「おはぎ」について考える

おはぎとぼたもち 喫茶~言の葉
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☆今日は秋分の日

秋彼岸中日

今日は秋分の日です。
< 秋のお彼岸

今は朝5時半近くですが、甘いものが好きなので今日だけは特別にと、昨日のうちに「おはぎ」を買ってきておきました。
それで今朝は邪気を払うという名目で、この記事を書きながらいただいております。
ああ、美味しい。
ぼたもち

あずきの意味

このお彼岸の時期におはぎを頂くというのは、元々邪気払いの意味がありました。
おはぎの材料は、もち米(もしくは、もち米+うるち米)、小豆、砂糖、塩ほんの少々。
おはぎに砂糖を使うようになったのは、砂糖が手に入りやすくなった明治以降と聞いています。

日本の農業の軸である米を軽く搗(つ)き、丸め、その外側を小豆アンで覆う。
おそらく、単純に食べ物の美味しさというのもあるでしょうが、豊作や、作物への病害虫忌避への願いもあったのではないでしょうか?
もちろん、それを食べることで体内からの邪気払いもできるという呪術的意味合いもあるのだと思われます。

ちなみに小豆は縄文時代の遺跡からも発見されていまして、古くから日本人にとって大事な食糧であったことが分かっております。
もう一つ、ちなみに。
小豆と書いて「あずき」と読むのは、元々の大和言葉です。
赤粒木から「あずき」となったとも、赤を表す古い日本語の「ア」と溶けることを意味する古い日本語の「ズキ」を合わせた言葉だとも言われておりますが、小豆と書いて「しょうず」と読むのは食品業界だそうで。
小豆

☆考察~「おはぎ」か「ぼたもち」か

同じものにふたつ以上の名前

「おはぎ」といってみたり「ぼたもち」といってみたり。
これらの使い分けも地域や人によって様々な基準が出されていて、やや混乱しております。
乱暴な意見としては、「おはぎ」も「ぼたもち」も、もち米をアンコでくるんだ同じものだ!なんて仰る方もおりますが、私は違うと思うんです。

ポイントは、秋彼岸と春彼岸、そして小豆の収穫時期と調理方法ではないでしょうか?
おはぎとぼたもち

小豆の収穫時期

こちらは、小豆の栽培暦です。

あずき栽培ごよみ
あずきの栽培方法 ― 総論 | 公益財団法人 日本豆類協会 (mame.or.jp)

これを見ると分かるのですが、秋彼岸の時期に収穫されているのが夏小豆です。
秋彼岸と小豆
一方で、春彼岸の折には、収穫時期から完全に外れているのが分かります。
つまりアズキにとって、秋は夏小豆が収穫の真っ最中で、春は貯蔵期間という事になります。

秋の、おはぎ

つまり、秋の小豆は収穫したててわりあい柔らかい。
なので、粒を残した餡、つまり粒あんでもち米を包むのが大元だったと思われるのです。
そして、秋の七草のひとつ、萩(はぎ)の花が咲くので、おはぎとした。
私はそう思います。
つまり、秋彼岸に頂く粒あんのものが、おはぎだと思うんです。
萩の花

春の、ぼたもち

一方、春の小豆は冬の貯蔵期間を経ているので水分も抜けて固くなっています。
そこでしっかりと潰して布で漉(こ)して、滑らかな漉し餡で頂くのが元々のやり方ではなかったでしょうか。
そして春彼岸の頃に咲く花の一つが、牡丹です。
つまり、春彼岸に頂くこし餡のものが、ぼたもちだと思われるのです。
牡丹

☆最後に

このように元々は祈りや呪術的意味合いの強い行事食でしたが、食べ物の個人的嗜好もありますので、段々そのような決まりがごちゃごちゃになって今に至っていると思うのです私は。

別blogで過去にもう少し書いてもおりますので、ご興味ございます方はそちらもどうぞ。
< 素敵な日本の言葉「ぼたもち夜船に、おはぎ北窓」
おはぎ

え~最後に、冒頭に私が頂いた写真ですが、見事にこし餡です。
頭では分かっているのですが、個人的にはこし餡が好きですので、秋彼岸にこし餡の物を食べて「おはぎ」と言っておりますね、私は。
自分では分かっていたのですが、ご指摘を受ける前に白状しておきました。
ぼたもち
という事で本日はここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳き一日をお過ごしくださいませ💐😊

Ψ~ 緑の命 ~Ψ
執筆者
毎日をワクワクに変える植物教育研究家
kazuhiko
略歴
園芸の生産・流通・販売・教育と多岐にわたり都合45年勤務。
植物がもつ癒し力や、ちょっとミステリアスな植物の物語を、色んな年代の方に届けています。

現代は、デジタル時代。毎秒おしよせつづける情報に、私たちの脳は、年中無休の疲れ気味。 そこで身近な植物を使った、効果絶大わずか5分の、カンタンな心身癒しをご提案中♪
喫茶~言の葉
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