☆深まる友情
・職場に来たカラス
私と愛犬とがそうして遊びに行くようになって、しばらくして。
ある日、気付きました。
出会いから二ヶ月は経っていなかったと思いますが、なにぶん昔のことですからはっきりとは覚えていません。
二ヶ月ぐらいだったと思うなぁ、、。
職場です。
その出会いの林から歩いて3分のところにある職場です。
そこに、時間にして15分ぐらいですけど、カラスが来るようになったんです。
まぁ、カラスですから、どのカラスかまでは最初は分かりませんでした。
ただ、彼か彼女か分かりませんが、私が外で栽培に取りかかる時間にやってくるんですね。
私のやることを、じっと見てる。
私が外で栽培する時間は、もちろん生き物のお世話ですから、その状況に合わせるので、天気と気温によって変わるんですよね。
それでも、その時間に合わせてやってくるんです。
そして何をしてるかと言うと、私のやることを、ただじっと見つめてるだけ。
観察されているんですよね。
・カラスとの付き合い方
このカラスがまた、日を追うごとに徐々に私に近づいてくるんです。
そこで、私もなるべくカラスに意識を向けないようにして、淡々と植物栽培を続けていました。
これが良いみたいですね。
いちいち目を合わせない。
そこに居ても気にしない。
これがカラスを安心させるみたい。
ただ、カラスを見ずに穏やかに日本語で話しかけてはいました。
もちろん、カラスが日本語を理解するはずもありませんが、音声の響きに安心感が増すのではないでしょうか?
最終的には、手を伸ばせば撫でることができる超近距離まで近づいて観察されてました。
これがまた、キレイな羽をしてるんですよね。
なんでも、カラスの羽は構造色というのだそうで、光の角度と強さによって変わるんです。
そうそう、一度なんか、その羽を咥えてノコノコノコと歩いてきて、私の目の前でポトリ落として行きましたが、あれはプレゼントだったのでしょうか?
・仕事を覚えるカラス
ところで、そのカラス。
ある時期から、栽培植物に花が咲いたら、たまにですけど、その花をクチバシでちぎって地面にキレイに並べるようになりました。
最初のころは、どこかの悪意をもった人がやってるのかと思いました。
それぐらい、キレイな並べ方。
しかしある時、目撃したんですそのカワイイ犯行場面を。
栽培者としては迷惑なんですが、カラスには悪意が無いんですよね。
私に興味をもって、私が栽培データ取るのと見ててそれをカラスなりに真似してるとしか思えない。
ただ、今だから書きますが、この件を職場には内緒にしておきました。
もし伝えると、駆除されるのがオチですからね。
☆キタキツネ参入
そんなカラスとの友情が始まった翌年の秋のこと。
一頭のキタキツネと、例の林で会うようになりました。
カラスたちは、このキタキツネが大嫌いみたいで、大騒ぎ。
多分、捕食する敵だからです。
そのキタキツネが、私の愛犬(柴犬)に興味をもった。
どうも興味津々なんですね、私の犬の散歩を、一定距離を保って付いてくる時がありまして。
その内の何回かは、休日の植物の水管理で職場まで行ったことがありました。
そうしたらこのキタキツネさん。
私の職場を覚えまして、たまに柴犬目当てで来るようになりました。
来るのは良いんですが、このキタキツネが植物栽培をしてる畑を荒らすんですよね。
好き勝手に穴は掘るわ、苗を引き抜くわ。
キツネにとってはただの遊びなんですが、こちらにとっては迷惑でしかありません。
☆犬とカラスの連携
ある日の休日の職場。
柴犬とカラスが私の目の前でくつろいでいて、そこに例のキタキツネがやってきたんです。
うちの犬は、私の言葉を70種類ぐらい理解してまして。
「あ、キツネがまた来た」と私が嫌そうに言ったんですよね。
すると、その私が「嫌そうな」と感じている気持ち。
そして、「キツネ」という対象を理解したのでしょう。
瞬時にキツネに向かって吠えて威嚇。
それでキツネが逃げないのを見ると、うちの犬は自分でリード(引綱)を外してキツネに向かって駆け出した!
え!犬が自分で綱を外したと私は驚き唖然。
驚いたキツネが逃げ出し、職場の敷地から出て行くのを見て、犬は任務完了とばかりに180°ターンで戻ってきました。
それを見届けたカラスが今度は、敷地の外までカラスを追いかけて行き、5分後に任務完了ばかりに戻ってきて再び一頭一羽でくつろぎ始めたんですね。
あれには驚きました。
異生物間で、連携を見せてくれたんです。
その後、幾度か、キタキツネとカラス犬連合軍の駆け引きは続き、数ヶ月後にはキタキツネは来なくなりました。
面白い風景でしたね。
しかし、キタキツネとはイタズラとエキノコックスさえ無ければ、きっと良い友達になれたのだろうなと思います。
☆カラスの知性
・知能
様々な研究の結果、一般に、カラスの知性は人間の3~4歳児に相当するらしいです。
また、宇都宮大学の杉田昭栄教授によると、カラスの知能指数は小学校低学年くらいあるとおっしゃっています。
そして観察力も鋭く、生き物の個体識別能力が秀でているそうです。
ワシントン大学のジョン・マーズラフ教授によると、カラスは自分を捕獲した人間の顔を5年半も覚えているんだそうですから。
実際に、邪魔だからとカラスの巣を壊してヒナの命を奪ったおじいさんを知っているのですが、この方がその後3年間、自宅から出るたびに襲われていました。
服装を変えてもダメでしたね、カラスたちに見抜かれてる。
その知性があるからでしょう、私の仕事を見てカラスなりに覚えて、カラスなりに真似をしてるんですね。
まったく役に立たない仕事の真似事でしたけど、これ、すごい知性です。
もしかすると、古代の日本人は、こういう感じでカラスと交流があって、神聖な鳥としたのかもしれませんね。
・最後に
しかし現代では、ゴミをあさる嫌な鳥と疎ましがられているのは哀しい事です。
何とかならんかなぁ、ゴミとカラスの問題。
ちなみに確かそこで問題になってるのは、ハシブトガラス(カァーと鳴く)。
今回ご紹介した私と友達になったのは、ハシボソガラス(ガァーと鳴く)でした。
15年前に愛犬が亡くなり、10年程前にはそこから引っ越し。
あのカラスの家族とはそれきりとなりましたが、たまに巣立ちしたんだろうなと言う子を連れてきてくれていましたが、つかず離れずの良い交流でありました。
あ、それと、この本お薦めですよ、楽しい本です。
という事で、本日はここまで。
最後までお読み下すってありがとうございました。
どうぞ今日が、佳い一日でありますように💐