☆木村善幸コンサートFirstContactより
・空海と密教と真言宗
一昨日のコンサートFirstContact。
ここで真言宗のお坊様がコンサート冒頭に「声明」を演ってくださいました。
声明、これ、「しょうみょう」と読みます。
発祥はインド。
それが中国、、、ええとここでの、中華人民共和国ではないです。
というのも、かの国は、1949年にできたばかりの国ですから。
ここで言う中国は、アジア大陸東部の地域にできた国家のことですね。
(どうにも日本語はここがあいまい、いかんですな。)
正確にはインドから「魏」に渡って仏教声楽として形を整え、そして「唐」の時代、密教伝来とともに日本に入ってきたみたいです。
密教伝来と言えば、空海さん。
その空海さんが興した仏教宗派が真言宗です。
ここでまた、声明は仏教音楽としての体裁を整えて行ったんです。
これは余談になりますが、唐から入ってきた声明の音階には呂曲と、そして律曲があります。
上手くしゃべることができない発音不明瞭な状態を、「ろれつが回らない」と言いますが、漢字で書けば「呂律が回らない」となります。
そうです、つまりはこの呂律が回らないは、声明から来ているのです。
そしてまた、声明はその後の、盆踊り・音頭・民謡・演歌などにも大きい影響を与えて行ったんです。
・御詠歌
御詠歌。
こちらも密教伝来と共に発達した宗教の芸能的側面ですね。
仏教の教えを、親しみやすく分りやすくまた祈りを込めて和歌にし、それに旋律をつけたものです。
和歌は、五・七・五・七・七。
この和歌を大和歌(やまとうた)とも呼びます。
そして、ここから生じたのが「言の葉」、つまり「言葉」です。
どうも和歌は、仏教において、呪文や呪術的要素を組み込まれていったみたいですね。
こちらに関しては別blog期書きましたので、ご興味ございます方は、以下のリンクからどうぞ
< 「言葉」の語源~番外編~和歌の秘密
しかしもう、この時代の文化の生じ具合たるや、まさに百花繚乱ですね。
さてこのように御詠歌は、和歌そのものを表す言葉としても使われました。
ところが、時代が下がるにつれ、仏教の巡礼歌として各地で発達。
そして、それらを全国統一でまとめたのが大正10年というのですから、比較的最近の事なんです。
その大正10年に成立した「大和流」を基点にして、各流派の御詠歌が生まれて来たようですね。
ちなみに今回私が触れた御室金剛講が成立したのが平成27年と言います。
伝統深い御詠歌の最新版を体感できたという訳です。
・江差追分
今回のコンサート。
江差追分も聞けました。
歌うのは、江差追分と言えばこの方!
民謡歌手のKAZUMIさん。
先述の理由から、声明を味わった後の津軽三味線、そして江差追分は、なんと豪華な構成でしょうか!
やはり、江差追分も、祈りや願いを内側に秘めていますからね。
とても贅沢な時間となりました。
・華という文字
最後に、華という文字について。
これは、花と同じ意味ですが、の方がもう少々深くて広いです。
仏具にも「華」の文字を使ったものがあれこれあります。
そして「散華」といって、仏の供養や法会で、花やそれに見立てた紙をまいたりします。
また、植物が苦労して生き抜いて、ようやく花咲かせる姿に「悟り」を重ねて「華」と表現したりするようですね。
芸人さんに花束を渡すのは、その時の芸の供養のため。
花には神や仏が寄り付く目印としても使われてきているのです。
植物はこうして、日本人の精神に別の形で根を下ろしてもいるのです。
私はこれを、実に不思議で尊い考え方だと感じ、とても愛しいと思っています。