☆いつ見るのが初夢なのか?
元旦朝の夢事情
正月三箇日と申しますが、早くも今日が3日です。
札幌は当初の天気予報が外れ、穏やかな晴天でときおり雪が舞う程度。
まことに新年にふさわしい、ゆったりとした時間が流れております。
ところで昨夜、親類に電話をしておりまして。
そこで、いつ見る夢が初夢か?という話題になりました。
それで親類は、元旦の朝に見るのが初夢だというのですが、それだけではないのが初夢なのだとその後大盛り上がり。
楽しかったですよ、初夢の話題は。
そもそも大晦日の夜は、除夜の鐘を撞(つ)きに行ったり、そのまま初詣や初日の出を見に行く風習もあるので寝ない方も多いんですね。
また明治に暦が旧暦から新暦になって混乱もしましたので、大晦日~元旦朝の初夢と言う考えは徐々に廃れていったようです。
なので私の親類は、江戸時代から生き残った希少な生き物のようだと盛り上がったわけです。
但し、大晦日~元旦の朝に見る夢が初夢ではないかと申しますと、そうとも言えないんですね。
だって明確に違うという理由はどこにも無いわけですから。
落語に「掛取万歳(かけとりまんざい)」という演目があります。
これは江戸時代、掛け売りしたツケを商売人が大晦日にはキッチリ取り立てて回ったことを題材にした噺ですが実に可笑しいんですね。
取り立てる方も必死ですが、取り立てられる方も必死で借金取りから逃げようとする。
このように江戸時代の大晦日から元旦朝にかけては、追いつ追われつで、おちおち寝てられない人も多かったようですよ。
初夢は、いつ見る夢の事なのか
ただ、江戸時代以降、それではいつ見る夢が初夢かとされていったのかと申しますと、以下の二説に収まりました。
初夢説① 元旦の夜から2日の朝にかけてみる夢
さあそんな大忙しの大晦日から元旦朝にかけて大騒動していると、さすがに元旦の夜は眠くなるというものです。
ちなみに猫の写真をここで使っている理由は、ネコは眠る動物です。
なんでも一日17時間も寝ていることもあるたしい。
だから寝る子→寝子→ねこ→猫になったという話を聞いたことがあります。
まぁこれは余談でしたが。
話は戻って、元旦の夜にはさすがに眠くなっていよいよ見るのが初夢という訳です。
初夢説② 2の夜から3日の朝にかけてみる夢
こうしてみると、大晦日から2日朝まで大騒動の大忙しでくたくたに疲れている人が多そうです。
そして江戸時代後半には商売として、2日の午後から宝船売りというのが始まりました。
これは、七福神が沢山の米俵や小判をたくさん積んだ宝船の乗った様子を描いた絵で、「おたから~おたから~」と声を張って売り歩いたものだそうで。
これをその晩に枕の下に敷いて眠ると、良い初夢が見られるということでこの説が広がっていったようです。
余談ながらこの宝船の絵には、どちらから呼んでも同じように読める回文が添えられていたそうで。
それがこちら。
「なかきよの とをのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな」
これを漢字入りで書くとこうなります。
「長き夜の 遠の睡
りの 皆目醒
め 波乗り船の 音の良きかな」
室町時代に詠まれた和歌だそうで。
ということは、です。
初夢という考え方は、室町時代には既にあったという事ですよね。
いいなぁ、日本。
結論:いつ見る夢が初夢か!
こうしてみてみると、12/31夜~1/3朝にかけて、この期間どこかでみた自分に一番都合の良い夢を初夢として問題ないという事が分かりました。
おお!これは好都合です!!
ちなみに、一富士二鷹三茄(いちふじにたかさんなすび)と申しますが、これも縁起担ぎです。
富士山は、日本で一番高く美しい山で、日本一の象徴です。
鷹は、賢く強い鳥でありますし。
茄は、事を成すに通じ、成功や達成を表す意味です。
しかしこれは江戸時代の話ですから、日本一や強く賢いや達成を意味するものは変わってきていますので、ご自分の経験からそれに近いイメージを見た夢に重ねて分析してみるのも面白いのかなと思いました。
最後の余談ですが、あの宝船売りの風習は、昭和初期間まで残っていたようです。
また、宝船売りと同時に、道中双六(どうちゅうすごろく)というものも売られるようになりました。
これは東海道五十三次を双六にしたもので、大変楽しい遊びだったという記録も残されています。
今でいう人生ゲームみたいな要素もあったとかなかったとか。
そう言えば江戸時代から伝えられてきた古典園芸植物でもある花菖蒲。
その品種に、道中双六という花もありましたっけ。
こちらは確か、昭和三十年代に作られた花だと覚えていますが、どうだったでしょうか?
写真は静岡の加茂菖蒲園のサイトから。
という事で本日はここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳き正月をお過ごしくださいませ💐😊