☆旧暦の八月一日
朔日
今日、9月3日は太陽太陰暦で申しますと、8月1日です。
つまり旧暦の8月1日。
月数の初め、1日のことを朔日(さくじつ)とも読みますので、八朔は旧暦の8月1日を指します。
この八朔が何の日か、という事ですが。
有名なのは、あの徳川家康が1590年に江戸城に入城した日です。
なので江戸時代に八朔は、正月に次ぐ祝日だったと書かれています。
この日、武家では正装をし、上役へ贈答品をもって挨拶に参じたとか。
またこの時期は、穀物がいよいよ実りの最終段階に入るため、農家では恩人や主家や本家に穫れたばかりの穀物を贈っていたとされています。
田の実の祝い
旧暦といえば農業。
まぁ、農業と言うより稲作ですね。
稲作が弥生時代に伝来して、その栽培を天候に合わせて研究して行ったのが暦(旧暦・太陽太陰暦)ですから。
そこでこの八朔も、稲の実りが充実し、収穫もぼちぼち始まる大事な時期という事です。
同時に、稲が鳥害を受けやすくなる時期だし、野分(台風)が襲来しやすい時期ともなるので、祭事も各地で行われていました。
これらを「田の実の祝い」と呼ばれていたそうで。
それが「頼み」に掛かって、江戸時代の上役への贈答品につながるとのこと。
こういう掛詞は日本人が大好きなようで、歴史の各所に良く見られるので面白いですよね。
それほど日本人は日本語に霊力を感じていたのです。
今でも結婚式などに忌み句など口にせぬようにしていますよね。
八朔の現在
現在ではあまり八朔等と気にされていませんが、令和6年の今、全国的に米不足で一刻も早く今年の新米が出回ってほしいという声が各地で高まっています。
そこで今朝のニュースでも、台風接近の前にと早めに米の収穫が始まったと伝えていました。
やはり今でもこういった古い暦の決まり事は、生きているという事なんですね。
☆1日(ついたち)の意味
今日が、旧暦の8月の朔日(1日)という事で八朔というと書きました。
この朔という文字。
対義語は、望です。
朔も望も、文字の中に月が入っていますね。
それもそのはず。
朔は、太陽に照らされた地球の陰が月を覆い隠す「新月」のこと。
望が、太陽に照らされた月の面積が、地球から一番広く見える「満月」のこと。
2つとも、月に関係ある言葉なんですね。
ちなみに朔の左半分の意味は、元に戻るという意味です。
望は、月を見る行為と道具、またはそこから派生した、遠くを見る行為を指します。
さて、朔日は月初めの1日だと書きましたが、1日は「ついたち」とも読みますよね。
これはなぜかと申しますと、旧暦の朔日は、新月の日です。
地上からは月が見えない日ですので、ここから月が望に向かって見えてくるようになる日という事で「月立ち」。
もうお分かりですね。
「ついたち」は「月立ち」なのです。
なので今日の夜空に月はあれども姿は見えず、です。
でもよ~くみると、うすぼんやりと円い月が昇っているのが見えまして、これもなかなか良いものですよ。
☆ハッサク
ハッサクというものがあります。
江戸時代末期に創り出された柑橘類です。
この命名は明治19年。
なんでも、八朔の頃から食べられる柑橘ですよという意味らしいですね。
ところがこのハッサク。
実際の収穫は冬場です。
八朔が来たからといって今ハッサクを食べると、まだ実が小さく美味しくないそうです。
という事は、八朔の頃に食べようと思えば食べられるという意味合いでの命名だったのでしょうね。
という事で本日はここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳き一日をお過ごしくださいませ💐😊