あちらへ戻っても元気でいられるように。
そして明るく心地よく帰路について頂くために。
それと。
こちらに残る者の、分かれの名残り惜しさを紛らすためだと私は思うのです。
お盆の灯り

反魂草

では、お盆の話の締めに、ハンゴンソウについてを少々。

オオハンゴンソウとか、アラゲ(荒毛)ハンゴンソウというのがありますが、これは元々日本に無い植物で、外来種です。
お店で普通に売られているルドベキア、これもオオハンゴンソウです。
もう日本各地でどんどん野生化して行って問題になっていますよね。
とにかくしつこい、なかなか根絶できないほどの生命力です。
花はこちら。
オオハンゴンソウ

そして日本に元々自生しているのが、ハンゴンソウです。
やや湿った森の中や川辺の、半日陰から日陰に見ることができます。
その花の写真がこちら。
小さく可愛い花です。
ハンゴンソウ

このハンゴンソウ。
漢字で書くと、反魂草。
魂を返す草という意味です。

これは何かと申しますと、菊の仲間で香りが強いのです。
なのでこの強い良い香りが、死者の魂を蘇らせるとか。

また、葉が手招きのようにユラユラと風に任せて上下に揺れます。
これが死者をあの世から呼び戻そうとする手招きに見えるから、とか。
その葉が死者の霊の手ように、下に向かって少し垂れているから、とか言われています。

死者を蘇らすだなんて、怖いイメージを浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんね。
でも私は、こちらも盆踊りと同じで、死によって分かたれた愛しい方々の面影に会えるという喜びと哀しみが重なるのです。

こういう反魂草の命名の意味を心に置いて。
花の時期は7~9月。
送り盆の今日も、日本各地で秘かに咲いています。
お盆の灯り

という事で本日はここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳き送り盆の一日をお過ごしくださいませ💐😊

Ψ~ 緑の命 ~Ψ
執筆者
毎日をワクワクに変える植物教育研究家
kazuhiko
略歴
園芸の生産・流通・販売・教育と多岐にわたり都合45年勤務。
植物がもつ癒し力や、ちょっとミステリアスな植物の物語を、色んな年代の方に届けています。

現代は、デジタル時代。毎秒おしよせつづける情報に、私たちの脳は、年中無休の疲れ気味。 そこで身近な植物を使った、効果絶大わずか5分の、カンタンな心身癒しをご提案中♪
喫茶~言の葉
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