☆6月30日
昨日6月30日。
この日は一年がほぼ半分過ぎた、という区切りの日です。
年の前半が終わるこの日に、行われる儀式が「夏越の祓」です。
この一年の前半の穢れを祓い、後半の無病息災を祈る神事です。
神事という事は、縄文時代から連綿と続いている神道(しんとう)行事ですよね。
なので、行われるのは、お寺(仏教)ではなく神社(神道)です。
神道には、大きく二つの大祓(おおはらえ)という行事があります。
その内の一つが、年末の「年越の祓」があります。
これは、12月の大晦日、つまり31日に行います。
そしてもう一つが、6月の晦日、そう、30日に行うのが夏越の祓なのです。
という事は、年越の反対側にあるのが夏越なんです。
さてその夏越の祓。
2つの代表的な行事がありますので、以下にご紹介します。
☆茅の輪
茅
茅の輪と書いて、「ちのわ」と読みます。
茅(かや)と読むと、イネ科の植物を草葺き(屋根の素材)するために刈り取られて乾燥させたもの。
その中に薄(ススキ)も含まれています。
ここは、お間違えされてる方も多いので、一応念のために記しておきます。
そして茅の輪に使う植物は、カヤと同じ文字ですが、茅とかいてチガヤと読みます。
チガヤで輪を作るので、茅の輪(チノワ)となります。
こちらが、チガヤです。
古代日本語で「ち」という音が付く場合は、生命力(血・命・乳・力・父など)を表しますから、茅の中でチガヤを神聖視したという事でしょう。
カヤの中でも霊力を宿したのがチガヤであり、家の屋根を葺くのに最上級なのは、カヤの中でもチガヤが一番という意味合いもあったのではないかと、私は思うのです。
茅の輪くぐり
このチガヤで大きな輪を作り、神社境内で、参拝者がその輪をくぐる行事です。
潜り方にも作法がありまして。
①正面から一礼し、輪に入って、左外側から元の位置に戻ります。
②次に再び正面で一礼し、輪に入って、今度は右外側から元の位置に戻ります。
③もう一度、正面から一礼し、輪に入って、左外側から元の位置に戻ります。
④最後に正面から一礼し、輪をくぐって神前に向かって歩き、参拝をします。
これが一般的な茅の輪くぐりです。
地方や神社によって、やり方は若干違うようですね。
茅の輪くぐりの意味するところは、霊力の有るチガヤの輪を潜る事で、年の前半の罪を清め、穢れを祓うという事です。
それによって、年の後半の無病息災や悪い運気を遠ざけることになります。
そうですね、夏の大晦日といったところでしょうか。
ちなみに、茅の輪くぐりを「チガヤノワ」と読まなかったところに、先ほど申しました「ち」の意味を強調する狙いがあるのではないでしょうか?
つまり、生命力の象徴として、夏越に茅の輪が置かれるのだと思うのですが、いかがでしょうか。
蘇民将来
また、茅の輪くぐりの時に詠む和歌と、唱える言葉とがあります。
和歌の方は、以下です。
水無月の
夏越の祓する人は
千歳の命
延ぶといふなり
この和歌を、先ほどの茅の輪くぐりの①~③の最初に詠みます。
そして④の初めに、こう唱えるところもあるようです。
その言葉が以下。
蘇民将来(そみんしょうらい)
これは備後国風土記に記された話です。
その話とは、こうです。
旅の途中に一夜の宿をとのスサノオノミコトの依頼がありました。
それを、無下に断った裕福な弟の巨旦将来と、貧乏ながらも質素にもてなした兄の蘇民将来という兄弟がおりまして。
スサノオノミコトは宿ともてなしの礼にと、次の言葉を蘇民将来へ伝えたと言います。
その言葉が以下です。
「私は蘇民将来の子孫ですと書いた札を家に下げ、茅の輪と共に飾っておけば、厄(やく)や禍(わざわい)を除くことができる。」
これが、蘇民将来のいわれです。
一説には、巨旦将来は、後日カミによって滅ぼされたという話も残っていますね。
☆ヒトガタ
また夏越の祓には、ヒトガタ(人形)を使います。
スサノオ系のカミをお祭りする神社には、置いてあったのではないでしょうか。
私の家の近所の神社では、その人形に名前を書いて奉納するようになっていました。
このヒトガタの使い方は、自分の具合の悪い部分へヒトガタをそっと当て、厄や禍や病をヒトガタに移します。
その後、そのヒトガタにフッと息をかけて、(ジブリアニメ、千と千尋の神隠しでもそういうシーンが描かれてましたね、、、たしか)川に流すのです。
これも、夏越の払いです。
☆水無月
最後に、夏越の払いの行事食。
それが水無月です。
ういろうを三角に切り、その上にアズキを乗せた和菓子です。
何でも、氷に見立てたお菓子だとか。
アズキは赤い色で、邪気を払うという意味が込められています。
またういろうは基本的に白で、三角に切るのは氷を表し、邪を切り裂さくという意味も込められているのかなと私は思います。
また、ういろうは、漢字で書くと「外郎」
これは明(みん)の国から日本に渡ってきた薬の名です。
今でも小田原市に「ういろう本店」ありますが、そのういろうとは、仁丹みたいな銀色の粒の薬です。
これだけではちょっと苦いという事で、お菓子の外郎が作られるようになりました。
それが今あちこちで見られる、ういろうです。
だから正式には、お菓子の外郎というんです。
由緒正しきお菓子と、邪気払いの小豆を添えて水無月。
夏越の祓の際は、是非とも口にしたい一品ですね。
いよいよ7月、今日は半夏生です。
この半夏生については、明日以降に書くことにして、、、
これから暑さが増してきます、どうぞご自愛くださいませ。
という事で本日はここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ佳き一日をお過ごしくださいませ💐