栃の実あそび

栃の実 喫茶~言の葉
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☆秋の野外遊び

栃ノ木遊び

森の樹木を使った自然教育というのもがあります。
私が受け持った野外講習では、これまでに幼稚園児から高校生ぐらいまで、樹木遊びでけっこう楽しんでくれています。
それで今は秋。
この時期は、栃(とち)ノ木が殊に楽しいということで、栃の木遊びのご紹介です。

ただし、特に「栃ノ木遊び」というものがあるわけではないのですが、やってみたら反応も良く手軽で、遊びの効果も割合高かったということで、ここでご紹介という流れです。

栃の花

ステップ1:私の推し葉

栃ノ木は大変大きくなる木で、栃とだけ呼ばれる場合があります。
北限は小樽市なので、私の家の近くの栃ノ木はギリギリ北の地で頑張っているうちの1本という事になるでしょうか。

高さは大きいもので35mにもなります。
うちの近くのは、15mほど。

そこに葉柄(ようへい)と呼ばれる細い軸1本に対し、5~7枚の葉をつけるのです。
1枚の葉の大きさは20㎝程でしょうか、大きめです。
こういう葉の付き方を掌状複葉と呼ぶのですが、改めてジックリ観察すると、葉によって微妙な個性があるのが分かります。

この個性の違いを見つけるだけで、子供達は大喜び。
いやもちろん、こうなるまでには、導入でワクワクさせるような話などで気持ちを盛り上げていくのですが、この話は今回は置いといて、、、。

この葉を下から肉眼または双眼鏡で観察して、自分の推しの葉を決めます。
推しの葉が決まったら、その素晴らしさや、推す理由を5~10分ほど練ります。
時間が来たら、一人ずつみんなの前で推しの葉がどこにあるかを説明し、推しの理由をみんなに説明するのです。

この際、約束事として、聞き手側からの否定は無し。
説明には必ず拍手と決めておきます。

こうして自分なりに考えて誰かに説明するという過程を経ることで、子供達は本気で推しの葉が好きになる場合が多いですね、これまでの経験から言って。
また秋遅くの時期には、緑から黄色・褐色・橙色・黄褐色・茶色と場所によって葉によって違いがはっきり出ますから、そういう頃の推し葉遊びは、より盛り上がります。
栃の葉

ステップ2:栃の実さがし

さて、札幌では今頃、9月下旬にもなると、熟した栃の実が落ちてきます。
こんな感じで。
正式にはこれを「蒴果(さくか)」と言います
栃の実
栗のイガと違って、閉じたまんま落ちてくるので、「閉じ」、それでトチになったとも言われています。
この閉じたまんまの実をまず一人一個捜します。
捜してる途中で、もっと良いと思われる実を見つけたら、そちらへの交換も可能。

このステップでは、人数と木の本数の関係もありますが、人数が木の数より少なく、木が生えている範囲もやや広い場合は30分ぐらいかけてじっくり探してもらっています。
通常は5~10分です。
こういう状態で落ちているものでも、蒴果中の種がハッキリ見えていなければOKとします。
栃の実

ステップ3:栃の実当て

ジャンケンで順番を決めたら、一人ずつ前に出て、拾った一個の蒴果をあけていきます。
中には1~3個の実(種)が入っていますので、幾つ入っているかを宣言して蒴果を開けます。
見ている側も、拾えなかった子も、それぞれに予測します。
この際、厚紙などでラジオ体操出欠表みたいなカードを作っておき、各自そこに記入するようにすると楽しいです。

蒴果を開ける前に、記入。
開けた後に、正誤。
とこのようにをカードを埋めていきます。

実際、栃の実の蒴果開封はこんな感じです。
栃の実
1個しか入っていない場合。
栃の実
2個入っている場合。
栃の実
3個入っている場合。
栃の実

最後に正解が一番多い子が優勝。
開封できた子は、自分で集めた種からお気に入りを一つ自分の物に。
蒴果を見つけられなかった子は、余った栃の種から正解が多い順に好きな種を一つもらえるとします。

ステップ4:栃育て

ここは半年ほど時間がかかるのですが、栃の実当てで手にした種を植えます。

私の場合、100円ショップで口径15㎝程、高さ20cmほどの鉢を準備しておき、種1個分の深さに植えます。
土はある程度何でもよいとは思いますが、学校や園で用意していただく際には、黒土と腐葉土と鹿沼土を2:1:1の割合で混ぜたものを使っています。

ここまで来ると、自分で探して、選んで、発表した種ですから少し愛着も湧いてきますし、どうせなら芽が出て欲しいと願うようになってる場合が多いです。
またそのように愛情が湧くようにここまでの過程で導いていくのも大切です。
栃の実
大事なことは、鉢植えの際にこの鉢が栃の実を植えたものだと分かるように札を立てておけばベストです。植えた日付の記入も忘れずに。

そうして冬を過ごして半年後、自然のままに放置しておくと芽が出てくる割合はかなり高いです。
私のこれまでの経験では100%芽が出てきます。

ご家庭でお子さんと楽しむ場合は、秋の庭に直接埋めてみも構いません。
お金をかけずに、良い記念樹が生まれてくるはずです。

栃の実育てにご興味のある方は、こちらの記事もご覧くださいませ。
< 栃の実の芽が出ました!
栃の木

☆まとめ

この遊びはとてもシンプルで、年齢関係なく無理なく熱中でき、自然に親しめるものです。
年齢が上がれば癒しでありますし、年齢が下がれば情緒教育としても効果が発揮されます。
できればステップ1からステップ4まで、流れとして1~3時間程度でやるのが良いという感じを得ています。

1~3までが、関心を高める過程。
4では、半年も待つという命のリズムを身をもって体験できます。
なぜこういう事が大事かと申しますと、今は特にデジタル全盛ですから、ちょっと押してパッと結果がでる場面が多いんですね。
実は人は、そのデジタルペースに付いて行けずに心を壊す場合が多いんです。

ですので、こういう自然のリズムを関心を持って体験することが、年齢関係なく人の根本の部分で大切になってきているというのが、私の体感していることです。
是非、このような遊びをやってみてください。
このような遊びも、楽しんでみてください。
栃の実
という事で本日はここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳き一日をお過ごしくださいませ💐😊

Ψ~ 緑の命 ~Ψ
執筆者
毎日をワクワクに変える植物教育研究家
kazuhiko
略歴
園芸の生産・流通・販売・教育と多岐にわたり都合45年勤務。
植物がもつ癒し力や、ちょっとミステリアスな植物の物語を、色んな年代の方に届けています。

現代は、デジタル時代。毎秒おしよせつづける情報に、私たちの脳は、年中無休の疲れ気味。 そこで身近な植物を使った、効果絶大わずか5分の、カンタンな心身癒しをご提案中♪
喫茶~言の葉
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