☆花がもつ癒し効果について
花の効果
花に癒される、よく、そういうふうに表現されます。
これはヒトが花を見ているだけで得られる心身への効果のこと。
具体的には4つでしょうか。
①、心理的ウェルビーイングの向上
②、ストレスの軽減
③、集中力と記憶力の向上
④、社会的関係の促進
ウェルビーイングとは
さてこの①ですが、ウェルビーイングとは「幸福感」「心身の健康」「福祉」「安寧」などと表現されます。
心理的、身体的、社会的な健康や満足度が高い状態を指すことが多いですね。
これは、単に病気や不調がないということではないんです。
もう少し詳しく申しますと、人が自分の能力を最大限に発揮し・自分の人生に満足し・良好な関係を築き・社会に貢献できる状態を含めてウェルビーイングと言います。
花を見たり、嗅いだり、そして触れたりするだけ。
これだけでも、私たちの心は明るくなり、ウェルビーイングが上向くという事です。
(Haviland-Jones et al., 2005)
花のある環境
②のストレス軽減ですが、花や植物がある環境が、それに効果があるとされています。
緑のある環境はリラクゼーションを促進。
心拍数や血圧の低下にもつながることが報告されています。
(Park & Mattson, 2008)
認知機能の向上
③については、例えば、学校や職場などで花や植物に囲まれている場合。
植物がない環境と比較して、集中力や記憶力が向上することが示されています。
これら自然の要素は、私たちの注意回復効果を持ち、認知機能を高めると考えられています。
この事から、建築学の分野でもインテリア園芸は重要視されているみたいですね。
(Raanaas et al., 2011)
花のある対人関係
④の、社会的関係を促すというのは何か?
これは、花を相手に贈るという事ですね。
感謝や愛情の表現として広く用いられています。
花を贈ることで、人々の間のポジティブな感情が促進されるんです。
例えば、感情的な互いの絆を強めるだとか、コミュニケーションの促進。
そして、より親切さが増すといった報告もされています。
(Haviland-Jones et al., 2005)
これが、会社間でも行われたりしているのは、面白いことだと思います。
☆花の癒し効果~写真・造花・生花の違い
グループ分け
さてこの花の癒し効果ですが、写真・造花・生花それぞれから得られる違いは何でしょうか?
写真に絵を加えてもいいでしょう。
この場合、写真も絵も二次元ですよね、縦と横の平面
一方、造花や生花は、縦横高さのある三次元です。
つまりこうしてみると、二次元グループと、三次元グループに分けられます。
また別の見方をすると、命の有る無しでも分けられますね。
非生命体グループが、写真・絵画・造花
生命体グループが、生花と。
では、ちょっとすれぞれに見て行きましょう。
その癒し効果について。
花の写真が持つ癒し効果
よほど加工していない限り、写真は実際に目で見たように映りますよね。
あとは撮影者の技術やカメラの性能など。
なのでまあ平均的に、リラックスやストレス軽減の効果があります。
心理的なストレス測定において、血圧や心拍数が下がることが示されています。
絵画が持つ癒し効果
こちらは画風や、もちろん描き手の力量に左右されます。
ただし、芸術鑑賞での私たちの中に生じる癒し効果と言うのも出てきます。
また、描き手のメッセージや味わいも加わってきます。
こう言った絵画に癒しを感じるのは、私たちの脳が芸術性を理解するまでに進化した証。
それは写真よりもこちらの方が強いのではないかと思われます。
それと、絵画に関しては個人の好みも大きく左右しますので一概には語れない部分もありますね。
けれど、こういう話もあります。
病院に風景画とか植物画や動物画飾られていますでしょう。
あれ、患者さんの回復が早くなるからと言う理由もあると、知り合いの先生が教えてくださいました。
造花が持つ癒し効果
こちらは、二つに分かれます。
まずは、ポリエステルなど原料に、工場で大量生産された造花です
こちらはキレイではありますが、環境を明るくしたり、気分を和らげる効果はあるかな、程度。
癒し効果は低いです。
今はシルクフラワーと呼ばれるものが主流と聞いています。
そしてもう一つは、手作りの造花です。
こちらは、作り手の技量であったり、センスであったりと言う要素も関わって来ます。
手芸の一種ですね。
その上で、その造花を見る側の気持ちの込め具合でも変わってきますよね。
作者不明のものと、片や、大好きなおじいちゃんおばあちゃん懸命に作ってくれたものとでは、癒しも含め、段違いの効果があるでしょう。
ちなみに、日本最古の造花の記録は、752年の東大寺大仏開眼供養でのもの。
紙で作った供花でした。
※写真は、密教系寺院の造花です。
生花が持つ癒し効果
生花には、見る人の心理的なウェルビーイングを高める効果があるとが多くの研究で示されています。
また、生花を受け取った人々が即座に幸福感を感じるという研究報告がされています。
(Haviland-Jones et al. 2005)
これは命をもった花に、私たちが自然との一体感(自然へのつながり)を感じるように進化して来たからです。
いや、進化して来たというより、本来自然との一体感が当たり前の環境で長年進化を続けてきたからなのです。
つまりは、私たちが生花に対し、その命を感じ取っている結果、高い癒し効果が生まれているのです。
こうして、三次元グループであり、生命体でもある生花から得られる癒し効果が、写真(絵画含むや造花と比べて、断トツに高いというわけなんです。
☆余談
今回は植物の「花」に限定して、それが人に与える癒し効果について書いてみました。
まぁ平たく言えば、花を基準にして、人工物と自然物の癒し効果の比較をしてみたんです。
結果としては、自然物の方が効果が格段に高い。
この話は、大事な話、後日お話しする「バイオフィリア仮説」の前振りなんです。
いつかお話ししますね、この話。
というわけで、本日ここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳い一日をお過ごしください💐