読書が「癒し」になる理由

読書 緑の癒し
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☆電子書籍より、圧倒的に紙製の本が良い

科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」。
ここに掲載された、昭和大学の本間元康講師、泉﨑雅彦教授らの研究チームの論文。
これによると、読書では、電子図書(スマホ)より紙の本の方が「内容を理解しやすく、かつ、読解力が高まるとみられる」そんな研究成果が発表されています。

これはどういう理由か?
何となく皮膚感覚では分かるものの、はっきりした理由はなかなか見えてこない。
しかしここに、先日申しました「人類の進化」という視点を加えてみます。
すると、ある理由が浮かび上がってくるんです。

ここでのポイントは、「触覚」と「空間認知機能」です。
これらをもう少し、分かりやすく書いてみますね。
読書

☆読書と触覚

私たちは五感を使って、周りの世界を感じ取りますよね。
そして、この五感の中で、触覚は特別な感覚なんです。

つまりそれはどういうことかと申しますと、目、耳、鼻、舌が頭部のみで感じる感覚です。
それに対して触覚は、私たちの体全体で感じることができます。
そして触覚は、私たち自身と他のものとの直接的な接触を通じて作用するものだからです。

何かに触れたその触感の情報は、脊髄や視床を通って脳の特定の部分に達します。
そこからさらに、脳のより高度な部分に情報が送られて処理されるという仕組み。

※出典:理化学研究所脳科学総合研究センター行動神経生理学研究チームの村山正宜チームリーダーらの国際共同研究グループの研究結果より

自然環境への露出が心理的健康に及ぼす影響について。
これは、世界各国の研究機関による報告があります。
例えば、自然環境でのウォーキングなどが、ストレスの軽減や健康向上に貢献する等。
さらに、自然の中に身を置く事で、高血圧やうつ状態の改善が見られた研究もあります。

これらの研究は、自然と健康の深い関係を示しています。
また同時に、自然環境が人の心身にプラスの影響を与えることを裏付けています。

これを「触覚」という点で改めて見てみます。
すると、私たちは紙の本の読書に対して、指先から樹木を感じ取って癒されているともいえるのです。
読書

☆読書と空間

・空間認知機能

電子書籍と紙の本のもう一つの違いが、空間認知機能です。

東京大学の研究によると、紙の手帳などを使った際には、電子機器を使用した場合と比較して、記憶処理や言語処理に関わる脳の領域の活動が高まることが明らかになっています。 
また、同研究グループの言語脳科学者である酒井邦嘉先生によると、紙の本は脳の特性に合致しており、電子書籍では代替できない効果があると指摘されています。

つまり紙の本は、少ない情報から想像力を働かせて情報を補う必要があり、このプロセスが脳の活動を促進し、脳の活動が高めているという事なんです。

面白いのは、ここでの空間認知機能です。
これはどういうことかと申しますと。
紙の本を読むとき、私たちはその内容を本の特定の場所と関連付けて覚えます。
ここが大切なんだそうですね。
読書

・電子書籍と空間認知機能

例えば、「あの内容は、この章のだいたいこの部分に書いてあった」といった具合です。
このような空間的な記憶は基本的で、とても大切な能力。
なぜなら、私たちの先祖が、敵や食糧の場所を覚えるのに使っていた能力だからです。
この空間認知機能が、私たちの脳の健康と発達に馴染んでいる機能の一つ。
そう言えるんです。

これに対して、電子書籍では、このような「本のどの部分に何が書いてあるか」という空間的な記憶を作ることが難しい。
電子書籍は平面の画面なので、紙の本のように空間的な記憶と結びつかないからです。

そこで、こちらの本、お薦めです!
実に興味深い内容でした。
脳を創る読書

☆読書で、指先からの癒しを!

近年大流行りの、、というか定着してしまったスマホやタブレットの動画やゲームなどのアプリ。
これは、子どもの脳に新しさを感じさせて報酬感を与えますが、これによって「もっと見たい」「もっとやりたい」という中毒のような状態を引き起こしやすいです。
それについて、分かりやすく書かれた本がこちら。
スマホ脳

スマホなどによる情報中毒症状。
これは、前頭前皮質(深く物事を理解するのに重要な脳の部位)の発達にはマイナスの影響を与えます。
これは割合、子供時代、スマホ等が普及していなかった世代にはまだ耐性があります。
しかし、物心ついたあたりに既に、こういう情報津波に呑まれている環境があった世代には大きすぎる影響を与えるんですよね。
読書
人間は、短期的な報酬ではなく、長期的な報酬を求めるように訓練する必要があります。
これは、「持続的な努力や注意を払うことに対する報酬」を得ることが、脳の健康と発達に重要であるためです。また、そのように進化してきたから、なんですね。

このことから、実際に紙の本を手にする習慣を手放してはならないんです。
脳の健康と発達を見失わないためにも。
そして知識だけではなく、指先から得る健康について、忘れないためにも。
指先に紙を感じつつ、紙に親しみつつ、読書、しましょ♪
読書

という事で、本日ここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
今日が佳い一日でありますように💐

Ψ~ 緑の命 ~Ψ
執筆者
毎日をワクワクに変える植物教育研究家
kazuhiko
略歴
園芸の生産・流通・販売・教育と多岐にわたり都合45年勤務。
植物がもつ癒し力や、ちょっとミステリアスな植物の物語を、色んな年代の方に届けています。

現代は、デジタル時代。毎秒おしよせつづける情報に、私たちの脳は、年中無休の疲れ気味。 そこで身近な植物を使った、効果絶大わずか5分の、カンタンな心身癒しをご提案中♪
緑の癒し
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