☆川辺の植物忘備録
良くも悪くも、命名の妙
川原でよく見かける草で、日本中でみられる植物の一つに、クサヨシがあります。
パッと見、葦(アシ)に似ているんですが、アシよりも草っぽいのでこの名が付きました。
じゃあ、クサアシじゃないか!等と私は思ったのですが、、、ああそうか臭い足じゃ良くないなと気付きました。
ちなみに、葦(アシ)という植物があって、アシは「悪し」という文字になりますので、江戸時代にこれじゃあ縁起が悪いってんで「悪し」を「良し」にしたと言います。
なので物ごとの良し悪し(よしあし)。
今でも、葦(アシ)と言ったり葦(ヨシ)と言ったりしてるわけです。
根茎
さてこのクサヨシ。
地面の中でご近所さんとつながっております。
地面の中を茎が根っこのように伸びて、その所々から地面の上に向けてスッと茎が伸びてる。
つまり茎が2種類あるんですね。
なのでご近所さんは全て自分!ということです。
よく考えると、不思議ですよね。
好きな場所
低地の湿った場所や、用水路、それに田んぼなどでよく見かけます。
それぐらい、水辺が好きなんです。
そしてその上で、日当たりと風通しの良い場所が大好きなんです。
そんなクサヨシの根には、水質浄化作用があることが知られており、水辺環境復元植物として計画的に植えこみされる場合も多いです。
草丈など
高さはだいたい80㎝~180㎝。
茎や葉には毛が生えていない。
クサヨシの仲間で日本に自生しているのは、このクサヨシだけ。
日本以外でも北半球の温帯に広く分布している。
また、イネ科の植物なので、風媒花。
つまり受粉は風の力を利用して行われるので、花自体は目立たない。
☆アシ
間違いやすいので、アシにも触れておきますね。
これはハッキリ申しまして、背が高い。
高いもので4m。
やはり水辺が好きで、日本では古い時代からお馴染みの植物です。
昔から日本人は、この葦を使って道具などを作っていました。
葦船もそうですし、日よけの葦簀(よしず)もそうです。
ちなみに茅葺(かやぶき)屋根という日本古来の屋根の作りがありましたが、第二次世界大戦後急速に廃れていきましたね。
あの茅葺の茅(かや)というのは、アシやススキなど、古くから日本人の生活に利用されてきた草木の総称です。
それとアシの性質も面白く、浅瀬でも勢力を広げ群生するので、自然環境にとっても実にプラス。
例えば、河原では、、。
① ヨシによって水の流れが弱まり、水中の汚れを沈める。
② 水中のヨシ茎で微生物が生活を始めて、水中土中汚れを分解。
③ 水中の窒素やリン酸を、養分として吸い取り、水を浄化させる。
④ 魚や鳥や昆虫の住み家になる。
⑤ 同時に、生き物の豊かな餌場や隠れ家にもなる。
こんな風に色んな方面で役に立つアシは、古い日本の国名にもなっております。
豊葦原水穂国(とよあしはらみずほのくに)
「豊かで葦がとても良く茂った土地に、生き生きとした稲が実る国」という意味です。
日本人はどうも相当な昔から、葦に独特の感謝と愛情を持って接していたようですね。
そしてその葦に似たクサヨシ、なんだか可愛らしく感じます。
という事で今回はここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳き時間をお過ごしくださいませ💐😊