秋の樹木の戦略

ニシキギ ささやかな発見
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☆子孫繁栄のために

寒い朝

昨日寒露でしたが、今朝は8℃です。
やはり寒くなってきた札幌の朝です。
私なぞはやはり植物達を見て回っておりますから、この寒さでまた植物達の冬の準備が進むのだろうなぁと、そういう事が気になるのです。
10月9日朝の外気温
人間は、家の中にいて服を重ねて暖房まで使えるので気づきませんが、四季を通じて同じ場所に生えている植物にとりまして、この変化は大変です。
光が当たる時間が短くなり、温度は低くなり、乾燥もしてくる。
そこで、あああの季節が来るのだなと活動量を抑え、多くの植物が春から秋にかけて貯めた栄養で、実を充実させます。

その実の中には種があって、直接地面に落ちるもの、動物に遠くへ運んでもらうもの、水に浮かんで流れていくものなど様々です。
今日は、樹木に絞っていくつか、ぼんやり眺めてみましょう。

空気を利用する種

カエデ

こちらはよく知られたカエデの種。
一本の軸の先端に二つの種。
そしてそこから伸びる羽。
まるでグライダーのようです。
カエデ

なのでカエデの種はストンと真下に落ちるというより、空気を羽に受けて親木から少し離れた場所に着地するようにできています。
また場合によっては、風を受けて遠くへ着地。
カエデの漢字は楓ですが、よくできているなぁとこういうところにも昔の日本人の観察眼が感じられてうれしくなります。

シナノキ

こちらはシナノキ。
緑の葉に混じって、薄黄緑色の苞葉(ほうよう)と呼ばれるものが伸びているのが分かります。
そこから伸びている灰色の実が見えます。
シナノキ

このシナノキも、風を利用して種をやや遠くにバラまきます。
そのやり方は、苞葉ごと枝から離れ、苞葉がパラシュートみたいな働きをして距離を稼ぐのです。
いや、パラシュートと言うより、パラグライダーですかね。

動物を利用する実(種)

やはり赤が目立ちますから、その色のものが多いですよね。
では昨日の森歩きで見かけた、赤い実のご紹介です。

ナナカマド

ナナカマド
まだ美味しくないので、例え赤くても鳥も食べません。
ですのでこの時期から冬遅くまで、赤々と目立つのがこの木です。

ノイバラ

バラの台木(根っこの部分の木)になるノイバラの実です。
ハーブとしても有名ですよね。
そう、ローズヒップです。
ノイバラ

ツリバナ

こちらはツリバナです。
マユミとの違いは、実が五つに割れる事で分かります。

ツリバナ
拡大してみましょう。
外側の実が五つに割れているのが確認できますよね。
ちなみにマユミは一見そっくりなのですが、四つに割れるという違いがあります。
ツリバナ

ハナカイドウ

こちらはハナカイドウ。
春先の花がきれいです。
リンゴの親戚みたいな木です。
実をよ~く見ると、まるで小さなリンゴです。
ハナカイドウ

ヤマボウシ

個性的な花を咲かせたヤマボウシも、秋になるとこんなになります。
ヤマボウシ
鳥が来るのを待ちきれずに、こうして親木の根元に落ちる実も多数。
でも大丈夫。
落ちた実でも鳥は食べますし、歩行動物達にとっては嬉しいレストランとなりますよね。
ヤマボウシ

楽しい秋の森歩き

こうして森の中の樹木たちは、それぞれの方法で子孫を増やそうとしています。
それが観察できるのがこの時期です。
なので、この時期の森歩きは殊に楽しいものです。

皆様もお時間の許すときに、是非ふらりとお近くの公園などを散歩されてみてください。
何も考えずに10分、自然の中を歩くだけで脳も心もリフレッシュされるというのは最新科学で証明済み。
そこに、ちょいとした知識を加えるだけで感動できる発見に出会えます。

今日は札幌よりも東京の方が涼しいとか。
いよいよ全国的に、秋が始まるのですね。
ニシキギ

という事で本日はここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳き一日をお過ごしくださいませ💐😊

Ψ~ 緑の命 ~Ψ
執筆者
毎日をワクワクに変える植物教育研究家
kazuhiko
略歴
園芸の生産・流通・販売・教育と多岐にわたり都合45年勤務。
植物がもつ癒し力や、ちょっとミステリアスな植物の物語を、色んな年代の方に届けています。

現代は、デジタル時代。毎秒おしよせつづける情報に、私たちの脳は、年中無休の疲れ気味。 そこで身近な植物を使った、効果絶大わずか5分の、カンタンな心身癒しをご提案中♪
ささやかな発見
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